104「本日も通常運転なり」
投稿が遅くなってしまい
申し訳ございませんでした。
さて、今回のステータス偽装の際、俺はまた別のことで頭を悩ませる事態に陥っていた。というのも、
「レベル2だと縛りが強過ぎて、格上の魔物を倒すのは不自然になってしまうのでは⋯⋯?」
そう、偽装するステータス上のレベルは『2』にするつもりだったのだが、それだとバッタバッタと魔物を倒すにはかなり不自然だと感じたので、俺はレベルを『2』から少し上げた『7』にしようと考え、他にも、
「スキルも何か持っていることにしたほうがいいのでは⋯⋯?」
そう、レベルが低くても『強力なスキル』があれば格上の魔物を倒してもさらに不自然にならないのでは⋯⋯と考えたのだ。
そこで、俺は『異世界産スキル』で何か良いものがないか本来のステータス内にある『スキル欄』の『詳細(※)』を開いて『良い塩梅のスキル』を探してみた。すると、
「あ、そういやこんなのあったなぁ! なつかしい〜! でも結局、異世界では最初だけしか使わなかったなぁ〜⋯⋯」
俺が見つけたのは『スキル:双剣(上級)』。
これは、字面通り『2つの剣を使用する剣術』で異世界に転移して最初に身につけたスキルだ。
異世界のスキルは魔物を倒してレベルが上がるときに獲得するものと、店で買うもの、あとダンジョンや遺跡などにある宝物から獲得するもの⋯⋯と3つの獲得方法があり、『双剣(上級)』は魔物を倒したときに手に入れたものである。
異世界ではオーソドックスなスキルではあるものの、SA◯のキリ◯に憧れてた俺は双剣スキルを獲得した当初、そのスキル技術を磨くべく魔物を狩りに狩りまくった。
しかし、双剣スキルには強力な武器がないこともあって、使用頻度が下がり、結果『上級』までしか成長することはなかった。
とはいえ、『スキル:双剣(上級)』は『双剣を装備すると攻撃力25%・敏捷性40%上昇』と、それなりの効果はあるということで、俺はこの『双剣(上級)』をステータスに追加。結果、ステータス偽装を施してこうなった。
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結城 タケル(ゆうき たける)
レベル:7
スキル:双剣
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うん、イメージしてた『ダンジョン初心者だけど良スキルでそこそこ魔物倒せるステータスでしょ』ができた。エッヘン!
ちなみに、現代のステータス欄では、異世界で得たスキルに付く『(極)』といったスキルのランクは表示されない。おそらく現代で得られるスキルにはランクがないためだろう。
そうして、ステータス偽装した俺は現在、
「やぁー!」
「ぎゃっ!?」
「ぐげぇぇ!」
ゴブリンより少し格上の『ハンターゴブリン』2匹を一度に斬り伏せた。
「すごい! ナイス、タケル君!」
「うお!? や、やるな、タケル!」
うん、良い感じだ!
それに、二人とも『この程度の強さ』は違和感は感じていない様子。やはり、このくらいの強さで『ちょうど良い塩梅』だったようだ。
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さて、俺たちは現在8階層へと進んでいたのだが、その時、
「クランとして初めてのダンジョン探索ですが、今の感じだと『上層』の階層ボスがいる9階層くらいはいけるかもですが⋯⋯どうしますか?」
と、理恵たんが聞いてきた。
「う〜ん、大丈夫かなぁ。俺自信ねーわ」
「大丈夫よ。何かあったらサポートするから」
「え? ま、まさか、また俺とタケルだけでやらせるつもりか?」
「そうよ。だって、私が入ったらすぐに終わっちゃうじゃない。それにレベル上げを考えたら、私が入らないで二人だけで倒したほうがいいわ。もらえる経験値が違うもの」
「⋯⋯わ、わかったよ。でも、ゴブリンナイトか〜。いけるか〜?」
「大丈夫、大丈夫。佐川のレベルも2つ上がって今は『13』だし。タケル君は⋯⋯そういえばタケル君ってレベル上がってないの?」
「え? うん。レベルは『7』のままだよ」
「「ええっ!?」」
「え? な、なんで、そんなに⋯⋯驚くの?」
え? あれ? このムーブはもしかして⋯⋯「俺なんかやっちゃいました系」なのか!?
「あ、いや⋯⋯そうか〜。まぁそういうこともあるよな〜⋯⋯な、なぁ、雨宮?」
「そ、そうですね〜。あは、あははは⋯⋯」
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——佐川 卓
(いやいや、それは嘘でもレベル上がったって言っとけよなぁ! 初ダンジョンの奴が8階層まできてレベルが上がってないとかおかしすぎるから! お前よりもレベルが高い俺で『2』上がったって言ってんだろ! 気づけよ?! でも、やっぱこいつ如月さんが言ってたとおり、ステータスを偽装するスキルを持っているのは確定っぽいな。だとしたら、実際のレベルはどれくらいなんだろ?)
——雨宮 理恵
(やっぱり⋯⋯タケル君がステータスを偽装しているのは間違いないようね。元々のレベルは『7』よりもかなり上⋯⋯てことか。それにしてもステータスを偽装するスキルがあるのは知ってるけど、それはあくまでステータスを偽装しただけで、本来のレベルは下げられないはず。でも、タケル君の動きを見ていると⋯⋯たしかに『双剣スキル』は怪しいけど、でも彼自体の身体能力は『レベル7相応』に見える。これは一体、どういうことなのだろう?)
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二人はタケルについて色々悶々としていたが、本人には気づかれないよううまいこと振る舞っている。そして、タケルはそんな二人に対してビックリするほど気づいておらず、むしろ、
(フッ⋯⋯今回のステータス偽装も俺の立ち回りも完璧のようだな)
などと、あさっての思考に酔いしれていた。
本日も通常運転なり。