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184「オメガインパクト狂想曲(3)」



——世界探索者(シーカー)ギルド協会イギリス総本部<地下会議室>


「皆様、遠いところをわざわざお越しいただきありがとうございます」


 そう、あいさつするのはイギリス総本部No.2副ギルドマスターであり、探索者(シーカー)世界ランキング第2位キングの称号を持つ『ソフィア・ナイトレイ』。ちなみに、『オメガ様ガチつよ勢裏ボス』も兼任している。


「お久しぶりです、ソフィア様」

「久しぶりね、リンファ」

「ソフィア様、いや〜今日もまたお美しい」

「ありがとう、ハドラーさん」


 ソフィアが挨拶すると、各々がとりあえずの反応を見せる。そんな中、


「それで? イギリス総本部(あんたんとこ)のギルドマスターはどうしたの? また不在?」


 と、はっきりとした厳しい口調でソフィアに詰めたのは『世界探索者(シーカー)ギルド協会アメリカ支部』のギルドマスターで探索者(シーカー)世界ランキング第4位ジャックの称号を持つ『ルーシー・フェアチャイルド』。


 切れ長の目をしていていかにも『他人に対して厳しそうな顔立ち』をしている⋯⋯まー実際厳しいのだが。しかし同時に『自分にも厳しい人』でもあるため彼女の言葉は強く、その凛々しい姿は探索者(シーカー)や一般の人からも絶大な人気を誇る。


 そんなルーシー・フェアチャイルドの言葉にランキング的には上であるソフィアも、


「⋯⋯す、すみません。ルーシーさん」


 と、このようにタジタジである。


「こんな世界ランカーが一堂に集う会議に参加しないなんて⋯⋯さすがに私たちを舐めすぎではなくて?」

「すみません」

「おい、それを言ったらセリナも来てないぞ? セリナはルーシー⋯⋯アメリカ支部(あんたんところ)のナンバーズでは?」


 と、ここでルーシー・フェアチャイルドに物申すのは第9位、韓国のパク・ハサン。


「彼女はどうしても外せない用事があるということで今回は欠席です。私がそれを許しました。問題でも?」

「問題だろ。あんたさっきソフィアに言っていることと矛盾してるじゃねーか」

「いいえ、矛盾などしてないわ。だって、アメリカ支部のトップは私だし、私がここにいるんだから別に同じアメリカ支部のあの子がいなくても問題ないわ」

「だったら、ソフィアに対して責めるのはやめろや」

「嫌よ。だってセリナは前回の集まりには来てたでしょ? でも、イギリス総本部ギルドマスターで世界ランク第1位『エース』のアレクサンドル・アーサーは前回も今回も来てないのよ? いいえ、もっと言えばそれ以外でもこれまでの集まりに参加したことないじゃない。そんな無礼な奴とウチのセリナを一緒にしないでもらえる?」

「いいや、一緒だ」

「⋯⋯おい、パク・ハサン? お前この私に喧嘩を売ってるのか?」

「いいや違うね。ただ訂正を促してるだけだが? ただ、あんたがそう思うのは自由だがな」

「あらそう? じゃあ、私から売りましょうか、喧嘩?」

「いいぜ。力を付けた俺の今の実力ならお前にはもう負けねー」

「はん、やってみなさい」

「おう、いいぜ!」


「やめてください、二人ともっ!!!!」

「ふ、二人とも⋯⋯お、おお⋯⋯落ち着いて!」


 ルーシー・フェアチャイルドとパク・ハサンが一触即発となりかけたその時、ソフィアともう一人、探索者(シーカー)世界ランキング第10位で身長211cmという巨体を誇るドイツ支部ギルドマスター『ヴォルフ・エルゲンシュタイン』が間に入った。


「パクさん! お願い、ここは一旦引いてください!」

「ソ、ソフィアさん⋯⋯⋯⋯わかりました」

「もう! 相変わらず暑苦しいわね! そこ、どきなさいよ、ヴォルフ!」

「う、うぐ⋯⋯! こ、こらえてください、ルーシーさん!」


 二人がそれぞれを抑えつけたおかげでなんとか騒ぎは収まった。


「あ、ありがとうございます、ヴォルフさん。助かりました!」

「い、いいい⋯⋯いえ。と、とと、とんでもないです!」


 ソフィアの感謝の言葉に頬を染め頭をかきながら謙虚な態度を示すヴォルフ。



********************



「⋯⋯さて、今日集まってもらったのは他でもないオメガさ⋯⋯コホン⋯⋯オメガが電波ジャックの件です」


 と、騒ぎが収まったタイミングで早速本題の話を始めるソフィア。


「我々イギリス総本部といたしましては、条件を満たし自ら志願した探索者(シーカー)全員を参加させる所存です。その数は⋯⋯22人です」


 ソフィアのいきなりの発言に全員が驚く


「え? ソ、ソフィア⋯⋯出るのか?」

「もちろん。むしろ望むところです」


 ソフィアの発言に真っ先にからんだのはパク・ハサン。


「正直、今回のオメガさ⋯⋯オメガの電波ジャックは我々を含めた世界の探索者(シーカー)に喧嘩を売っているようなものだということもわかっています。ですが、彼の力が本物であるのも⋯⋯また事実」

「! ソフィア⋯⋯」

「そして、同時に私たちに匹敵する力を持つことも⋯⋯琉球ダンジョンでの彼の戦闘を観てはっきりとわかったでしょう⋯⋯皆さん?」

「「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」」


 ソフィアの少し挑発的な発言に全員が口を閉ざす。


「それに琉球ダンジョンで出現した喋る魔物の幹部と思われる『()(はしら)のマグダラ』⋯⋯彼女の強さも我々に匹敵するとわかったはずです。しかも、オメガの言うとおりならそのレベルの喋る魔物があと3人いて、さらには、その下にC級ランカー以上の喋る魔物の兵隊もいるのです」

「そして、それらが地上に上がろうと近いうち襲撃しに来る⋯⋯。これを人類の危機と言わずして何と言えましょう」

「ですので、世界ランカートップ10のナンバーズ、及びビッグ4全員の参加を希望します。これは私からのお願いです!」



 その後、ソフィアの願いに応えた探索者(シーカー)はいなかった。ただし、それは否定というわけではなく、あくまで「考える時間が必要」という皆の態度であった。


 そして、その後ソフィーナ宛に『参加表明』の返事はヨウ・リンファとパク・ハサンの二人だけで、それ以外は大会前日になっても回答はなかった。


 残りのメンバーが参加するかどうか⋯⋯それは大会当日ではっきりとなる。


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