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165「身バレの真相(2)」



「一芝居⋯⋯。う〜ん⋯⋯」


 俺は如月さんに問いに考え込む。正直⋯⋯全くもって見当がつかない。


「チチチチチチ⋯⋯」


 如月さんがタイマーのごとき音を口ずさみ煽ってくる。


「チチチチチチ⋯⋯なのじゃ!」


 あとなぜか櫻子たんもまた煽ってきた。うぜぇぇ⋯⋯。


「う〜ん⋯⋯わかりません」


 俺はあっさり降参を宣言。


「え? マジで気づいていないのか、タケル?!」

「う、うっさいな〜。悪いかよ!」


 佐川が驚いた表情でそんなことを言ってきた。ちくしょう、佐川のくせに〜⋯⋯などと思っていると、


「やっぱりタケル君は気づいていなかったかぁ〜。君、そういうとこ本当鈍感⋯⋯だよね?」

「お主のその『鈍感力』は相変わらずじゃの。良くも悪くも」

「そ、そんな、二人まで⋯⋯」


 ここで如月さんと櫻子たんからまさかの追撃を受けることとなった俺。泣くぞ!


「そ、それで、そのぉ〜⋯⋯一芝居打ったってのは一体?」


 めちゃめちゃ恥ずかしかったが、しかしそれでも真相を聞きたかった俺は恥を忍んで答えを聞く。


「それは⋯⋯オメガの衣装です」

「え? 衣装?」

「はい。オメガが2回目の配信をしたとき⋯⋯衣装変えましたよね?」

「う、うん」


 たしかに理恵たんの言う通り、2回目の配信の時に衣装を変えたが⋯⋯え? それが何なの?


「その衣装となる前に⋯⋯学校で私と佐川とでオメガの衣装の話をしたのを覚えてますか?」

「あ⋯⋯!」


 思い⋯⋯出した!


 そうだ、あの時! オメガの2回目を配信する前に二人と一緒に衣装の話をしたんだっけ⋯⋯。そして、俺はその時の二人の『正体不明、謎の暗殺者(アサシン)』という衣装提案に「それいい!」ってなってそれをそのまま参考にしたけど⋯⋯。


 ん? それって、まさか⋯⋯?


「あ⋯⋯あああああああっ?!」

「気づきましたか?」

「二人の⋯⋯二人の意見をほぼそのまま採用した衣装だったから⋯⋯!」

「はい。なので、その時点でタケル君がオメガであることを私たちは確定しました」

「な⋯⋯」


 何やってんだ、俺ぇぇぇぇ!



********************



「オ、オメガの2回目の配信の衣装が⋯⋯身バレの証拠だったとは⋯⋯」


 全く気づかなかった自分の鈍感さに自己嫌悪する俺氏。


「てことは、それ以降は俺がオメガだと二人は知っていたのか⋯⋯」

「はい、すみません」


 理恵たんがここでもう一度謝った。


「でもよ〜、それはそれで俺たちもすっげえ悩んでたんだぜ? なんせ、お前が世間を騒がしているオメガだってわかったら逆に言い辛くなってよ。正直⋯⋯どのタイミングで言うかって俺も雨宮も悩んでたんだよ⋯⋯」


 と、佐川が言及。まぁ、たしかに逆の立場だったら言うタイミングは難しい⋯⋯か。


「で、その後3人でクランを結成しただろ? そのタイミングで俺と雨宮は言おうと思っていたんだ。でも、そしたらお前が琉球ダンジョンに行くってことになったからよ⋯⋯。それで結局言えないままだったんだ」

「⋯⋯そうだったのか」


 さらに佐川は⋯⋯俺たち3人で結成した『英雄旅団』をきっかけに俺に身バレの話をし、その上でそれでも俺がクランで一緒にやっていってくれるのなら俺と肩を並べられるよう強くなると⋯⋯そう覚悟を決めていたと話した。


「⋯⋯ただ結果的には結成した『英雄旅団』でダンジョン探索した時に、お前が俺に覚醒(トランス)ポーションを無理矢理飲ませたことが、今こうして真相を話すきっかけになったんだけどな」

「え? そうなの?」

「ていうか、お前だって俺が覚醒(トランス)ポーションを飲んで身体能力向上とスキル技が身についたことで、如月さんと櫻子様で覚醒(トランス)ポーションの安全な量産化に向けて話していたんだろ? 聞いたぞ?」

「え? あ⋯⋯そ、そう?」


 ん? 流れ変わったな?


「俺は⋯⋯俺は⋯⋯そのおかげで⋯⋯如月さんに雨宮のこの開発室に呼ばれて、散々分析の手伝い(・・・・・・)という名のモルモット化されていたんだからなぁ!」


 佐川の話では、どうやら『覚醒(トランス)ポーションの量産化』ということでこの世界の人間で初めて異世界産の覚醒(トランス)ポーションを飲んだ佐川は『貴重なモルモット』として色々実験させられたらしい。


「俺はよ〜タケルぅ⋯⋯如月さんのファンだけどよ〜、でも如月さんのマッドサイエンティズムが自分に向けられるってことがどういうことなのかってのを⋯⋯図らずも知ってしまったんだ」

「お、おう⋯⋯」

「あの人は人間じゃねぇ⋯⋯。人の皮を被った悪魔⋯⋯いや! それ以上の⋯⋯何か⋯⋯」

「佐川く〜ん? お口⋯⋯チャックしよっか?」

「ひぁぁああぁぁぁああぁああぁあぁあああ⋯⋯! ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃぃぃっ!!!!」


 如月さんの呼びかけに何を思い出したのか、佐川はブルブルと震え出し⋯⋯話すのをやめた。⋯⋯一体、如月さんは彼に何をしたのだろう?


「タケル君。世の中には知らないほうがいいってことがある⋯⋯わかるね?」

「は、はいぃぃ!!!!」


 俺は全力で如月さんの言葉に従い、佐川が開発室(ここで)何をされたのか⋯⋯聞くのをやめた。


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