第48話:運転そのあとに パート②
「ああの~鈴木さん!」
「なにっ、なにっなに!今話しかけんな!」
「ででも、そんな事いっても・・・・・やばすぎますよ。
こんなに早く・・・」
「そんな事言ったって、しょうがないだろうが~だって前の車が・・・」
「そうりゃあそうなんですが、、、、、って鈴木さん、前、マエ、まえ~~~っっ」
前から観光用大型バスが走ってきていた。
「えっ??おっおっおおおお~」
「ハンドル、ハンドル、ハンドルっ!!」
僕らは叫んだ。
そしてすぐ様、僕らの車は元の車線へ。
『はあああ、良かった』
と、喜びもつかの間、五十嵐車は車線を変更せず。
「おいおいおいおい、何する気だよ。」
「おいおいまっまさか、この状況で追い越しかよ」
大型観光バスのクラクションが鳴る。
ホォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン
それでも五十嵐車は追い越しをかけ、車線を変更せず。
そればかりかスピードを上げているようだ。
「やばい。
やばいっ。
やばいっっ。
これやばいっって!!」
「おおおおおお~~~だああぶつかる。。。死ぬーーー」
僕らは恐怖で青ざめた。
ブオオオオオオン
キキキーーーーーーーーーー
山道にタイヤが擦れる音とブレーキ音がこだました。
五十嵐車は間一髪で車を追い抜き、
スレスレの所で大型観光バスと正面衝突を回避。
「ハア、フウウーーーーーー。」
僕らは、冷や汗とため息をつくことしかできなかった。
そして次の休憩所で、、、、
「なんであそこでスピードを上げるんですか?僕らを殺す気ですか!」
と鈴木さんが怒りをあらわにし、五十嵐さんに詰め寄った。
まあ無理もない。
『理由は何であれ、あれだけの事をやらかしたんだ。当然だろう。
にしても、五十嵐車はうちらよりやばかったはず。みんな大丈夫かな~?』
僕は、あまりに心配となり、すぐさま五十嵐車に乗っていたクルーに駆け寄った。
「お~い!大丈夫でしたか?」
僕は彼らに声をかけた。
『しっ死んでいる!?
顔が。
みんな完全に死んでいる!?』
そう、クルーのほとんどが放心状態。
かすかに
「やばかった・・・・やばかった」
と、つぶやきが聞こえてきた。
手のつけようがない。
とそんな中、
「おい!大丈夫だったか?ていうかよく生きてたな~」
僕は田端にも声をかけた。
しかし、以外にも彼からこんな答えが返ってきた。
「はああ?なにが?」
「えっなにがって。さっきの五十嵐さんの運転だよ。
まじやばかったんじゃない?
他の人もみーんな死んでるぜ??」
田端はしばらく死んだ顔したクルーを見渡してから、
「ふーーーん。
よくわからん。」
と、首を傾げる。
「えっよくわからんって、お前何も覚えてないの?」
「ほおう、俺・・・・
寝てたから。」
彼の睡眠力を初めて羨ましく、身につけたいと思った瞬間であった。
つづく