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125「琉球ダンジョンの現状と問題」



「あ、あんたが、琉球ダンジョンを踏破したのか!?」

「やんどー!(そうだぞー!)」


 まさか、このクセつよおじさんが琉球ダンジョンの踏破者だったとは⋯⋯とちょっちゅね具志堅さんの言葉に空いた口が塞がらない感で呆然としていると、


「あのね⋯⋯オメガさん、カルロス具志堅さんってS級ランカーですし、もっといえば日本国内の探索者(シーカー)の中でトップ3に入る方ですからね?」

「⋯⋯え、マジ?」


 亜由美さんの説明を聞いて、さらに呆然とする俺。


「マジマジ。ちなみにカルロスさんは、あの櫻子様くらい強いから」

「な⋯⋯っ?!」


 有紀さんが笑顔でそんな追加情報をぶっ込んできた。いやマジかよ⋯⋯。櫻子ちゃんは『魔法』も使えるから現代(ここ)探索者(シーカー)よりも有利なはずだけど⋯⋯。


 でも、それでも「同じくらい強い」て言われているってことは、このクセつよおじさんの持つ『スキル』が櫻子ちゃんの魔法とタメ張るくらいには強力ということかもしれないな。


 見てみてーな、ちょっちゅね具志堅さんの戦い⋯⋯。


「ところで、トップ3の中では誰が一番強いんですか?」


 とりあえず、日本で一番強いのは誰かという質問をしてみた。すると、場の空気がピリッと緊張モードに移行した。そして、俺の質問を受けたちょっちゅね具志堅さんに『戦乙女(ヴァルキュリー)』たちの視線が集まる。


「んーーーー⋯⋯わからんやっさー。櫻子とは模擬戦はやったことあるけど本気ではさすがにないやー。でも、模擬戦で見る限りでは櫻子はいろいろと隠している感じがしたさー」

「隠している? 一体、何を?」

「『切り札』みたいなもんさー。別に手を抜いていたってわけじゃないどー。やしが、手の内が見えない⋯⋯ていう感じやんばーよー(だけど、手の内が見えない⋯⋯ていう感じなんだよねー)」

「それって⋯⋯」

「それを考慮すると、ワンが櫻子に勝つのは五分五分⋯⋯てとこやっさー」

「「「「「⋯⋯」」」」」


 うーん、ちょっちゅね具志堅さんってすごい人なんだなー。琉球ダンジョンの探索、楽しみになってきたぞ。


「お? ちょうど着いたさー」


 そして、俺たちはいよいよ琉球ダンジョンへと足を踏み入れる。



********************



「ここが⋯⋯琉球ダンジョン」


 そこは、『勝連城跡』という琉球時代の王の城跡で世界遺産にも登録されている歴史ある由緒正しき歴史建造物だ。その城跡は少し勾配のある丘の上にあり、そして、琉球ダンジョンはその丘の中腹あたりに入口があるため車を降りてからそこまでは徒歩で進んでいく。


「琉球ダンジョンに入る前に、一度勝連城跡の一番上まで行くさー」


 ちょっちゅね具志堅さんが、この勝連城跡の頂上は東海岸を一望できる映えスポットだから⋯⋯ということで案内してくれた。


「わーすごい景色ですね!」


 ちょっちゅね具志堅さんの言う通り丘の上から見る景色は、沖縄のエメラルドグリーンの海が一望できるまさに絶景映えスポットだった。


「これは⋯⋯すごい迫力ある景色ですね」

「うわー、やっぱ沖縄の海って綺麗ー!」

「やらやー? 最高やしぇー?(すごいでしょ? 最高だろー?)」

「気持ちいいー」


 俺たちはそんな沖縄の映えスポットを一通り満喫した後、


「じゃー、早速、琉球ダンジョンに入るどー」


 ちょっちゅね具志堅さんの案内で、いよいよ琉球ダンジョンへと向かった。



「へー、ここが入口かぁ⋯⋯」


 琉球ダンジョンは、さっきいた勝連城跡の頂上から降りる途中にあった。そこはまるで人工的にくり抜かれたようなきれいな円形の大きな穴だった。


「これ⋯⋯誰かがこの穴をくり抜いたんですか?」


 俺はあまりにもきれいな円形を見てそんな質問をした。


「いや、これはダンジョンが出現したときにできたものらしいさー。だって、そもそもこんな大きな穴はこれまでここになかったからねー」


 この入口の大きな穴⋯⋯縦の長さだけでも50メートル以上はある。


「へー、こんなきれいな円形だなんて⋯⋯ダンジョンって改めて不思議ねー」


 有紀さんも俺と同じ感想を抱いているようだ。さもありなん。


「ちなみに、沖縄の探索者(シーカー)ギルド⋯⋯通称『沖縄ギルド』はさっき車を止めた駐車場の道を挟んだ向かいにある建物がそうさー」


 と、ちょっちゅね具志堅さんが指を差して教えてくれた。その建物は5階建ての建物だった⋯⋯のだが、


「ん? あ、あれって、もしかして⋯⋯観光土産ショップ?」


 そう、そのちょっちゅね具志堅さんが指差した建物の1階が、まさにお土産屋さんみたいな感じになっていたのだ。


「やんどー。元々この建物は勝連城跡のお土産屋さんだったからねー。で、ダンジョンが出現してギルドを作ることになったときに、この地域の人たちが『お土産屋さんは残して欲しい』て要望があったから、それで1階はそのままにして、2〜5階にギルド施設を作ったさー」

「へー、なるほど」

「でも、なんかいいですね。こうなんというか⋯⋯地域に根ざしたギルドみたいな感じで」

「うんうん、なんかアットホームな感じだよねー」


 と、有紀さんと渚さんがそんな感想を漏らしていた。しかし、


「まーでも最近は観光客も探索者(シーカー)もサッパリになったから客足が遠のいてるさー」


 と、ちょっちゅね具志堅さんが深刻な顔でそう呟く。


「それって、やっぱり喋る魔物の影響⋯⋯てことですか?」

「そうさー」


 そっか。この喋る魔物の存在ってかなりやっかいなんだな⋯⋯。


「まー、オメガや君たちは一週間しかいないから、この一週間で少しでも喋る魔物をみつけ減らすことができたらありがたいさー」


 ふむ。⋯⋯正直こちら的にも『戦乙女(ヴァルキュリー)』のレベル上げが目的だし、俺自身のレベル上げもしたいし、何より⋯⋯骨のある魔物と戦いたいですしおすし!


 ということで、俺は一人メラメラとやる気の炎を燃やした。


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