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132「過疎化ダンジョン凸り隊(1)」



「「「「はい、どーもー!『過疎化ダンジョン凸り隊チャンネル』でーす!!」」」」


——————————————————


:ハジマター!

:いえーい!

:いえーい、ぴーすぴーす!

:僕はキメ顔でそう言った

:よつぎぃぃぃうぇぇぇい

:今回の配信は見逃せナイト!

:待ってた

:待ってた定期!

⋯⋯

⋯⋯

⋯⋯

⋯⋯

⋯⋯


——————————————————


 配信が開始されるや否や、視聴者からコメントがドシドシ入ってきてチャット欄がものすごい勢いで流れていく。


——————————————————


「ふふ⋯⋯配信開始早々、すごい勢いでコメントが入ってきてるわね。みんなコメントありがとう」

「そりゃそうでしょ! なんてったって今回は『例のダンジョン』の配信ですしおすし!」

「ですしおすし〜!」

「ですしおすし〜!」


——————————————————


:百合姫、ぐうかわ

:ともちー、ぐうかわ

:りんなちゃん、ぐうかわ

:りんねちゃん、ぐうかわ

:ぐうかわ方程式

:百合姫 + ともちー(りんなちゃん × りんねちゃん)= 全員優勝

 以上⋯⋯証明終了(Q.E.D)

⋯⋯

⋯⋯

⋯⋯

⋯⋯


——————————————————


 流れてきたコメントに最初に感謝の言葉を伝えたのは、『スレンダー美女とはこういうもの』を体現している黒髪ロングの美女、『百合姫』こと『及川(おいかわ) 百合恵(ゆりえ)』。


 次いで、いつもニコニコ笑顔でクランを盛り上げるムードメーカー、『ともちー』こと『原田(はらだ) 朋美(ともみ)』。


 そして、ともちーの「ですしおすし」に乗っかり復唱したのは、姉の『愛宕(あたご) りんな』と妹の『愛宕(あたご) りんね』。探索者(シーカー)では珍しい双子姉妹の探索者(シーカー)である。


 ちなみに、見た目『りんな』『りんね』の『愛宕(あたご)シスターズ』が身長も150センチ前半ということもあって最年少のように見えるが実は最年長。⋯⋯故に、百合姫やともちーは愛宕シスターズには敬語を使っている。


 そんな4人のやり取りで『(いびつ)な上下関係』が垣間見えると、時折ファンから「時空の歪みが発生している」とツッコまれている。


 そして、このクランにはもう一人メンバーがいる。それは⋯⋯、


——————————————————


「お前らもうちょっと緊張感持てや、コラー! 今回の過疎化ダンジョンはこれまでと違って危険度MAXつってんだろ!」


——————————————————


 と、4人に向かってツッコミを入れるのは「凸り隊唯一の常識人」「凸り隊立法府」「凸り隊オチ担当」などファンから絶賛されているクラン唯一の男性メンバー『越智(おち) 大輔(だいすけ)』。


 彼は見た目がいかついのと言葉遣いが荒いこともあり、彼を知らない周囲からはよく怖がられたりする。がしかし、実際はただただ真面目な性格なだけであり、そして、そんな彼の性格や人柄を知っているファンからは女性メンバーの中に男性がいるという状況でも誹謗中傷や炎上することはない。


 そんな5人のチャンネル『過疎化ダンジョン凸り隊チャンネル』のチャンネル登録者数は95万人とDストリーマーの中でもトップクラスを誇るチャンネルであった。


——————————————————


『過疎化ダンジョン凸り隊チャンネル』


 国内の数あるダンジョンの中で探索者(シーカー)が寄り付かなくなった⋯⋯いわゆる『過疎化ダンジョン』を中心に探索するチャンネルで、5人組の探索者(シーカー)クランで構成されている。


 ちなみに彼らの『クラン名』はチャンネル名そのまま『過疎化ダンジョン凸り隊』⋯⋯。なので、一見するとただの『ネタ集団』のように見えるが、しかし実際は『平均B級上位ランカー』で構成される上位実力者クランの一つであった。


——————————————————


 そして、そんな『過疎化ダンジョン凸り隊』の5人が今回挑むのは、


「お前ら今回のターゲットダンジョンは『喋る魔物出現率No.1』で有名な『琉球ダンジョン』だぞ、この野郎! わかってんのか、コラー!」


「喋る魔物が出没する」という声があまりに多くなり探索者(シーカー)から忌避された過疎化ダンジョン⋯⋯『琉球ダンジョン』だった。


 そして彼ら『過疎化ダンジョン凸り隊』こそが、タケルたちが集合する2時間前に琉球ダンジョンに入っていた探索者(シーカー)であった。



********************



「それにしても、今のところ『喋る魔物』は出てこないわねぇ〜⋯⋯」


 と、百合姫が自身の持つダンジョン産アイテム武器『薙刀ブレード』で魔物を屠りながら気怠げに呟く。


「⋯⋯フン、そうだな。とはいえ油断は禁物だ」


 気怠い感じで返事を返す百合姫に少しムッとするも「ま、いつも通りか」とスルーする越智。そんな彼らが現在探索しているのは琉球ダンジョン『28階層』。つまり、


「次は中層の階層ボスだ。お前ら油断すんなよ!」

「とはいっても中層程度(・・)の魔物に今さら油断も何も⋯⋯ねぇ?」

「そうそう。下層の階層ボスならともかく中層程度の階層ボスなら問題ないっしょ?」

「ないっしょー!」

「ないっしゅー!」

「ま、まぁ、その通りではあるが⋯⋯。はぁぁ」


 実際、彼らの実力であれば中層の階層ボス程度脅威を感じる相手ではないのは正しい⋯⋯通常(・・)であれば。


 しかし、彼らはまだ気づいていなかった。


 次の中層最深部29階層にいる中層階層ボスが『喋る魔物』であることを⋯⋯。


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