第四話:人生は妥協だ!
「もしもし、親父?」
「おう。武か!どうだった?いいとこだろう。冷暖房完備だし、新築だし、まかない付きだし文句なしだろう! 」
「まあそうなんだけどさ~、えーとでも門限が。。。 」
「あ~なんだってよく聞こえなかったぞ。 」
「いや、門限がさあ~ 」
「あー、門限がなんだって?。 」
親父が聞き返す。
「ここ門限があるんだよ。も・ん・げ・ん! 」
「いいじゃないか。門限があって。規則正しい生活ができるじゃないか? 」
「いやいや、別に規則正しい生活を求めて東京にでてきたんじゃないから! 」
僕は、思わず電話口で「違う違う」 という手のジェスチャーまで加わえてしまった。
「でもお前、他に住むとこないんだぞ。そこしかないんだからーしょうがないだろうがー 」
その言葉に、僕は、ある考えが浮かんだ。
「親父さー、俺せっかく大学生になるんだから、自由にやりたいよ~。だから俺自分で探すからここキャンセルしていい?他にもあてもあることだし! 」
その言葉に父は感づいたのか、
「あて~っ?? お前あてってまさかお前、昨日美奈子がいってたあの寮のことか?
お前、あんだけ2人部屋は嫌だっていってたじゃないか?そこには留学生もいるから絶対いやだよ~って。 」
「うっっ・・。うるさいな。しょうがねーじゃん。
きっ緊急事態なんだよっ緊急事態! 」
父のちょっと、隙を作ったらすぐ痛いところつくひと言に、少し後ずさりしてしまった。
そう実は、僕が上京する前日の夜、すでに上京を果たしている4つ年上の姉から電話があったのだ。