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105「上層階層ボスチャレンジ」



——9階層 上層階層ボス前


 現在、俺たちは上層階層ボス『ゴブリンナイト』がいるボス部屋の入口前まできている。『ボス部屋』といっても上層エリアは『洞窟地帯』なので、ゴツゴツした岩肌で少し天井が高く半径15メートルほどの空間が広がっている場所だ。


「この通路を抜けると、階層ボス『ゴブリンナイト』がいます。準備はいいですか?」

「お、おう!」

「はい!」

「では⋯⋯参りましょう!」


 俺たちは理恵たんの掛け声でゴブリンナイトのいるボス部屋へ入っていった。



『おおおおおおおおおっ!!!!』


 中に入ると、部屋の中央付近に以前見た上層階層ボス『ゴブリンナイト』が、右手に持つ長剣を上に掲げながら雄叫びを上げて俺たちを威嚇した。


「ゴブリンナイトはこれまでのゴブリンより力もあり素早いので気をつけてください」

「「了解!」」


 俺と佐川は同時に左右に飛び出し、ゴブリンナイトの両端に位置した。これは理恵たんから教わったもので「かたまっているよりお互いが敵の両端に離れたほうが的を絞らないですし、一人が攻撃しているとき敵の意識がそちらに向いているだけ死角から攻撃もできます」とのこと。


 俺と佐川は「なるほど〜」としきりに感心。そして現在、俺たちはその陣形を展開している。


「いくぞ、オラぁぁ!」


 佐川が自身の武器である『鋼鉄の籠手』でいきおいよく飛び出して行った。


 ガキン!


「げっ!?」


 佐川の籠手による右ストレートをゴブリンナイトは長剣で難なく受け止める。


「マジかよ、ビクともしなかった!」


 続いて、今度は俺が死角から双剣で攻撃を加える。すると、


 ガキキン!


 これもまた見切っているかのようにしっかりと受け止める。


 マジか。レベル7程度の身体能力だとこうもあっさり受け止められるのか。オメガの時の雑魚ムーブはどこへやらだ、まったく。


「どうする、タケル」

「う〜ん⋯⋯」


 さて、ここで『身体覚醒(極)』を発動させれば一撃破壊(ワンパン)で終わるのだが、今のクランとしての俺ではそれはできない。ということで、とりあえず、


「ラッシュをかけてみよう」

「よっしゃ!」


 俺と佐川は左右から同時に飛び出し、ゴリ押しで剣を走らせた。


「ぐぎゃ! ぐぎぎぎ⋯⋯!」


 さすがに二人での同時攻撃だと、全部を受け止めるのは難しいらしく、少しずつではあるが攻撃が入った。


「ぐぎぃぃ!」


 バッ!


 さすがに、たまらないと思ったのがゴブリンナイトは跳躍して後ろへ下がった。


「どうやら、ゴリ押しでいけそうだな」

「おう!」


 俺たちが「倒せる」と思ったその時、


「ぎゃおおおお!」


 ドン⋯⋯!


 突然ゴブリンナイトが魔力を放出。すると体の周囲を黄色のオーラが包みこんだ。


「なんだ、あの黄色いオーラ?」


 すると、


「佐川! タケル君! 今ゴブリンナイトは『スキル:身体狂化』を使ったわ。そいつのスキルは、魔力による身体能力の底上げと狂化状態になっているの。現状、こいつはさっきよりも3倍近い力とすばやさが付与されているわ。気をつけて!」

「えっ?!」

「3倍以上⋯⋯!」


 そんな理恵たんのアドバイスを聞いて怯む俺たち。すると、


「ぐげ、ぐげげげ⋯⋯」


 ゴブリンナイトがニタァと笑みを零した。



********************



「ぐげぇぇぇ!」


 ガギィィンン⋯⋯!


「ぐぅぅ!?」


 ズザザザ⋯⋯!


 ゴブリンナイトが飛び出すと、さっきとは段違いの速度で一気に佐川の目の前に現れると剣を振った。すると、佐川はその攻撃を防いだものの、勢いを完全に殺すことはできず、後方へ5メートルほど飛ばされた。


「大丈夫か?!」

「あ、ああ。それにしてもこいつかなり強いな。上層の階層ボスがここまで強いとは思わなかったわ。レベル的にはこの9階層以上のレベルはあるってのに⋯⋯」


 ちなみに、ダンジョンの階層の数とレベルは相対関係にあるらしく、9階層に出現する魔物などはだいたいレベル9以上あれば通用すると言われている。


 ただし、例外があるらしく、一つは『階層ボス』で、階層ボスの場合この相対関係は当てはまらないらしい。とはいえ、べらぼうに強いというわけではなく、例えば、このゴブリンナイトの場合だと『1.5倍』くらいの強さはあると理恵たんから事前に聞いてはいた。


 ただ、その理屈で言えばゴブリンナイトは『レベル14程度』あれば倒せるはずなのだが、しかし、このゴブリンナイトは『スキル』を持っているらしく、それがこの『身体狂化』というものらしい。


 ちなみに、スキルの効果は『自身の身体能力を3倍に引き上げる』と『狂化状態になる』というもので、この狂化状態になると、通常よりも力を2倍ほど引き上げるらしい。


 つまり、それを加味すると現状目の前のゴブリンナイトは『実質5倍』近く身体能力が上がっていると言える。もしかすると、レベルでいえば倍の『28〜30』くらいの強さはあるかも。


「あれ〜? ゴブリンナイトってそんなんだったかな〜?」と俺は一瞬考えたが、よくよく考えると、その前に頭を一撃破壊(ワンパン)して一瞬で絶命させたので、スキルを使ったゴブリンナイトを知らなかったということが判明した。


 まー、オメガの状態であればこの『スキル:身体狂化』を使われたところで、一撃破壊(結果)は変わらないだろうが。


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