第63話:愛しきキャンパスライフとは
今日で大学生活も4ヶ月目に入った。
大学での勉強、キャンパスライフも慣れたものだ。
しかし、一方の寮生活はというと、・・・
キャラクターの濃い人たちばかりでまだまだ右往左往してしまう事も。
そのせいもあって僕は
『2年生になったら絶対ここから脱出してやる!』
と常日頃から考えていたものの、そう言えば1人暮らしをしている同期の奴のように
いつも
「寂しい」
「寂しい」
と連呼するような感情は不思議なことに微塵も沸きあがってはこなかった。
沸きあがってくるどころか寮では
『うぜー』
『くせー』
『だりー』
『空しい』
『死ぬーーー』
という感情のオンパレード。
「寂しい」なんて、学舎ではまったく当てはまらない感情だ。
だから同期が「寂しい」と発するところのその感情が僕には全くわからない。
というか理解できなかった。
「なぜにお前はそんなに寂しいのか?」
と。
しかし、大学生活の四ヶ月目になって初めて僕はこの【寂しい】の意味するところ知った。
この答えは、大学構内を歩けばすぐにわかった。
僕がJ大学構内を歩く。そこには
カップル
カップル
カップル
どこもかしこもカップルばかり。
『こういうことだったのか!』
僕は、同期の【寂しい】とは話し相手をしてくれる彼氏、彼女を作るという事を知った。
つまり、分かり易く公式化するならばこうだ。
寂しい=話し相手がほしい
話し相手がほしい=いつも一緒にいて話す人
いつも一緒にいて話す人=彼氏、彼女
こんな具合だ。
この公式を僕に置き換えるとこうなる。
寂しい=話し相手がほしい
話し相手がほしい=いつも一緒にいて話す人
いつも一緒にいて話す人=パクさん
しかしこれは、実に
絶えられない。
『だああああああああああ。嫌だ嫌だ!こんなの嫌だ!こんな現実いらねー』
僕は頭をかきむしった。
まあ話を戻すと、女性の顔を見るならば、その女性達に彼氏がいるかいないか顕著にわかる。
そう、それは女性の化粧の仕方でだ。
僕と同時期に入学した女性達の化粧を見てみると、どちらかというとスッピンに近い化粧だったのだが、、、、
キャンパスライフ四ヶ月目にはというと・・・・
かなり勉強したのだろう。
彼女達の化粧の塗りは入学当時のものと比べ物にならないくらいにうまくなり、そして同じ人なんだろうかと思うほどの大変身ぶり。
彼氏がいる女性はおめかしに命を懸ける。
だから彼氏がいるかいないか顕著にわかるというわけだ。
とまあ、解説はここまでとして、一方の僕はと言うと、構内に溢れかえるカップルを見て
『そう言えば俺って
すでに大学生活が四ヶ月過ぎようとしているに
俺には
全く
彼女がいないじゃないか!!
俺って・・・・完璧に乗り遅れてしまった!?』
キャンパスライフ4ヶ月目にして初めて知らされた事だった。
なんだかキャンパスライフの波に乗り遅れているというより、波にまったく乗れていない自分がそこにはいた。
『なぜ俺はこんな【彼女を作る】という大事な事を忘れていたんだろう』
僕は考えた。
『いや、そうじゃない。
忘れていたんじゃない。
俺は忘れようとしていたんだ。
あの六本木のパーティ事件以降・・・』
六本木パーティ事件。
そう、あの事件は今でも深い深いキズであり、そして思い出したら発狂しそうなあの忌まわしき六本木パーティ事件。(詳しくは23話、24話に記載)
『そうだ!あの事件のせいだ。
あれ以来、俺は女性と言うものに対して心をむけていなかったんだ。
あっ!
でも、よく考えたらあの事件だけじゃない。
あのジンクスのせいでもあるんだ!』
そう、そのジンクスとは・・・・
つづく。