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210「世界トップ10ランカー登場(2)」



「えーとじゃあ⋯⋯⋯⋯3人同時で」

「「「なっ⋯⋯?!」」」


 オメガ(タケル)の言葉に3人が固まる。


「な、なんとっ?! オメガ様次の対戦相手をどうするのかと問われ、まさかまさかの世界トップ10ランカー3人を同時に相手取ると宣言! ソ、ソフィア様、これはさすがにオメガ様やりすぎでは⋯⋯?」

「そ、そうですわね⋯⋯。さすがにオメガ様とはいえ世界トップ10ランカー『ナンバーズ』を3人相手にというのは少し⋯⋯⋯⋯《《舐めすぎかと》》」


 ドン! ビリビリビリビリ⋯⋯。


「ソ、ソフィア様⋯⋯魔力が⋯⋯軽い威圧が発生しているので⋯⋯やめてもらっていいでしょうか⋯⋯」

「え? あら? すみません。わたくしとしたことが⋯⋯ほほほ」


 タケルの発言に、さすがのソフィアも怪訝な表情を浮かべながら魔力を放出させてしまう。


「オー、オメガ。ソレ本気で言ってるのぉ〜?」

「え? あ、はい」

「オーマイガー。我々、随分舐められてるみたいだネ」

「あ、いえ、そういうわけでは⋯⋯」

「じゃあ、何だってんだ、コラぁ!」


 ダン!


 トップ10ランカー世界ランク第8位(ナンバー8)のペドロ・ハドラーの横から、ナンバー9のパク・ハサンが割り込んでタケルを威嚇する。しかし、


「えーと、世界のトップ10ランカーでもダンジョンの『喋る魔物』やその幹部の『()(はしら)』と戦うには戦力不足であることを早いうちにわかってもらわないとっていう注意喚起をしたく⋯⋯」

「それを舐めてるって言ってんだよ、ゴルゥアァァ!!!!」


 そういうと、まだ試合開始の合図も出ていない状況で突然パクがタケルに拳を繰り出した。


 バシッ!


「なっ?!」

「「⋯⋯っ?!」」


 タケルは不意打ちのようなパクの攻撃を何事もなかったかのように片手で軽く受け止めた。


 そんなパクの不意打ちの攻撃とはいえかなりの威力を持った拳を、タケルがいとも簡単に受け止めたのを見て他の2人も驚愕の顔を浮かべている。


「ちょ、いきなりなんですか?! まだ試合前ですよ!(ぷんすこ)」

「あ、ああ⋯⋯悪い」

「よし、ではこのまま1対3で試合を始めるぞ。⋯⋯異論は無いな?」

「「「⋯⋯はい」」」


 パクの拳を止めたタケルに3人は最大限の警戒を図ると同時に、櫻子から1対3での模擬戦となることを告げられても特に異論を出すことはなかった。


 それは、3人がそれだけタケルとの力量差を感じた故のことだった。


「どうやら、このまま1対3で進めるようですね⋯⋯」


 実況の加賀美がソフィアに告げる。


「正直、パクのあの攻撃はそれなりの威力を纏った一撃でした。⋯⋯にも関わらず、それをいとも簡単に受け止められてしまっては、いくら世界ランカーというプライドがあっても絶対に勝ちに行くと思うのであれば1対3を受け入れるのがベターでしょう。むしろそれほどの強さであるオメガ様にわたくし改めて惚れ直しました。ポッ」

「い、いや、ポッ⋯⋯て」


 ソフィアのテンション高いリアクションにだいぶ引き気味の加賀美であったが、そんなことなど気にせずソフィアは続ける。


「しかし、本当にオメガ様はすごいです。正直オメガ様とトップ10ランカーにこれほどまでの力量差があったとは思ってもみませんでした」

「はい。私もそう思います」

「ただ、試合となればわかりません。力量差のある相手だとしてもそれを埋めるだけの戦い方は彼らも知っていますから。それに今回は1対3と数的有利もある。正直、3人が勝っても『卑怯だ』と言われるかもしれませんが、こちらとしてはむしろ『オメガ様はそれだけの相手だった』とリスペクトの意味を込めて3人で臨んだのだとわかってほしいです」

「たしかに。これなら例えオメガ様が負けたとしても『オメガ様は大したことない』なんて評価にはならないですしね!」

「そういうことです」


 そんな二人のアナウンスが会場に響き渡る中、


「それでは試合始め⋯⋯なのじゃ!」


 櫻子が試合開始を宣言した。



********************



「ん?」


 試合が始まるや否や3人が後ろに飛んで俺から距離を取った。


 てっきり、あのパクって人が襲いかかってくると思ったんだが⋯⋯そこまで馬鹿ではなかったようだ。さすがトップ10ランカーといったところか。


 ちなみに、もしそんな感情的で直線的に突っ込んできていたら、容赦無い一撃で意識を刈り取るつもりだったけどな。


「私がタンク役となって正面からオメガに向かっていきますので、タイミングを見計らって左右から挟撃してください」

「おい、ヴォルフのおっさん! あんたがオメガの攻撃を正面から受けるってのかっ?!」

「はい。オメガの攻撃を私が耐え切れば隙が生まれると思いますので、そのタイミングで攻撃を仕掛けてください」

「ノーノーノー。ヴォルフさんだけでオメガの攻撃止めるなんて無理デス。とても耐えられませんヨ」

「まかせてください。スキル全開でいけば初撃くらいは耐えられると思いますので」

「⋯⋯わかった。それで行ってみよう」

「オゥ⋯⋯マジですか、パクさん?」

「ああ。ヴォルフのおっさんの『スキル:堅牢城塞(シャトー・ソリッド)』のスキル技『ワンショット・シールド』を全開すりゃオメガの初撃くらいは防げると思う。ていうか、これでも防ぎきれなければ、ヴォルフのおっさん以上の防御力をもたない俺たちではどの道勝ち目はねぇ。⋯⋯違うか?」

「⋯⋯認めたくないですがその通りデス」

「なんだよ? いつもより素直じゃねーか」

「いつものふざけた態度で臨める相手じゃないですからネ」

(ちげ)ーねぇ」


 そういって、二人はフフッと笑みを溢す。


「3対1でかっこ悪いことこの上ないがそんなの関係ねぇ! 勝つぞっ!!」

「「おうっ!!!!」」


【報告】

本日から新作投稿しました。

よかったら読んでいただければと思います。


<新作(異世界ファンタジー)>

『TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜』

https://ncode.syosetu.com/n3337kz/


初回の土曜日・日曜日はともに3話ずつのブースト投稿。

月曜日からは毎日8:00更新となります。

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