100「業が深そうな別嬪さん——『如月 柑奈』登場(2)」
第100話——到達、到達ぅぅぅ!!!!
今度は第200話に向けて、さらに頑張っていきたいと思います!(メラ⋯)
「つまり、タケル君たちはDストリーマー活動をする上で顔出しをするかどうかで迷っていると⋯⋯そういうことでいいかな?」
「「「はい」」」
「うん、そうだね。私が思うに顔出しはしたほうが⋯⋯絶対にいいと思うよ」
「え?」
「絶対⋯⋯に?」
と、如月さんが断言する。
「⋯⋯その心は?」
「さっきお嬢も言ってたけど、顔出しのほうが単純にチャンネル登録者数を増やしやすいからさ。当然そうなればお金もチャリンチャリンってこと。⋯⋯ここまではわかるよね?」
「「「はい」」」
「うん。で、それと顔出しの大きなメリットのもう一つは、その探索者の⋯⋯『信用』」
「「「信用⋯⋯?」」」
「具体的にいうと、Dストリーマーになるということは、ダンジョン探索で立ち回りや言動などがすべて配信される。それってつまりは、その『人となり』や『人間性』が露わになるということ。⋯⋯もちろん『強さ』もね」
た、たしかに!
「それは、デメリットにも取られがちだけど私は大きなメリットだと思ってる。というのも、この探索者としての『信用』は、ギルドで大きな評価につながるからね」
「な、なるほど⋯⋯!」
「た、たしかに! 私もギルドからそんなこと言われたことがあった⋯⋯」
「そ、そうなんだ! さすが、理恵たん!」
「い、いえ、そんな⋯⋯」
あ、理恵たんが照れた。ぐうかわ。
それにしても、たしかに如月さんの言う通りかもな。でも、それって、Dストリーマー自身が『商品』とも言えるのか。つまり、その『商品』の信用⋯⋯『質』みたいなもんかな?
「そして、ギルドからの信用が上がれば、ギルドから『指名』を受けるチャンスをもらえる可能性が出てくる」
「『指名』⋯⋯?」
「うむ。ギルドから緊急を要する事案が発生した場合、その対処に探索者を『指名』するのだが、この『指名』に選ばれた探索者は『指名に選ばれるほどの探索者』という箔が付く」
「箔⋯⋯?」
「その影響力は高く、探索者業界どころか、政財界といった社会的ステータスの高い者たちからも一目置かれる存在となる」
「せ、政財界⋯⋯?!」
な、なんか、話の規模が⋯⋯デカい!
「フフン、そうだろ? だから、Dストリーマーとして『顔出しして名前を売る』⋯⋯これにはメリットしかないと私は声を大にして言いたいね!」
たしかに! ギルドから『指名で選ばれる探索者』を目標にDストリーマー活動するというのはありかも!
「⋯⋯まー、もっとも事情があって顔出しを避ける奴もいると思うけどね。例えば、最近話題のあの『オメガ』とかね」
「っ!?」
いきなり『オメガ』の名前が出てきてキョドる俺。まーでも、それだけ『オメガ』が話題になっているって考えたらここで名前が出るのも当然⋯⋯か。ちょっぴり嬉しいさえある(ルン)。
「そ、そうですね⋯⋯彼は顔を隠していますから何か事情があるのかもしれませんね」
「フ⋯⋯フフフ⋯⋯」
「?」
あ、あれ? 今、笑うところあったかなぁ?
「⋯⋯失礼。ふむ、実はね、私もできれば彼と一度会ってゆっくり話がしたいと思っているんだ」
「え? そう⋯⋯なんですか?」
「うむ。彼もまた何か素性を隠さないといけない事情があるのだと思うが、私であれば彼のその事情を手助けできるんじゃないかと思っている」
「え⋯⋯?」
どゆこと?
「まーこれは、あくまで私の勝手な考えだが⋯⋯いろいろな問題はほとんどは『お金と権力と影響力』で解決できると思ってる。そして、私はそのすべてを持っている」
「えっ!? す、すべて⋯⋯ですか!」
話が妙な方向へと進み始めた。
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「ああ。私の肩書きはさっきも聞いていると思うが『AMAMIYAシステム』開発者の一人。これだけでも十分影響力はあると思うが、その前後でもいろいろと功績は残している。⋯⋯佐川君」
「は、はいっ?!」
「説明よろ」
「! わ、わかりました!!」
すると、佐川が『如月 柑奈』について、これまた気持ち悪いくらいに事細かに説明し始めた。
「⋯⋯オタクかよ」
「う、うっせぇ!」
「とまあ、佐川君が説明したのが私⋯⋯『如月 柑奈』という人間の『ブランド力』だ。⋯⋯どうだい?」
如月さんが自信満々な笑顔で聞いてくる。
「た、ただただ、すごい⋯⋯です⋯⋯」
「ありがとう! だからね、私なら彼⋯⋯オメガのことを理解もでき、且つ、いろいろと協力できると思うんだよね。そう思わないかい、タケル君?」
「⋯⋯そ、そうですね」
た、たしかに、これだけの影響力を持ち、且つ、現代テクノロジーの最先端にいるこの人が『俺の味方』についたらこれほど頼もしいものはないだろう。
こんなすごい人が俺に協力してくれたら、今抱えている『時空間転移魔法陣の件』や『女帝マーレの件』はもちろん⋯⋯俺がこの先描く『将来設計』の実現に大きく貢献してくれるのは間違いないだろう。⋯⋯ただ、圧がすごいけど!
いずれにしても彼女を味方にするメリットは⋯⋯計り知れない。
「そうか! タケル君にそう言ってもらえるとなんだか私も自信が湧いてきたよ。ありがとう!」
「い、いえ、どういたしまして!」
圧が多少すごいところはあるけど、でも、それくらいで人としてとても良い人だと思う。最初ちょっと『狂気』を感じたのは気のせい⋯⋯だったのかな?
とまあ、少し話が脱線したが、しかし今回のクラン結成についての問題は如月さんのアドバイスにより解決。俺たちは『顔出しDストリーマー』として活動することが決定した。また、その勢いで⋯⋯、
「では、明日! 放課後ギルドに行って⋯⋯クラン登録してきましょう!」
「「意義なーし!」」
と、なんだかテンションが上がった俺たちは、理恵たんの号令のもと、明日の学校が終わったらその足でギルドへ行ってクラン登録することも決定した。
なんだか楽しくなってきたぁぁぁ!!!!