169「水着サービス回?いいえ、副作用説明回です(いいぞ、もっとやれ)(2)」
「だ、男性化⋯⋯」
「そう⋯⋯これがお嬢に水着を着てもらった理由だ」
理恵たんに降りかかった異世界産覚醒ポーションの副作用⋯⋯それは『体が男性化する』というものだった。
「ま、まさか、男の体に変化するなんて⋯⋯こんなの異世界でも聞いたことない⋯⋯」
そう。異世界だと、だいたいが精神崩壊とか自我崩壊とかいうものが多かったのだ。いや、まぁ、副作用のヘビーさでいえば異世界のほうが重いとは思うけど。
「しかもお嬢の変化は体だけでなく声色も変わってるしね。聞いたでしょ? あのショタボイスを?」
「ちょっ⋯⋯か、柑奈さんっ!!」
如月さんの言葉に理恵たんがツッコミを入れた⋯⋯ショタ声で。
「う〜ん⋯⋯良い! 良い! ショタボイスからのツッコミがこの上ないご褒美だよ、お嬢! 正直、個人的にはお嬢にはこのままでいて欲しい!!」
「い、嫌ですよっ!!」
なるほど。如月さんは『ショタっ子属性』も拗らせていたか。
しかし、しかし⋯⋯である。
この理恵たんの『細マッチョショタ化』⋯⋯⋯⋯ぶっちゃけ悪くないと思う自分がいる。
いや、その表現は正確ではない。むしろ、ただのごまかしだな。
はっきりと言おう⋯⋯。
「如月さん⋯⋯⋯⋯アリです!(グッ!)」
「タケル君!(グッ!)」
俺は如月さんに満面の笑みでサムズアップ。それを見た如月さんも同じように満面の笑みでサムズアップで返す。すると、
「⋯⋯二人とも」
「「ん?」」
「いいかげんに⋯⋯してください」
「「ひぇ! は、はい⋯⋯」」
そんな意気投合する俺と如月さんに、理恵たんが据わった目をしながら『ガチおこトーン』でピシャリと止められた。こ、怖ぁっ⋯⋯!
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「と、とりあえず、水着になった状況はわかりました⋯⋯」
一段落して落ち着いた俺は、改めて状況を整理しようと話を始める。
「まず、理恵たんの変化は『男性化』というものはわかりましたが⋯⋯効果はどうだったんですか?」
「フフ⋯⋯それなんだが、実はタケル君や私たちが予想していた通り、通常の状態から大きく変化する副作用の場合得られる身体能力やスキルは高かったよ」
「! ということは⋯⋯」
「ああ。まず、お嬢のこの『男性化』⋯⋯いや『ショタ化』だが⋯⋯」
「ちょっ⋯⋯! 柑奈さん?! わざわざ言い方を変えないでよ!!」
と、ここで理恵たんから『物言い』が入った⋯⋯が、
「「まーまーまーまー」」
「いや、なんでタケル君も一緒になって宥めてるのっ!?」
いや、理恵たんの変化を見たら、やっぱ『男性化』ってよりも『ショタ化』がシックリくるんでねぇ。悪いけど、そこは譲れないなぁ。
「とにかく! お嬢のこの『ショタ化』だが、この状態に変化すると24時間⋯⋯つまり丸1日はずっとこのままだ」
「えっ! い、1日⋯⋯っ?!」
「うむ。佐川君に比べればだいぶ副作用の効果は強いことがわかるだろ?」
「⋯⋯たしかに」
そう、佐川の場合はスキルを使っても『口調』が変わるだけで体に変化はない。しかし、理恵たんの場合は『体』自体が変わり、その上『口調』まで変わっている。
「俺でだいたい10〜20分くらいだな⋯⋯」
すると、横から佐川がそう呟く。
「あ、佐川いたんだ?」
「いるよ?! さっきから! 君の横にぃぃ!!!!」
理恵たんが水着で出てきてから全然会話に入っていなかったからてっきりいないと思ってたわ。まーそんなことよりも、
「そ、それで⋯⋯理恵たんはどう変化したんですか?」
「⋯⋯まず身体能力は『8倍』に上がったわ」
「8倍っ?!」
「そして、スキルは2つ獲得。スキル名は⋯⋯『精神汚染』と『阿修羅』」
「精神汚染と⋯⋯阿修羅?」
何だか物騒なスキル名な件。
「⋯⋯ていうか『阿修羅』って?」
「阿修羅とは元はヒンドゥー教の神で仏教にも取り入れられた神様で、日本では仏教の神様として有名かな⋯⋯」
「へ、へぇ〜」
スキル名が神様の名前⋯⋯なんだ。すごいな。
「そして、スキル技だがお嬢はこの『精神汚染』と『阿修羅』各々1つずつ獲得している」
「え? えええええ⋯⋯っ?!」
スキル技もスキルの数ごとに発現したのか! エグいな⋯⋯おい!?
「まず『スキル:精神汚染』のスキル技は⋯⋯『魅了』。効果は、スキルをかけられた相手がスキルかけた自分に従うというもの」
「⋯⋯なるほど」
この『魅了』というスキル技⋯⋯おそらく闇属性魔法『魅了』と同じ効果なのだろう。
「そして、もう1つの『スキル:阿修羅』のスキル技は⋯⋯『三面六臂』」
「さ、三面⋯⋯六臂⋯⋯?」
「これは、身体能力が8倍になった状態から、さらに物理攻撃と敏捷性が3倍に引き上がるスキル技だ」
「な、なんと⋯⋯」
いや、物理攻撃と敏捷性がさらに3倍引き上がるって⋯⋯むちゃくちゃだな!
「とはいえ、さすがに『永続』ではなく『1分間だけ』という縛りはあるけどね。それでも、お嬢の獲得したスキルはどっちもすごい能力であることは間違いないわ」
「⋯⋯ですね」
いや、異世界産覚醒ポーション⋯⋯エグすぎぃぃ!!!!