200「模擬戦(3)」
【祝 200話!】
「雨宮の小娘。⋯⋯スキル解放するのじゃ!」
舞台下から櫻子の声を拾った雨宮の口角が上がる。
「待ってましたよ、櫻子様!」
「ゲッ! 嘘でしょ?!」
同時にその櫻子の言葉に動揺する佐川。
「スキル⋯⋯『阿修羅』!」
ゴゥッ!!!!
櫻子の言葉を聞いた瞬間、雨宮が覚醒ポーションで獲得したスキル『阿修羅』を解放。すると、雨宮の体から青白く光る魔力が出現し、それは雨宮自身をも包み込む。
「な、なんだ!? 突然彼女から魔力が出現して彼女自身を包み込んだぞ!」
「しかもこの魔力、かなりの高出力だ⋯⋯」
「い、一体、何が⋯⋯!?」
雨宮の突然の高出力な魔力出現に会場の探索者らが驚きの声が上がる。そして、それは会場の観客はもちろん、テレビやネット視聴者も同様だった。
しかし、その驚きは次の《《雨宮自身の変化》》で、より一層高まることとなる。
「ふぅ〜⋯⋯やっぱ、この『スキル:阿修羅』の力はすごいや」
「「「「「⋯⋯っ!!!!!!!!」」」」」
雨宮を包み込んでいた青白い魔力が消えると、そこには《《彼女と似た顔立ちの少年》》が立っていた。そして、その状況に会場は、
シーーーーン。
さっきまでの驚きの喧騒が消え、誰もが言葉を失い、静寂に包まれた。
「ん? あれ? なんかすごく静かになっちゃったけど⋯⋯?」
会場の変化を感じて少年がボソッと呟く。それは呟く程度の声量であったのだが静寂に包まれた会場やネット・テレビではその声ははっきりと捉えられていた。
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<会場の観客>
「お、男の子⋯⋯?」
「な、なんで、男の子がそこに? ていうか、さっきまでそこにいた彼女は?」
「ちょっと待て⋯⋯。あの少年、さっきの女の子に似てないか?」
<テレビ視聴者>
「は? え? は?」
「何がどうなってんの?」
「さっきまでの女の子が消えた? なんで? その男の子は何?!」
<ネット視聴者(配信)>
:何ぞっ!?
:何ぞっ!?
:いや、何が起きた!
:突然、男の子が現れたぞ!
:突然のショタっ子出現⋯⋯!
:⋯⋯滾るな(ニチャァ)
:滾るなww
:ニチャァやめいww
<ネット視聴者(掲示板)>
833:Dストリーマー名無し
は?
834:Dストリーマー名無し
これは一体⋯⋯?
835:Dストリーマー名無し
とつぜんショタっ子があらわれた
どうする?
・たたかう
・にげる
・なかまにする
・もちかえる
836:Dストリーマー名無し
・なかまにする
837:Dストリーマー名無し
・もちかえる
838:Dストリーマー名無し
・てなづける ←NEW
839:Dストリーマー名無し
てなづけるww
840:Dストリーマー名無し
・わからせる ←NEW
841:Dストリーマー名無し
・わからせる
842:Dストリーマー名無し
・わからせる
843:Dストリーマー名無し
・わからせる
844:Dストリーマー名無し
↑ おまわりさん、こいつらです
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会場では、最初は小さな呟きだった喧騒が徐々に大きな喧騒となっていき、今では大きなざわめきが広がっていた。
「う〜む⋯⋯まさかここまで動揺されるとはのぉ〜」
「まー俺たちは見慣れているからね。普通に考えたらそりゃこうなるでしょ?」
そんな会場の喧騒に舞台下の二人はどこ吹く風の会話をする。
「櫻子たん。さすがに説明必要じゃね?」
「そうじゃな。それじゃあ、ちょっと行ってくるかの」
「いってらっさい」
そうして、櫻子がマイクを握り再び舞台へと上がった。
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「あれ? 櫻子様、どーしたの?」
舞台下から上がってきた櫻子を見て、ショタっ子雨宮が声をかける。
「うむ。少し皆が戸惑っておるからの」
「え? なんで?」
「いや『なんで?』じゃないでしょ。あんたの変化に皆が戸惑ってるからに決まってるじゃない」
「佐川、うるさい」
舞台上で雨宮と佐川がやいのやいのやっている間に入る櫻子。
そんな櫻子が舞台に上がったことで「なんだ、なんだ?」とまたざわめき出す。
「諸君、突然の乱入すまん。というのも、皆が混乱しているようじゃからちょっと説明にきたのじゃ」
そんな櫻子のアナウンスを聞いて会場が静まり返る。
「あ〜⋯⋯つまりじゃな。そこにいるこの少年は『雨宮理恵』じゃ」
「「「「「⋯⋯え?」」」」」
「雨宮は覚醒ポーションを飲んで新たなスキル⋯⋯『スキル:阿修羅』を獲得。その結果、彼女はこのスキルを発動すると『少年』へと変化することとなったのじゃ」
「「「「「えええええええええええっ!!!!!!!!」」」」」
この櫻子の発言により、会場はもちろん、この模擬戦を観ているすべての視聴者らが今日イチの驚きの声を上げることとなった。
その後、舞台では改めて雨宮と佐川が模擬戦を再開することとなったが、『スキル:阿修羅』を発動した雨宮に佐川は手も足も出ず、試合は『ショタっ子雨宮』の勝利に終わった。