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第42話:事の重大さは早さが命


それは寮旅行に行く数週間前のこと。



「あ~っと、やっと終わったぁ~」



僕は手を上げ椅子にもたれ背伸びをした。



気がなんとなく楽になった感じだった。



それもそのはず、提出期限の迫ったレポートを終わらせる事ができたからだ。




大学生にとって期限の迫ったレポートを終わらせる事ができた時ほど、充実感が大きくなるものはない。



これは学生の醍醐味といえよう。



僕もそんな充実感に満たされ、気分の晴れた気持ちで談話室に足を運んだ。




そんな談話室には、鈴木さんと後藤田さん、そしてアリさんの三人が集まっており、何やら真剣に話をしていた。




『なんとも珍しい光景だね~。この前の疑惑のときとは大違い。』


と、僕は思いながらテレビの前のソファーに座り、テレビの電源をつけ、何か面白い番組はないかとチャンネルを変えていた。



すると横から



「・・・五十嵐さんが一緒というのはやばいんじゃないか?」



「でも、下見にも来てくれたしさあ・・・」



と三人の話している声が聞こえてきた。



『この前の寮懇の事で何か話てるのかな~?』


と、僕は手に持ったリモコンでチャンネルを変えながらも、三人の会話に耳をそばだてた。




「・・・だから、下見っていうけど、交通費はプロ費からでたんだろ?


それに酒代もプロ費※から出したっていうじゃないか!


五十嵐さんばかりでお前はほとんど飲んでないんだろ?」




「そりゃあ、そうなんだが・・・・。ガソリン代は出してくれたからな~。しょうがなかったんだよ。」




「今度の寮旅行も俺ら使われるんじゃないか?」



「五十嵐さん個人にお金が使われないよう、ちゃんとお金の選別をやらないとやばいと思うぜ」



「そうだな。寮旅行ではなく、五十嵐旅行になるな。完全に」



「やっぱり五十嵐さんとは事前に話しをしておく必要があるな」



「そうだな。それなら明日にでも五十嵐さんとこの三人でこの話をして確認とろうぜ!」



「了解」



「わかった」


・・・・・・



・・・・・・・・・・ガタッ



三人はこの時、何かを確認したようで、寮旅行の話が済むとそれぞれ部屋に戻っていってしまった。



『なんだか寮旅行の件も大変そうだけど、あんなにシリアスに話する内容なのかね~。まあ俺には関係ないか!』


と、僕はそんな会話を聞いて、なんとなくそう感じた。



その時は、レポートの終わった充実感も手伝ってか、僕は彼らの会話に耳を傾けたものの、別段、理解をしようとは思わなかったのだ。




そしてそれから数日が経った夜のこと。



僕はいつものように夕飯を作るため、談話室に足を運んだ。



すると談話室には、後藤田さんがマンガ本を読みながらソファーに座っていた。



僕はそれを横目に談話室の隣のキッチンで、今日は豪華にと買っておいた100g68円の牛肉を使った野菜炒めを作り、盛り付けし、談話室のテーブルで食事を始めた。




『ああ、やっぱり牛肉は美味しいな~』


としみじみ。




しばらくすると、後藤田さんが



「タケオって群馬県いった事あるの?」


と質問してきた。



僕が


「いいえ、群馬には行った事がないんです。だから今度の旅行、結構楽しみなんですよ。


それに五十嵐さんの紹介って事もあるし、また鈴木さんも下見に行って良かったと言っているからはずれはなさそうですし・・・」


と、答えると



「そうなんだけどな~。五十嵐さんってのはなあ~」


と、いいながら顔を曇らせる後藤田さん。




『この前の話といい、今の後藤田さんといい、そんなに五十嵐さんってヤバイ人なのか?』




僕はそう思い、



「あの~五十嵐さんってそんなにヤバイ人なんですか?」


と、ストレートに質問してみた。




すると、



「いやー、いい人なんだけど、変ってるんだよな。あの人。




変なところにこだわりがあるというか。




それにお金にこれまた疎いっていうかね~。




この前の下見だって結局、プロ費から立て替えているからね~。」



と後藤田さん。






「はああ、プロ費から出てるんですか~」




ふーんという感じで僕は聞き流しそうになったのだが・・・しばらくして






僕は事の重大さに気付いた。




気付いてしまったんだ!




「うえええっプロ費ですか?



プロ費って電話代、新聞代、調味料などの寮生共有のものは、寮生みんなで払うというスタンスのあのプロ費の事ですか?」


と、僕。



「そうなんだよ」

と、困ったような顔をしながら後藤田さん。



そう真理寮には、光熱費・水道費・ガス費込みの寮費とは別にプロ費というものが存在する。



これは、【寮生同士に共通するもの】と思われるものを寮生全員で均等に負担しようと言う事から生まれた制度の事で、


主に新聞代、電話代、調味料、台所用品などの費用に使われており、一人暮らしよりも断然お得な特典なのである。



しかし、稀の稀にイレギュラーな費用が寮全体に掛かったときにプロ費で補填する事もある。



僕は、この前の三人の会話の重大さをやっと理解した瞬間だった。



『なにが【あんなにシリアスに話する内容じゃないんじゃねー】だよ、俺。



【なにが、そんなの関係ねーだよ】、俺!


シリアスだ。


シリアスすぎるんだよ。


関係あるよ。



関係ありまくりじゃん。



だって、、だって、、、プロ費で、下見代を立替したって事は・・・・・・。 



でもそんなことは・・・・ないだろう。



あるはずがない。。』



僕は、事の重大さを理解し、そこから得られた自分の結論を信じたくはなかったので、恐る恐る後藤田さんに聞いてみた。



「と言う事は、もしかしてりょっ旅行費が・・・・あっあがるってことは、な・・」




「そう、一人ひとりの負担が上がるってことだよ。



2千円分」



と、すんなり後藤田さん。




『うおおお~。上がっちゃうんだ。



あがっちゃうんだあああ。



2000円も!』






姉さん・・・明日からは当分、肉抜きの野菜炒めになりそうです。






『五十嵐の野郎め!!!』



つづく。

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