141「エリクサー再び」
「な⋯⋯な⋯⋯なな⋯⋯っ?!」
薬を飲んだ直後、体が緑の光に包まれると、越智の試作100号改に骨ごと切り刻まれまともに立つことさえできなくなっていた両足が目の前でみるみる回復していくのを見て驚きのあまり言葉を失う。
そしてそれは⋯⋯、
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:あ、足が、凄い速さで、回復してる!?
:は? はぁああぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁっ!!!!
:な、なんだ! 一体何が起こってるんだってばよ!!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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コメント欄もその謎の現象に驚きと困惑のコメントで溢れ返っていた。
その後、タケルは今度は試作100号改の刃に斬られ突かれもはや虫の息となっていた百合姫こと及川のほうへ行くと彼女に薬を飲ませる。すると、フワァァァ⋯⋯と彼女の体もまた緑の光に包まれると瞬く間に傷が消えていった。
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:まただ! また傷がみるみる塞がってりゅぅぅぅ!!!!
:これ、ポーション⋯⋯なのか?
:いやいやいやいや! こんな効果のポーションなんて聞いたことないぞ?!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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「⋯⋯ん、あれ? わ、わたし、一体⋯⋯?」
さっきまで出血多量で真っ青だった顔に生気が戻ると何事もなかったかのように起き出した及川。それを見た越智は、
「及川ぁぁぁっ!!!!」
と、及川を全力で抱き締めた。
「え? えええええええ⋯⋯っ!!!! お、越智くんっ?!」
いきなり越智に抱き締められ驚く及川。
「ちょ⋯⋯越智くん! 越智くんステイっ!!」
「はっ!? す、すまん⋯⋯!」
及川の言葉にハッと我に返った越智。そんな彼は無意識とはいえ及川を思わず抱き締めてしまった自分の醜態にカーッと顔を赤くする。
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:あらまあ
:おおおおおおお、越智さぁぁぁん!!!!
:いやん
:こんな越智さん、初めて観た
:まあさっきまで百合姫瀕死の状態だったしね?
:これくらいはまあ⋯⋯ね?
:おいリーダー、そこ代われ
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「べ、別に⋯⋯ちょっと驚いただけだから! い、嫌とか、そういうのじゃないから!」
と、全力で謝った越智を見てそんな返事を返す及川。そして、そんな彼女の頬もまた真っ赤に染まっていた。
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:堕ちた
:堕ちたな(確信)
:越智だけに
:↑ 誰がうまいこと言えとwwww
:ちょっと、ちょろ過ぎやしませんかねぇ⋯⋯
:百合姫の頬⋯⋯頬ぉぉぉぉ!!!!
:姉御肌の百合姫が乙女にジョブチェンジ
:うらやま
:うらやま死刑
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「あ、あのぅ⋯⋯目の前でイチャコラするのやめてもらっていいですか?」
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:よくいった!
:よく言った!
:オメガ様完全にこっちサイド!
:オメガ様・おれら <<< 越えられない壁 >>> 越智さん・百合姫
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「は、はぁぁぁぁ?! べ、べつに、そんなんじゃねーし!」
「そ、そうです! 別にそういうものでは⋯⋯て、えええええええっ?! な、なんで、オメガ様がここにぃぃぃっ!!!!」
「はい、オメガです」
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:「はい、オメガです」(本日2度目)
:「はい、オメガです」← じわじわくるww
:くっ! こんなことで⋯⋯!?
:てか、越智さんのツンデレ感がね⋯⋯
:ラブコメの波動を感じる
:ラブコメの波動を感じる
:ラブコメは始まるわ、オメガ様降臨するわ、
情報過多でもう食べれまてん
:ラブコメなんて始まっていなかった
⋯⋯いいね?
:ひぇ
:百合姫ガチ勢かな?
:いや越智さんガチ勢もある
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「と、ところでオメガ⋯⋯。あんたがさっき俺たちに飲ませたあれって⋯⋯何?」
「そうです! 私はさっきまで正直死ぬ寸前でした。ですが、オメガ様が飲ませてくれた薬で傷も塞がり全快しました! ポーションだとは思うのですが、あんな即効性で、且つ全快するポーションなど見たことも聞いたこともありません! あれは一体⋯⋯?」
「え? あ、はい。あれは『エリクサー』ですね」
「は?」
「え?」
「だから、エリクサーです」
「「⋯⋯え? えええええええええええええええええっ!!!!!!」」
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:エリクサー⋯⋯だと?!
:おいおいおいおい⋯⋯おいぃぃぃぃ!!!!!
:いやいやいやいや!
エリクサーて実在してたのかよ!?
:おまえらもちつけ
:いやちょっと待て! エリクサーはな
実在はするらしいが公式発表ではまだ
見つかっていないはずなんだが?
:うむ。都市伝説で超富裕層とかが
エリクサーを持っているとかなんとかは
聞いたことある⋯⋯が
:いやこれ⋯⋯本物?
:いや本物だろ!
越智さんと百合姫が全快したんだから!
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エリクサーの乱⋯⋯再び。
「そ、そんな⋯⋯まさか。でも私と越智くんのあれだけの傷が全快したってことは⋯⋯」
「ほ、本物⋯⋯!」
二人がエリクサーの効果に呆気に取られ驚いている中、一人傍観しているタケルがふとある物に気づく。
「ん? あれって⋯⋯配信用ドローン?」