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194「様々な思惑(3)」

※すみません、今週からは「週一投稿(土曜日)」または「不定期投稿」となります。ご迷惑おかけしますがよろしくお願いいたします



「な、なんか緊張しますね、主様⋯⋯」


 そんな不安な言葉を漏らすのは、アレクサンドル・アーサーのメイド『ウィロー』


「何、緊張しているのかウィロー? どれ⋯⋯」

「わぁぁぁ!? ちょっ⋯⋯公衆の面前で後ろから抱きつくとか何やってんですか!」

「いや、ウィローが緊張しているっていうから抱擁して落ち着かせてあげようと⋯⋯」

「やめてください! たださえ目立つのにさらなる燃料を投下しないでください!」

「ええぇ⋯⋯」


 と、周囲の目も気にせず二人がいつものミニコントを繰り広げていると、


「相変わらずマイペースだな⋯⋯アレク」

「⋯⋯ルーシー」


 アレクサンドル・アーサーに声を掛けたのは第4位『ジャック』のルーシー・フェアチャイルド。


「お久しぶりです、ルーシー様!」

「うむ、久しいな、ウィロー。相変わらずアレクは君にご執心かい?」

「や、やめてください! そんなこというと⋯⋯」

「やー、そうなんだよぉールーシー! わかってるじゃないかぁぁ! 君からも言ってくれよ、僕がどれだけウィローを本気なのかってことをっ!!」


 ルーシーの言葉に一気にテンションが上がるアレク。


「ホラァ! もうぉぉぉ! ルーシー様、ワザとでしょ!」

「ははは、すまんすまん。こんなアレクはウィローといる時でしか見れないから⋯⋯ついな」

「もう!」


 そんなルーシーが一通りウィローをからかった後、


「ところで⋯⋯⋯⋯さすがに今回はお前も出てきたようだな、アレク」

「!⋯⋯まぁね」


 ルーシーとの会話が始まると、すぐに《《外向き》》の飄々としたキャラが顔を出す。


「目的は覚醒(トランス)ポーションか? それともオメガか?」

「どっちもかな。君もそうだろ?」

「フン、まーな。だがどちらかというと私はオメガと戦ってみたい気持ちが強いがな」

「フッ⋯⋯君らしいね。おや? そういえば君のところの孤高のロリ(ソローリー)は?」

「セリナか? それならほら⋯⋯後ろにいるぞ」


 と、ルーシーが返事を返した瞬間、


孤高のロリ(ソローリー)って言うな!」


 ブン!


「おっと」

「ちっ!」


 アレクサンドル・アーサーの背後から突然手刀が飛んできたがそれを確認もせず悠々と躱すアレク。そんなアレクに手刀を躱されて舌打ちしたのは、世界ランカー第7位のセリナ・サンダース。


 ちなみに『孤高のロリ(ソローリー)』とは、彼女の探索スタイルがクランを作らず、つねにソロ活動であるということと、彼女の『幼女体型』の風貌からファンの間で『孤高のロリ(ソローリー)』と呼ばれるようになったがはじまり。


 ただし、本人はその二つ名で呼ばれるのを心底嫌がっているのだが、ファンはその『嫌がりぶり』も含め()でているため、悲しいかな⋯⋯ファンとセリナの溝は深まるばかりであった(なんのこっちゃ)。


「ずいぶん久しぶりだね、セリナ。たまには会議に参加しないとダメだよ?」

「喧嘩売ってんの? あんたにそんなこと言われたくないわよ!」


 と、セリナが睨みつけながらアレクにケンカ腰に返事を返す。


「ところで、セリナのお目当ては覚醒(トランス)ポーション? それともオメガ?」


 そんなセリナにいつものように気軽に質問をしたアレクだったが、


「⋯⋯」

「⋯⋯? セリナ?」

「私の《《狙い》》は⋯⋯⋯⋯オメガだけよ」

「「⋯⋯!」」


 さっきまでのケンカ腰な態度だったとはいえ砕けた感じから一転——突然真顔で返答したセリナに違和感を感じるアレクサンドル・アーサーとルーシー。


「セリナ⋯⋯お前どうした?」

「っ!? な、何でもないわよ!」


 ルーシーが声を掛けるも、セリナはバツが悪いような感じでさっさと二人から離れていった——その時だった。


 フッ⋯⋯!


 突然、ドーム内の照明が落とされると一瞬ざわめきが起こったが、その直後すぐに照明が復活。


 すると、闘技場の中央に人が立っているのに気づくと、会場の全員が心の中でその男を《《認識》》した。


(((((オメガ⋯⋯っ!!!!)))))


 そして、


「おまたせしました、みなさん! ここに⋯⋯『チキチキオメガ様と親睦を深めよう大会』を開催することを宣言します!」


 と、東京ドームにオメガの大会宣誓の声が響き渡った。


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