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213「世界最強の男VSオメガ(1)」



 ドン⋯⋯!


 試合開始と同時に踏み込んできたのは⋯⋯アレクサンドル・アーサー。


 パシィィィンっ!!!!


「へぇ? これに反応しますか?」

「⋯⋯」


 アーサーの意識を刈り取るつもりで放った拳を右手で払いのけるタケル。


「おおーっと! 試合開始いきなり仕掛けたのは世界最強の男アレクサンドル・アーサー! しかし、その拳を軽々と跳ね除けるのはオメガ様! すごい⋯⋯初手から魅せる両者です! いかがでしょう、ソフィア様?!」

「はい。正直初手のアーサーの一撃は本気でオメガ様の意識を刈り取るレベルの攻撃でした。しかし、オメガ様はそれを反応するだけでなく軽々と跳ね除ける⋯⋯。まさに地球上の二大強者がぶつかるにふさわしい開幕ですね」


 ワァァァァァァっ!!!!


 ソフィアの解説に盛り上がる会場。


 そして、その『宴』の中心である舞台の2人は、


「ハァァァァ⋯⋯どんどんいきますよ。オメガ!」

「くっ!?」


 積極的に拳を繰り出すアーサー。対してタケルは防戦一方という構図になっていた。


「少し、余裕が無くなってきたかな?」

「⋯⋯言ってろ」

「それじゃあ、《《さらに》》ギア、上げますね?」

「むっ!?」


 アーサーの宣言通り、これまで繰り出している拳にさらなる加速が加わった。


「おーーっと! 信じられません! アレクサンドル・アーサーの攻撃がさらにグンと早くなったぁぁぁ!!!!」

「脅威ですね。あれからさらにもう一段スピードが増すとは⋯⋯。久しぶりにアーサーの戦いを見ましたが⋯⋯やはり圧倒的です」

「さあ、舞台上ではオメガ様がアレクサンドル・アーサーの攻撃をすべて躱すのが困難になっているのか、いくつか攻撃が掠っている様子。ソフィア様、これはやはりオメガ様劣勢ということでしょうか」

「それは何とも言えないですね。たしかにアーサーの攻撃がいくつか当たっているものの、表情はそこまで切迫している感じは見受けられません。まだお互い様子見の状態かと思われます」

「な、なんと! このレベルの戦いがまだ様子見なんですか?!」

「はい。お互いにまだ余裕があります⋯⋯信じられないことですが」


 二人のぶつかり合いはまだ『様子見』⋯⋯そんなソフィアの解説に会場はもちろんネットも騒然としていた。


——————————————————


——Dストリーマー掲示板総合スレ


738:Dストリーマー名無し

これで様子見は草しか生えん


739:Dストリーマー名無し

嘘やろ?


740:Dストリーマー名無し

次元がちげーんだよ、次元がぁ!


741:Dストリーマー名無し

いや割とマジで

他の探索者(シーカー)とは次元が違いすぎる


742:Dストリーマー名無し

でもアーサーが押してるみたいね


743:Dストリーマー名無し

やはり世界最強は伊達じゃない


744:Dストリーマー名無し

いやいやいやオメガ様の顔見ろよ

まだそこまで焦ってる感じはないぞ


745:Dストリーマー名無し

ああ。オメガ様はとりあえず受けてるみたいな感じだな


746:Dストリーマー名無し

タチ → アーサー

ウケ → オメガ様

これでおk?


747:Dストリーマー名無し

>これでおk?

⋯⋯なわけないやろがいw


748:Dストリーマー名無し

┌(┌^o^)┐ホモォ…


749:Dストリーマー名無し

おいやめれw

空気嫁っ!


——————————————————


 アーサーの攻撃は止まるところを知らず、依然タケルを攻め立てる。


「ははは⋯⋯やるねーオメガ君! 楽しいよ!」

「⋯⋯」

「でも、そろそろ捌ききれなくなってきたんじゃないかな?」

「⋯⋯」

「ダンマリかい? ははは、図星だったかな?」

「⋯⋯そう思ったのなら《《作戦成功》》のようだな(ニッ!)」

「何っ?!」


 フッ!


 蹴りを放った瞬間、目の前のタケルが消えたことに驚くアーサー。


「こっちだ」

「っ?! がっ⋯⋯!」


 突然、アーサーの真横に現れたタケル。同時に右ストレートを放つとアーサーの《《顎》》にクリーンヒット。タケルの的確に狙った顎への一撃はアーサーを脳震盪させ意識を刈り取る一撃だった。そして、


 ガクン⋯⋯!


「ダ、ダウンっ!? アレクサンドル・アーサーが⋯⋯ダウンですっ!!!!」

「ま、まさか、そんな⋯⋯っ!?」


 ガタっ⋯⋯!


 解説席にいたソフィアが思わず立ち上がる。


 そんな彼女の顔は真っ青で目が泳ぎ、体も少し震えていた。


 あのアレクサンドル・アーサーが⋯⋯『揺るぎない強さ』『世界最強の男』『唯一無二』などと、これまで数多(あまた)の賞賛を欲しいままにしてきたあのアレクサンドル・アーサーが⋯⋯目の前でダウンしている。


 この現実をすぐに受け入れるほどソフィアの常識は柔らかくはなくそれは他も同様であった。


 観客が、テレビ視聴者が、ネット視聴者が⋯⋯⋯⋯すべての者たちがしばしの沈黙を余儀なく固まった。


 しかしそれでも時だけは止まらず動き続け、それは時間の経過とともに人々をゆっくり現実へと揺り戻す。


——そして


——————————————————


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!」


『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!』


931:Dストリーマー名無し

ぷぎゃあああああああああああfじゃおうふぁうfじうfじこ!


——————————————————


 会場の観客、テレビ、ネットその他各媒体の視聴者らがアレクサンドル・アーサーのダウンという現実を受け止めると、悲痛、悲鳴、歓喜、困惑など様々な感情が爆発した。


新作はじめました!


『TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜』

https://ncode.syosetu.com/n3337kz/


毎日13時投稿


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