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172「理恵たんの実力(3)」



「あれ? さらに詰めてくると思っていたんだけど⋯⋯」

「タケル君!」


 そこで理恵たんが声をかけてきた。


「は、はい!」

「やっぱり⋯⋯本当に強いんだね」

「え? あ、いやぁ⋯⋯」


 俺が手で頭をポリポリしながら返事を返すと、


「今改めてタケル君が本当にオメガだってこと⋯⋯実感したよ」

「⋯⋯理恵たん」


 理恵たんが笑顔でそんなことを口にした。そして、


「あともう一つ、気になったんだけど⋯⋯」

「?」

「オメガの強さって⋯⋯この程度じゃないよね?」

「! え、え〜と⋯⋯」


 俺がその質問の返事に窮していると、


「返事のレスポンスが遅いってことは、やっぱそういうこと⋯⋯だよね(ボソッ)」

「え? な、何⋯⋯?」


 理恵たんが何か呟いたように見えたがなんて言ったのかまでは聞こえなかった。しかし、


「それじゃあ⋯⋯ちょっとこれ、試してみようかな?」

「ん? 試す?」


 そんな言葉を呟いた理恵たんが、スッと右手を俺の顔に向けてかざす。そして、


「⋯⋯『魅了』!」

「いや、えええええっ!?」


 いきなり、『スキル:精神汚染』のスキル技を展開。すると一瞬——目の前がピンク色に包まれ、意識が少し途切れそうになる。しかし、その現象は闇属性上級魔法の『魅了』とほぼ同じだったので、俺は自分に気を入れてその魅了現象を蹴散らし無効化させた。


「⋯⋯ふう」

「む、無効化した⋯⋯。やっぱり、本当にタケル君には⋯⋯効かないんだ」


 理恵たんが『魅了』を無効化したのを見て驚いた表情を見せる。ていうかその前に、


「いや、ここでのスキル発動は禁止じゃなかったのかよぉぉ!!!!」


 と、俺は思わず素の言葉でツッコミを入れた。すると、


「ご、ごめんね、タケル君。でも、やっぱタケル君って本当に強いんだね!『魅了』をこんな簡単に無効化できるなんて⋯⋯あはっ!」


 と、イタズラっ子のような笑顔でテヘペロしながらそんな言葉を投げかける理恵たん。


 か、可愛いな、おい。


「い、いや、確信犯かよ!」

「うん、ごめん! でも⋯⋯フフフ」

「な、何だよ⋯⋯?」

「あ、いや、このタケル君の喋り方⋯⋯オメガっぽいなぁ〜って」

「⋯⋯あっ?! ご、ごめん!」


 普段、理恵たんと喋るときはもっと丁寧だったので俺は思わず謝った。しかし、


「ううん、謝らないで! ていうか、ボクはこっちのタケル君のほうが距離がより近い感じがして⋯⋯嬉しいかな、エヘヘ」

「⋯⋯!」


 ぬ、ぬぬぬぅぅぅ⋯⋯!『ボクっ子ショタ理恵たん』があまりに可愛すぎて⋯⋯俺の性癖に『新たなナニか』が芽吹きそうじゃないかぁぁ!!!!


「だ、大丈夫⋯⋯タケル君? 顔色悪いよ?」

「だ、大丈夫大丈夫。まだ、理性は保てているから」

「⋯⋯理性?(こてん)」

「ぐはぁぁぁ!!!!」

「きゃあああ⋯⋯! タ、タケル君っ!?」


 ボクっ子ショタ理恵たんの首を傾げるその仕草が、俺のノーガード状態の性癖にクリティカルヒット。もはや理性崩壊は時間の問題のようだ。


 ということで、『スキル:精神汚染』のスキル技『魅了』は効かなかったけど、『ボクっ子ショタ理恵たん』の魅力にはすっかり魅了されてしまったとさ。


 おあとがよろしいようで。



********************



「ふむ、さすがタケル君⋯⋯というべきか。やはり、お嬢の『スキル:精神汚染』の『魅了』は効かなかったか」


 そんな俺を見て、納得した様子でそう告げるのは如月さん。


 ま、まぁ、魅力(別の魅了)にはやられたんですけどね。


「ワシやタケル相手には通用しない⋯⋯ここまでは予想通りじゃな(どやぁ)」


 と、胸を張ってドヤ顔しながら呟くのは櫻子たん。


 しかし、その横では佐川が「マ、マジかよ! タケルには本当に効かないのかよ!?」と驚いた表情で叫ぶ。それを見た俺が「なんで、そんなに驚くんだ?」と聞くと、


「い、いや、タケルがオメガと同一人物だと知っても⋯⋯実際にこうやって見るまでは半信半疑だったからよ⋯⋯」


 とのこと。まー「実際に目にしないと実感が沸かない」⋯⋯みたいなやつか。


「てことは、佐川はその『魅了』は効いたのか?」


 と聞くと佐川はバッチリ効いていたらしい。ついでに俺はその『魅了となった状態』がどういうものかを聞いてみた。


「⋯⋯あ、あんま言いたくないんだけど、ま、まぁとりあえず『魅了』にかかっちまうと『雨宮に夢中になる状態』って感じになってよ。こう⋯⋯『雨宮の為なら俺はなんだってする!』ってなる感じになってよ⋯⋯」


 と、佐川が頬を染めながらそんなことを言い出した。それを見た俺は「お前が頬染めんなやー!」とツッコミを入れようとした時、


「な、何言ってんのよ、佐川! そんなこと、わざわざここで言わないでよっ!?」


 と、理恵たんが頬を染めながら佐川を詰め、佐川は「い、いや俺だって言いたかなかったしぃぃ!」と何やらイチャコラしていた。


 あ、そうだった。この二人って、こんな感じ(イチャイチャムーブ)だったわ。


 何となく、自ら『墓穴を掘った感』で傷心する俺でしたとさ。


 自爆、乙。


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