第18話:これが僕の入学式
白が起きてきて、僕をまじまじとみてきた。
「オハヨウゴザイマス。もしかして、徹夜したんですか?」
「おはよう~。そう。でも徹夜したのか、させられたのかよくわかんないんだよね~。
だから、疲れちゃってさー、もし入学式で死んだら、俺のことよろしく」
「エっ??」
白は首を傾げた。
「まあいいから」
もう説明する気力がない。
僕は、疲弊しきった体に鞭を打ちながら、入学式に臨むためスーツに着替え、身だしなみを整えた。
僕は鏡を見た。
『やべー。クマがすごい』。
・・・・・・・
そして、入学式のある有楽町へと向かうのであった。
『この階段キツ!』
いつもの寮の階段がきつく感じ、高田馬場駅の階段は、大きな山に思えた。
僕はひざに手を乗せ、ひとつひとつ階段を登っていった。
高田馬場駅から山手線に乗り新宿へ。
そして新宿で中央線快速に乗り換え、神田で再び山手線に乗り換えるために降りた。
しかしこれまた、神田駅の中央線から山手線にいくまでの階段がきつい。
「あー疲れる~。」
この姿を見て、白は僕のことを憐れに思い、やさしくこう言った。
「タケオさん。顔悪いですね~。」
たぶん、白は、『顔色悪いですねー』と言いたかったのだと思う。
しかし、疲弊しきっていた僕は、それを理解してあげることはできず、
プチっ!!
キレた。
「うるせー。顔は悪くねーよ!!ふざけんな!」
この一連の出来事は、白にとって、非常にショッキングな出来事であり、忘れる事はできないものになったと、白はのちに語っている。
入学式会場についたが、すでに僕はフラフラだった。
そして入学式が始まった。
「ごめん、、白、起立のときだが起こ・し・て、、」
それからの出来事は全く覚えていない。
起立の場面では、白に起こしてもらい、立ち、着席した瞬間に寝てしまったのだ。
大学の入学式というものは、感動的で輝かしいものであるはずなのに、僕の入学式の思い出では、起きたらすべてが終わっていたのである。
最悪な入学式ではあった。
しかし、今考えるとある意味、味わうこともない入学式ともいえるのかも。。。(もう味わいたくないけれど、、、、)
つづく。