121「沖縄へ」
ちょっと早めの更新〜
「暑っちぃぃ! 沖縄の日差しって強いんだなぁ〜!」
沖縄に来た。
今ちょうど那覇空港に着いて荷物を受け取り、到着ロビーから外に出たところだ。
はいさい沖縄、めんそーれ沖縄。
「それにしても、現地のガイドさんはどこに⋯⋯? それに『戦乙女』も現地にすでに着いてるから迎えにくるって言ってたけど⋯⋯」
と、車の駐停車側に向かって歩いていると、
「オメガさん!」
「あ! 亜由美さん!」
俺の横に縦に長い外国の高級車が止まると、中から『戦乙女』のリーダー、亜由美さんが降りてきた。
「ちょっ!? ズルい! 亜由美だけ先に出て⋯⋯! いらっしゃい、オメガ君ー!!」
「フライングだぞ、亜由美ー! あ、やっほー、オメガ様ー!!」
「オ、オメガ様⋯⋯?! お、おおお、お待ちしておりましたぁぁ!!」
その後、車から全員が降りてきて快く出迎えてくれた。
「『戦乙女』のみなさん、お久しぶりです!」
ちなみに、俺の格好はマントこそしていないものの顔を隠せるくらいの黒のパーカーを着て、デスマスクを身につけている。いわゆる『オメガ仕様』だ。
だって、『戦乙女』には『結城タケル=オメガ』は教えていないからね。
一応、櫻子ちゃんからは「別にどっちでもいいぞ?」と言ってたけど、何となく『戦乙女』のみんなに正体を明かすのは良くないと感じたので、今のところは秘密にしている。
え? どっからその格好だったかって? そりゃ、もちろん那覇空港の到着ロビーに着いてからだ。じゃないと『保安検査場』で一発アウトだろうし。
まぁ、正直な気持ちとしては、堂々と見せびらかすように保安検査場を通過したかったけどね。
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「⋯⋯ところで、現地ガイドの人はどなたですか?」
俺がこれから一週間お世話になる現地ガイドの人に挨拶をしようと『戦乙女』のみんなに聞いてみた。すると、
「う、うん⋯⋯そのことなんだけど⋯⋯」
「ええ⋯⋯まず話はそこからしなきゃ⋯⋯だよね」
「??」
さっきまでテンション高かったみんなが一斉に下がった。な、なに? どゆこと?!
「え、えーとね⋯⋯本当なら現地ガイドは『探索者ギルド沖縄支部』のスタッフに頼んでいたらしんだけど、いろいろあって今は別の人が現地ガイドになったの」
「え? 別の人⋯⋯ですか?」
え? それは別に問題ないのでは? でも、何なんだろう⋯⋯さっきから皆のこのローテンションぶりは。
「はぁ〜⋯⋯よりにもよって、あの人だなんて⋯⋯」
「え?」
一応、『戦乙女』の中でもリーダーの亜由美さんはあまり人に対して否定的な言葉は言わないのだけれど⋯⋯そんな亜由美さんがそんな言い方をするなんて⋯⋯。
「え? まさか⋯⋯かなりヤバイ人なんですか?」
ひょっとして、暴力的だとか、女性にセクハラするとか、そういう『ヤバイ人』なのだろうか。
「え、ええ。ある意味ヤバイ人ね」
「ある意味⋯⋯ですか?」
何だろう、俺が想像しているような人ではないのだろうか?
「ああ⋯⋯今日もゴリゴリ攻めてくるんだろうな〜、あの人」
「うう⋯⋯沖縄に入ってまだ2日目なのにすでにかなりストレスだよ〜」
「い、いや、良い人であることはわかるんですけどね! で、でも、あのノリとテンションだけは⋯⋯ううう」
全員が各々ちょっとしたトラウマになっているらしい。
い、いや、何者だよ、その現地ガイドって!?
そんな話をしている時だった。
「あい、まさかや! にーしぇーが、あの『オメガ』ね〜!」
「っ!?」
突然、俺の『異世界産スキル:自動翻訳』が発動した。
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「あい、まさかや! にーしぇーが、あの『オメガ』ね〜!(え、マジ! お兄さんがあの『オメガ』なのかい!)」
「っ!?」
俺の『異世界産スキル:自動翻訳』が反応し、目の前の⋯⋯なんというか、すごい『クセつよおっさん』の言葉が脳内で『日本語変換』された。
いや、ま、たしかに、沖縄の方言ってマジでわからないからね? そりゃ『自動翻訳』のスキルが反応するわけだ。よかった⋯⋯異世界行ってて。
「は、はい⋯⋯! はじめまして!」
俺はそう言ってペコリとお辞儀をして挨拶をした。
「あぎじぇ! あんたウチナーグチ、わかるわけ? もしかして、ウチナーンチュね〜?(あらま! あんた沖縄方言がわかるの? もしかして、沖縄出身なの〜?)」
「あ、いえ。そういうわけじゃないですけど。えーと⋯⋯あ、ほら! あれです! 最近再放送していた『ちゅらさんさん』のドラマ! あのドラマにハマって沖縄方言を勉強したんです〜!」
とりあえず、そんな感じで『沖縄方言が理解できる理由ブラフ』をトライしてみた。
「あっさ! そうねー! あんたすごいさー! 天才やっさ〜!(ええ! そうなんだ! あんたすごいなー! 天才だね〜!)」
どうやら『クセつよおっさん』にブラフはあっさり通用したようだ。チョロくて助かった。