表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

116/216

116「かくして明かされる秘密(2)」



「ところで、二人はどういう関係なんですか?」

「うむ。如月とは現代(ここ)での技術開発の面で協力してもらっておるのじゃ」

「技術開発?」

「⋯⋯今、この世界で出回っているダンジョン探索者(シーカー)用のポーションだったり武器・防具、はたまた魔道具に至るまで、すべて雨宮バリューテクノロジーと技術提携しているのさ」


 と、如月さんが「ふふん!」とドヤ顔しながらさらに説明を続ける。


「ダンジョンの魔物はなかなか強力な個体も多くてね、既存の現代兵器では上層部分までしか通用しないんだ」

「え? そうなんですか!?」

「例えば、今回タケル君が倒した上層階層ボス『ゴブリンナイト』ほどの敵だと、現代の銃火器や防具などでは大きなダメージを与えることができないんだよ?」

「え! そこまで⋯⋯」

「タケル君からしたら信じられないかもしれないけど実情はそうなんだ。ダンジョン黎明期の頃の探索者(シーカー)たちは十分な装備がないまま探索活動をしていたから、今と比べて死傷者は多かったんだ。ちなみに、その現状は日本だけでなく世界も含めて、だ」

「そ、そうだったんですね⋯⋯」


 当時の十分な装備がない探索者(シーカー)では、上層階層ボスでさえ強敵に入る⋯⋯ということか。


「そういう事情もあって、日本はもちろん世界各国も遅々として進まないダンジョン探索に頭を悩ませていた。そんなとき、その状況を打破したのが『雨宮バリューテクノロジー』だ」

「えっ!?」

「元々、雨宮バリューテクノロジーの主力製品は『AMAMIYAシステム』でもわかるように『電子通貨決済サービス』だ。これはタケル君も知ってるよね?」

「も、もちろんです!」

「雨宮バリューテクノロジーはこの主力製品一本だけで巨万の富を得たんだけど、その莫大な利益を今度は『ダンジョン探索者(シーカー)用商品』の開発に力を入れることになったんだ」


 ちなみに、現在、世界のほとんどの国でこの『AMAMIYAシステム』という電子通貨決済サービスを利用している。この電子通貨決済サービスの誕生によりお金の流通の利便性が一気に高まった。


 身近なものでわかりやすい例をいうと『入出金の手数料がすべて無料』だったり『決済スピードの高速化』などだが、一番は『電子通貨の統一』だ。これまでクレジットカードの電子マネーだったり、仮想通貨などが乱雑していたところに、『AMAMIYAシステム』で使われる通貨『AMAマネー』が出現。


 しかも出現初期から、すでにほとんどのサービスの決済で使用できる電子通貨だったため、瞬く間に広がったのだ。


 そういったこともあって、如月さんが言っている『莫大な利益』というのは、おそらく数兆とか、あるいはそれ以上の利益だろうことは素人目にも感じる。そして、それを今度は『ダンジョン探索者(シーカー)用商品』の開発に投資したということを言っているのだが⋯⋯てことは、


「え?『ダンジョン探索者(シーカー)用商品』て⋯⋯それって、もしかして現在売られている商品のほとんど⋯⋯てことじゃないですよね?」

「ん? おお、さすがタケル君! 察しがいいね! その通り、雨宮バリューテクノロジー産のダンジョン探索者(シーカー)用商品は世界シェア70%を誇るNo.1なんだよ!」

「な⋯⋯70ぅぅ」



********************



「それにしても、どうやってダンジョン探索者(シーカー)用商品を作ったんですか? だって、これまでの現代兵器は通用しなかったんですよね?」

「ああ。だから、櫻子と技術提携を結んだのさ」

「ん?」


 どゆこと?


 すると、ここで櫻子ちゃんが説明を始めた。


「つまりじゃな⋯⋯異世界(あっち)の知識を持ったワシが、雨宮バリューテクノロジーに技術支援したのじゃよ。ほれ、魔力は地球が濃いもののダンジョン自体は異世界(あっち)とほぼ一緒じゃろ? それで、ダンジョンから取れる『魔石』を利用してポーションなどを作らせたのじゃ」

「ああ、なるほど。魔石か」

「お主も異世界(あっち)での魔石の扱いはわかるじゃろ?

「ああ。異世界ではポーション類やバフ・デバフ類のポーション、武器・防具もすべては『魔石』を利用して作られてたもんな」

「うむ。つまりはそういうことじゃ。それで、魔石と地球で取れる鉱物だったり、『化学』というこの世界の錬金術のようなものを利用して体力回復ポーションだったり、魔力回復ポーションを作ってもらい、さらには量産化までしたのじゃ」

「な、なるほど⋯⋯」


 そうか⋯⋯。『ダンジョン探索者(シーカー)用商品』ってのは、元は櫻子ちゃんの異世界知識から産み出されたものだったのか。いや、でもそれ以上に、


「まー、それもこれも『如月 柑奈』という天才がいなかったら、ここまでの発展はなかったがの」

「エッヘン!」


 まさにその通りだろう。


 ちなみに、櫻子に手放しに褒められた如月さんは、横で遠慮することなくちゃんとドヤ顔していた。


 如月ぱいせん、さすがっす!


「まーそういう事情もあって、現在『ダンジョン探索者(シーカー)用商品』を独力で作れるのは日本のみだし⋯⋯もっといえば雨宮バリューテクノロジーの独占状態といっても過言ではないのじゃ」

「す、すげぇ⋯⋯」


 俺が思ってたレベルの10倍は雨宮バリューテクノロジーと如月さんがすごいってことがよーくわかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 実は如月さんが一番チート? そして総資産多分兆超えてる件 [一言] 現代でいうと、ビル・ゲイツ+イーロン・マスク+マーク・ザッカーバーグ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ