第三話:門限はいや!
「・・・・あっそれから門限は11時で、朝は七時起きね」
「はいっ!・・・ 」
「・・ん?」
「・・ん?」
「・・ん~っ!!」
なんか今、頭を打たれるような言葉がでたような。。
「あの~門限って。。」
恐る恐る聞く僕に管理人さんはあっさりと、
「ああっ。うち門限があってね夜11時ね。それから毎朝一緒に食事するから七時おきなんだよ」
『え~っ!!!!おい門限かよ~。なんでだよう。この大都会東京。この東京砂漠にまできて門限かよ~。ありえねーよ。なんでだよう。マジかよ~。えっえ~ 』
僕は、はにわの顔だった大魔人が、腕を自らの顔に通した瞬間、鬼のような顔になるように、僕の顔もこれまでの菩薩の微笑みから一点、険しい顔になった。
僕にとって門限は、自由を束縛するものでしかない。
バイトも制限され、彼女とのデートも制限されるではないか。
そんなの大学生活を満喫したとは言えない。
さらに、
『朝七時って何?高校生と変わらないじゃん。』
高校生のときは、朝6時に起き、6時半に家をでて、眠いのに、目をこすりながら、ひたすらひたすら自転車をこぐ。授業が始まる7時35分に間に合う為に。
なんで30分ではなく35分なんだよ。
この5分の差はなんだこの5分の差は!
と突っ込みたくなるようなこの中途半端な時間に間に合うようひたすら自転車こいだあの3年間の日々。
そんな苦い苦い思い出をめぐらした瞬間、僕の背筋は凍った。
『僕の中での大学生活の定義は、自由だ。自由!freedam、そう自由なんだ。
カゴの鳥が自由を求めて大空に飛び立つように、僕も高校生活の呪縛から解き放たれて大きな鳥になるんだ。』
『そうだ。
そんな僕に門限、朝7時なんてありえない。
ここで契約してしまったら、僕は自由な鳥になれない。』
そんな19歳という幼い僕の焦った小鳥のような様子を見た管理人さんは、
「大丈夫?門限は11時だけど、生活したら慣れるよ 」
と一言。
「でも門限は、聞いていなかったし。門限はちょっと。。。すいませんが、親に電話してもいいですか?」
「キャンセルしたいの?いいけど、門限あっても本当に大丈夫だって!」
「じゃあ電話してきます。 」
と管理人室から出て早速家に電話するのだった。