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113「連絡(報連相の連)」



「それにしても⋯⋯そもそもの話じゃが、なんで『結城タケル』として探索者(シーカー)活動を始めたのじゃ?」

「え? いや、櫻子ちゃんが言ったんじゃん。『結城タケルの活動はどーなってんの?』て。で、俺も『たしかに探索者(シーカー)になったのに何も活動してないな〜』て思ったんだよ」

「なるほど。だが、じゃからといって『結城タケル』の姿で中層階層ボスの魔石を換金するとか何を考えておるのじゃ!」

「い、いやいやいやいや! だって上層階層ボスのゴブリンナイトで『15,000円』だよ!? これが中層階層ボスのレッドオークなら倍は固いっしょ?! そりゃ換金(する)っしょ!」

「えーい⋯⋯しょっしょ、しょっしょ、やかましい!」

「いやでも本当に俺、櫻子ちゃんと違って金ないし! オメガとして活動しててもまだ一つもドロップアイテムとか換金してないからむしろ金が出ていってるばっかの状態なんだってばよ!」

「ちょっ⋯⋯近っ!?」


 俺は涙ながらにグイグイ櫻子ちゃんに迫る。いや、マジで金ないからそりゃ必死になるっての!


「⋯⋯わ、わかった、わかった、わかったからぁー! じゃから、ちょっ⋯⋯下がるのじゃ!」


 櫻子ちゃんが顔を紅潮させながらグッと力づくで俺を押し退けた。


「はあはあはあ⋯⋯わ、わかったわい。では、お前のドロップアイテムや魔石の換金はワシ経由で直接やってやる。それなら文句ないじゃろ!?」


 若干、キレ気味ではあったが、櫻子ちゃんが直接換金してくれるということになった。これなら、佐川や理恵たん、あと受付嬢さんたちや他の探索者(シーカー)にも怪しまれずにすむのですごく助かる。


「⋯⋯ただし!『結城タケル』での探索活動で得たドロップアイテムや魔石は、そのままクランメンバーと一緒に受付で換金するのじゃぞ?」

「らじゃす!」


 ということで、早速俺は櫻子ちゃんにこれまで拾ったドロップアイテムや魔石を渡す。


「ほう、いろいろあるのぅ⋯⋯。ん? このデカイ魔石はもしかして『喋る魔物バロン』のか?」

「あ、うん。たぶん」

「ふむ⋯⋯」

「それで⋯⋯いくらぐらいになりそう?」

「そうじゃな。パッと見じゃしワシも専門ではないが、おそらく全部で『300万円』くらいにはなると思うぞ?」

「さ⋯⋯300ぅぅぅ!!!!」


 予想以上の額にビビり倒す俺氏。


「そりゃそうじゃろ。なんせ『喋る魔物』の魔石なんてなかなか世に出ないからの。ちなみに、この『喋る魔物の魔石』だけで200はするぞ」

「に⋯⋯っ!?」


 す、すげぇぇぇ! おしゃべり魔物さんって金になるぅぅ!!!!


 ん? 金になる? 金のなる⋯⋯木っ?!


「ねぇねぇ櫻子ちゃん?」


 俺はキュルンと愛らしい表情と声で櫻子ちゃんに質問する。


「なんじゃ、その気持ち悪い顔と声は?」


 辛辣ドイヒー。


「⋯⋯お、おしゃべり魔物さんがどこにいるのか知ってるかな?」

「喋る魔物⋯⋯な? それはわからぬ。ほとんど見かけた者がおらんからのぅ。とりあえず、わかっていることは100階層以上あるダンジョンの70階層以上から出現する⋯⋯といったところか」

「70⋯⋯」


 現在、俺はオメガの時に49階層までは来た。そして、そこで70階層以上にいるといわれるおしゃべり魔物⋯⋯もとい『喋る魔物』を倒した。特に苦もなく。


 つまり、現時点で俺は70階層くらいまではいけるのでわ?


 となれば、答えはひとつ!


「よし! 俺ちょっと『喋る魔物』退治に⋯⋯行ってくりゅぅぅぅ!!!!」

「待て待て待てぇぇぇい!!!!」


 その場から勢いよく離れようとした俺を櫻子ちゃんが全力タックルで止める。


「は、離せぇぇぇぇ! 俺は、俺は、おしゃべり魔物さんをいっぱい蹂躙してお金持ちになるんだぁぁ!!!! ボーナスステージにいかせろぉぉ!!!!」

「お、落ち着け、落ち着くのじゃ?! あと『喋る魔物』な! たしかに喋る魔物退治はありがたいが、その前にお主にはいろいろと相談したいことがあるから⋯⋯今日はおとなしくしておるのじゃ!」

「いや、でも200万⋯⋯200万だぞっ!? 俺だっていろいろとぜいたくしたいお年頃⋯⋯」

「それに⋯⋯! お主、そもそも『喋る魔物』がどこのダンジョン(・・・・・・・・)に出没するかとかわからんじゃろ!」

「え? 前に新宿御苑ダンジョンに出たから⋯⋯そこにいるんじゃ⋯⋯」

「いや、本来日本での『喋る魔物』出没例は新宿御苑ダンジョンではなく他のダンジョンじゃ。今回の新宿御苑ダンジョンでの出没は初めてのことじゃ」

「そ、そうなんだ」

「たしかに、『喋る魔物』についてはわかっていないことが多いが、しかし、もし、『喋る魔物』目当てでダンジョンに行くのなら『出没例の多いダンジョン』に行ったほうが良いのでは?」

「ぬぬ?」

「今ならワシに協力することで、漏れなくその情報がついてくるぞ? どうじゃ?」


 ぐぬぬ⋯⋯ちくしょう、足元見やがってぇぇ!!!!


「お主にとっても悪い話じゃない。とにかく一旦座るのじゃ!」


 のじゃロリの手のひらで踊らされている自覚はあるものの、しかし、おしゃべり魔物の情報はどうしても欲しいので、一旦冷静になってソファに腰を下ろす。


「ふぅ⋯⋯。ああ、ちなみに協力というのも、お主が『喋る魔物』を退治するついで(・・・・)でできるものじゃから」

「わかった。で? 俺に何をさせたいの?」

「前から言っておった⋯⋯『戦乙女(ヴァルキュリー)』たちのレベルアップの件じゃ」

「ん? ああ⋯⋯」


 そっか。今、俺と亜由美さんたち『戦乙女(ヴァルキュリー)』は、櫻子ちゃん専属のクランになったんだっけ?


「え? でも⋯⋯オメガが目立ちすぎたから一旦そっちの活動は止めるんじゃなかったっけ?」


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