211「世界トップ10ランカー登場(3)」
「3対1でかっこ悪いことこの上ないがそんなの関係ねぇ! 勝つぞっ!!」
「「おうっ!!!!」」
3人は気合いを入れると、まず先にヴォルフが前に出た。
「最初から全開で行かせていただきます⋯⋯ワンショット・シールド!」
パキィィィン!
ヴォルフが『スキル:堅牢城塞』のスキル技『ワンショット・シールド』を展開。ヴォルフの前にうっすら青く輝く魔力シールドが出現した。
「うおぉぉぉぉ!!!!!!」
ヴォルフは雄叫びを上げながらオメガへと突っ込んで行く。ペドロとパクがその後ろを追う。
ヴォルフがシールドを張った状態で体当たり特攻を仕掛け、タケルがそれを防御または迎撃といった何らかのリアクションを取ったタイミングで2人が左右に飛び出し挟撃を仕掛けるのが狙いだった。
(防御か? 迎撃か? どっちだ、オメガ!)
しかし、それはどっちでもなかった。
(棒立ち⋯⋯だと?!)
タケルはヴォルフの体当たりに対して、特に構えることもなく棒立ちのままだった。
(な、何を⋯⋯)
「何を企んでいる、オメガぁぁ〜〜っ!!!!」
ヴォルフはタケルが防御でも迎撃でもないことを知って「舐めてるのか?!」と激情。滅多に感情を表に出さない彼がそこまで感情を露わにしたことで仲間の2人はもちろん会場の観客や視聴者もが驚いた。
いよいよ、タケルとヴォルフが接触する瞬間——タケルが右手をスッと差し出した。そして、
ガシィィィ!!!!
「なっ⋯⋯! バ、バカなっ?!」
タケルは防御するでも迎撃するでもなく、ただ右手を出して2メートル超えの巨漢ヴォルフ・エルゲンシュタインのスキル技を込めた体当たりを止めたのだった。
「ウッソォー!!!!」
「ちぃぃ!!!!」
ヴォルフのスキル技の突進を片手で受け止めるなど想像だにしていなかった2人。予定にない状況となったが、さすがに場数を踏んでいる二人は冷静にヴォルフの横から飛び出し挟撃を仕掛ける。
しかも当初予定だったオメガがヴォルフへの対応で二人の目眩しとなる前提が崩れたため、二人は咄嗟の判断で挟撃にさらにプラスアルファで、ペドロ・ハドラーが上、パク・ハサンが下、と上下に分けての攻撃を加えた。
「チェストー!!!!」
「オラぁぁぁ!!!!」
2人の挟撃がタケルに当たる直前——攻撃が入ると確信した2人の目の前で信じられないことが起きる。
パキィィィン!
「エッ?」
「なっ!?」
なんと二人の攻撃がタケルに当たらず、謎の不可視の壁に阻まれ弾き返されたのだった。
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——Dストリーマー掲示板総合スレ
17:Dストリーマー名無し
は?
18:Dストリーマー名無し
は?
19:Dストリーマー名無し
え? え?
ペドロ・ハドラーとパク・ハサンの攻撃が
弾き返されたんだけど?
20:Dストリーマー名無し
オメガ様のスキル技⋯⋯?
21:Dストリーマー名無し
知らん
22:Dストリーマー名無し
おせーてエロい人
23:Dストリーマー名無し
知らん
24:Dストリーマー名無し
知らん
25:Dストリーマー名無し
いやまぁ
恐らくオメガ様のスキル技だろうけど
⋯⋯でもあんなスキル技見たことない
26:Dストリーマー名無し
スキル技って『身体能力系』がほとんどだからなぁ
27:Dストリーマー名無し
となるとオメガ様は『超能力系』のスキル技を持っているってことか
28:Dストリーマー名無し
やっぱ『超能力系』だったか
そりゃ強いわけだ
29:Dストリーマー名無し
世界トップ10ランカーといえど
『超能力系』を持っている探索者は限られている
30:Dストリーマー名無し
トップ10ランカーの上位4名
いわゆる『四天王』と呼ばれる
『ジャック、クイーン、キング、エース』の称号を持つ4名が
『超能力系』のスキル技を持っている
31:Dストリーマー名無し
上位4名以外にもいるぞ
32:Dストリーマー名無し
ああ、トップ10ランカー
ナンバーズ筆頭『ナンバー5』のヨウ・リンファ様か
33:Dストリーマー名無し
トップ10ランカー以外にはいないの?
34:Dストリーマー名無し
一応いるとは思うけど
数は少ないだろうし持っていたとしても
戦闘に向かないスキル技だと難しいらしいぞ
35:Dストリーマー名無し
へえ
36:Dストリーマー名無し
へえ(14へえ)
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「おいおいおい、やっぱオメガおめー持っていたんだな。『超能力系』スキル技」
パク・ハサンは一度オメガと距離を取ると、自身の攻撃を防いだ謎の不可視の防壁についての見解を示す。
「え? 超能力系? あ〜、うん、そうね。それそれ」
タケルはよくわからなかったので適当にパクの見解に乗っかってみた。
「て、てめぇ! おちょくってんのか?!」
すぐに怒られた。
しかし、3人は今の攻撃を防がれたことですでに打つ手がなかったため、この後どうするかについて考えていた⋯⋯その時だった。
「⋯⋯申し訳ありませんが、ここは私に譲ってもらえませんか?」
「「「っ!!!!」」」
突然後ろから声をかけられた3人は、自分たちの背後に人がいたなど全く気づかなかった3人は驚いた様子でバッとすぐに後ろを振り向く。
そこに立っていた男⋯⋯それは、
「「「ア、アレクサンドル・アーサーっ!?」」」
探索者世界ランキング第1位。
世界最強の男『アレクサンドル・アーサー』その人だった。
『TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜』
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毎日13時投稿