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195/216

195「開幕!」



「おまたせしました、みなさん! ここに⋯⋯『チキチキオメガ様と親睦を深めよう大会』を開催することを宣言します!」


 と、東京ドームにオメガの大会宣誓の声が響き渡った。


 すると⋯⋯、


「ふざけんな、このやろうー! 何が『オメガ様』だ!」

「調子こくなや、クソガキ! 降りてこいやぁぁ!!!!」

「◯すぞ、コラぁぁ!!!!」

「何様だ、この野郎ー!」


 と、会場にいる探索者(シーカー)から一斉に罵声が鳴り響く。


「ちょっ⋯⋯?! お、落ち着いて、落ち着いて、みなさ⋯⋯」


 オメガは何とか罵声を出している探索者(シーカー)らに落ち着くよう促そうとするが、


「落ち着いてじゃねぇんだよ!」

「自分に『様』つけるとか痛いんだよ、てめぇ!」

「い、いや、この大会名は俺が考えたんじゃなくて、櫻子たんが⋯⋯」

「うるせぇんだよ! てめえの話はどうでもいいんだよ!」


 会場はオメガの言葉など、もはや聞く耳持たない状況となっていた。そんな中、


「とりあえず、その《《クソダサい》》仮面外せや!」


 デスマスクの仮面がいじられたオメガは、


「⋯⋯あ? てめぇ、今なんつった? 誰がクソダサい仮面だ、コラ? かっこいいだろがこの野郎がぁぁ!!!!」


⋯⋯キレた。


「あーもういいわ。てめえからやってやるわ。おいてめえ、今すぐ舞台に上がってこ⋯⋯」

「やめろ、たわけがぁぁー!!!!」

「ごふぅぅ!!!!」


 そんな、キレて何もかも段取りを吹っ飛ばそうとしたオメガの前に櫻子が『空間転移(ジャンパー)』で現れるや否や、《《いつもの》》ように鳩尾(みぞおち)に掌底を打ち込まれ、その場でうずくまるオメガ。


「お前がキレてどうするのじゃ、たわけが!」

「さ、櫻子たん。その掌底はマジで⋯⋯キツイから⋯⋯」

「知らんわい! お前がワシに掌底を打ち込ませるようなことをするからじゃ!」

「そ、そんな⋯⋯理不尽」


 そんな、探索者(シーカー)ギルド日本支部のギルドマスターであり、世界第3位クイーンの称号を持つ櫻子が現れると、


「さ、櫻子様だ!」

「きゃぁぁぁ! 櫻子様ぁぁぁ!!!!」

「櫻子様ぁぁぁ!!!!」

「オオォォォォ、ナマ、サクラァァコォォォ!!!!」

「イエス、ゴウホウ! ノータッチ!」


 と、探索者(シーカー)だけでなく観客席にいる一般人からも櫻子に対しての黄色い声援が飛び交い、先ほどのオメガへの怒号飛び交う殺伐とした状況が一変した。⋯⋯《《一部》》おかしな外国人ファンもいるようだが。



********************



「皆の者、本日は忙しい中この大会に参加してくれてありがとうなのじゃ! 探索者(シーカー)ギルド日本支部ギルドマスターとして深い感謝の意を表すのじゃ!」


 と、先ほどの掌底で今もなおうずくまるオメガをよそに、いつもより《《3割増し》》の『悩殺のじゃロリモード』で挨拶する櫻子。すると⋯⋯、


「ウオォォォ! サクラァァコ、サイコー!!!!」

「か、かわいい⋯⋯かわいいな、おいぃぃぃ!!!!」

「深い感謝の意を表されちゃいましたぁぁ!!!!」

「のじゃロリぃぃぃ!!!!」

「アアアアアアアアア、サクラコォォ!!!!」

「オオォォォ、サクラコサマァァァン!!!!」

「ソノノジャロリ、イイネデ、カオウデェェェス!!!!!!」


 と、会場のすべての人間の心を鷲掴みする櫻子。


(フッ、チョロイのじゃ!)


 そんなオメガのやらかしにより殺伐とした会場の空気を一気に浄化した櫻子は、その勢いのまま大会の説明を始める。


「さて、この大会じゃが主旨としては事前に通達しておるとおり、『喋る魔物の地上侵略阻止のための能力向上』が目的じゃ。そして、その能力向上の《《鍵》》となるのが、あのオメガの電波ジャックで言っておった『覚醒(トランス)ポーション』となる。そして、これが⋯⋯⋯⋯その現物じゃ!」


 と言って、櫻子が覚醒(トランス)ポーションを取って皆に見せる。


「あ、あれが⋯⋯オメガが言ってた覚醒(トランス)ポーション⋯⋯」

「色は黄色なんだな」

「いや、赤色もあるぞ」

「ああ、そういえば覚醒(トランス)ポーションって2種類あるみたいなこと言ってたな⋯⋯」


 初めて生で覚醒(トランス)ポーションを見た探索者(シーカー)や観客らは、各々でその感想を言い合いだしたため、少しザワザワし始めた。そんな中、


「さて、ここからはよく聞いてほしいのじゃが、この覚醒(トランス)ポーション⋯⋯見ての通り2つあり、それぞれ色が違うのがわかると思うのじゃが、これは覚醒(トランス)ポーションの効果によって色分けしておる⋯⋯」


 櫻子の言葉に再びザワザワする会場。しかし、そんなことを気にせず櫻子はさらに説明を続ける。


「そして、ここが重要なのじゃが、この覚醒(トランス)ポーションには⋯⋯⋯⋯『副作用』がある」

「「「「「っ!!!!!!!」」」」」


 この瞬間——場のざわめきが消えた。


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