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127「喋る魔物出現」



「ハヤブサ斬り!」

「剛腕連撃!」

「突風遊戯!」

「渚ちゃん、腕治すね。治癒!」


 現在、上層8階層まで来た。なんだかんだで順調に歩を進めている。ちなみに戦闘は主に『戦乙女(ヴァルキュリー)』の皆さんがメインで暴れており、自分とちょっちゅね具志堅さんは『万が一要員』として見守っている状況。


 もちろん『万が一』というのは『喋る魔物』が出現したとき⋯⋯ということである。


 なので、別に喋る魔物が出現しなければ、ここは上層の魔物なので『戦乙女(ヴァルキュリー)』たちの敵ではない。それに、上層の魔物は主に群れで襲ってくることもあって、ここまで来るのに『戦乙女(ヴァルキュリー)』の皆さんはレベルが2つほど上がったらしい。


 元々、今回は『戦乙女(ヴァルキュリー)』のレベルアップが目的だったので順調に事は進んでいた。


「これなら、上層階層ボスまで一気にいけそうですね。ま、喋る魔物が出なかったら⋯⋯ですが」

「そういうサラッとフラグ立てるのは、オメガはさすがやっさー」

「ん? フラグ? はっはっは、そんなバカなですよ」

「はっはっは、これがオメガクオリティかぁ」


 なんか、ちょっちゅね具志堅さんが感心していた⋯⋯、んーよくわからないなぁ。


 そんな感じで二人で雑談していると、


「おっしゃぁぁ! 完勝!!」

「「「「イエーイ!!!!」」」」


 パン!


 無傷で魔物を倒した戦乙女(ヴァルキュリー)の4人がハイタッチで勝利を祝う。


 うん、うん、順調でなにより。


 それにしても、有紀さんの『スキル:剛腕』の技のこの『剛腕連撃』ってすごいな⋯⋯。たしか『スキル:剛腕』て『物理攻撃5倍』ていう効果だっけ? 実際、1階層のロックヤドカリとの戦闘でも戦乙女(ヴァルキュリー)の中では一番やっつけていたし。あと、あの身につけている『籠手』もかなり強力なものなのかもしれない。


 で、渚さんのスキルが『風雲童子(ふううんどうじ)』という、俺の厨二(琴線)に触れまくりなかっこいい名前のスキル。そして、そのスキル技『突風遊戯』という『密度を上げた風』で魔物を片っ端から吹き飛ばしていた。魔法でいう『風属性魔法』といったところか。


 亜由美さんはパーティーの先頭に立ち、『スキル:剣豪』の技『ハヤブサ斬り』で危なげなく魔物を切り伏せていた。さすが戦乙女(ヴァルキュリー)のリーダー⋯⋯安定感抜群である。


 そして、琴乃さんだがスキルは『付与天使』というスキルで、主に治癒効果やバフ・デバフ効果の付与系スキルだ。正直、この『付与天使』というスキルはバフ・デバフ効果だけでなく治癒効果も備わっているということは、もっと他にも⋯⋯例えば『攻撃型効果』とか『防御型効果』の技も今後身につくのではないかと思う。そういう意味では四人の中で一番『万能型スキル』なのかもしれない。


 今日初めて4人の戦闘を見たが、正直熟練度はかなり高いと思う。特に連携技もバッチリだ。あとは⋯⋯やはり、「パワー負けしない」とか「レベル差」といった欠点を補う意味でも、やはり『レベルアップ』は必須だし、逆にレベルが上がりパワー負けしなければかなり強いパーティーになると思う。



********************



——琉球ダンジョン9階層


「いや〜、女の子たちがここまで強いとは知らなかったからビックリさー」

「そ、そんな⋯⋯!」

「わ、私たちなんて、まだまだ⋯⋯です!」

「謙遜しなくていいさー。そういえばあんたたちはC級下位ランクだっけ?」

「は、はい」

「ワンの見立てではC級中位⋯⋯いや上位でも問題ないくらいの実力はあると思うさー」

「「「「「ええ?! C級⋯⋯上位っ!!!!」」」」」

「やんどー。あれだけ息のあった連携ができるなら『C級上位』は間違いないさー。だー、ワンが推薦状書いておこうねー。東京戻ったらギルドに申請するといいさー」

「「「「あ、ありがとう⋯⋯ございますっ!!!!」」」」


 戦乙女(ヴァルキュリー)の4人が瞳をウルウルさせながらちょっちゅね具志堅さんを見ていた。空港では「クセつよおじさん苦手節」を吐露していたが、今ではすっかり陥落されてるようだ。


「さて⋯⋯いよいよ次は階層ボスさー」

「カルロスさん、ここの階層ボスはどんな魔物なんですか?」

「ん? ああ、上層の階層ボスは『巨大ヤシガニ』ていって、巨大なヤシガニさー」


 いや、名前まんまじゃねーか! いや、わかりやすいからいいけど!


「1階層にいたロックヤドカリの3倍くらいの大きさのヤドカリやんどー。身がコリコリしておいしいさー」

「えっ?! その巨大ヤドカリを食べたことあるんですか!」

「もちろん。ワンはダンジョン探索は潜る時は1週間くらいは潜るから、食料は現地調達さー」


 一応、ダンジョンの魔物は食べられるのは知っていたが、まだ食べたことなかったなー。今度、『飯テロ配信』してみよっかな?


「あ、あの⋯⋯」

「ん? どうしたんですか、琴乃さん?」

「あ、あれ⋯⋯」


 と、琴乃さんが指差すほうを見ると『人影』のようなものが見えた。ていうか、


『オマエタチ人間ハ殺ス!』


 喋る魔物じゃねーかっ?!


「カルロスさん!」

「ま、まさか⋯⋯上層の階層ボスが⋯⋯喋る魔物になっているとは⋯⋯。前は、階層ボスは巨大ヤドカリだったのに⋯⋯。何が起こってるんだ?!」


 ちょっちゅね具志堅さんの狼狽えぶりを見ている限り、どうやら『想定外』の状況のようだ。


「喋る魔物が、こんな浅い上層付近までいるとは⋯⋯! 何か、何か、ダンジョンの様子がおかしいかもしれないさー⋯⋯」

「おかしい? 具体的には?」

「ダンジョンの魔物は基本ダンジョンの外へはなぜか出てこないのだが⋯⋯しかし、喋る魔物はそもそもダンジョン産の魔物ではないと言われているさー。だから、もしかしたら、この喋る魔物たちは⋯⋯」

「ダンジョンから外に⋯⋯地上に出ようとしていると?」

「⋯⋯ああ」

「えっ?!」

「まさか、そんなこと⋯⋯!」


 にわかには信じられない話だが、しかし、喋る魔物は普通の魔物とは違うし、それに実際に上層まで来ているわけだし。


「いずれにしても、ここであいつをやらないといけないさー」

「⋯⋯ですね」


 そうして、ちょっちゅね具志堅さんは戦乙女(ヴァルキュリー)たちを下がらせると、


「オメガ⋯⋯共闘してもいいねー?」

「いいともー」


 俺とちょっちゅね具志堅さんは軽い感じでコツンと拳を当てる。そんなやり取りを見ていた喋る魔物が、


『オメガ⋯⋯オ前、オメガナノカ?』


 突然、そんなことを言い出した。どうやらご指名のようだ。


「ああ、そうだが?」

『ソウカ。ワカッタ』

「何がわかったんだ?」

「オ前ハ、必ズ殺トイウコトガワカッタ」

「「っ!?」」


 その瞬間——喋る魔物が一気に距離を詰め、襲いかかってきた!


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