第16話:2人の僕とFF
『これがロープレというやつか~』
僕は、念願のロープレをプレイし感動していた。
僕がプレイしていた【ファイナルファンタジー8】は当時の話題作であったこともあり、より一層その感動は増したのだった。
そんなとき僕は、ふと思い出した。
「あっ!そう言えば明日って入学式だった。」
カンペキ!
そんな言葉が似合うほどに、僕はすっかり明日のことを忘れていた。
つまり、それほどにそして完全に僕は、念願であった家庭用ゲームに見入ってしまっていたのだ。
僕は、ふと談話室にある時計を見てみる。
時計の針はすでに0時を指していた。
『もうこんな時間か~、どうしよう。明日も早いしここでやめようかな~』
そんな気持ちが僕の中に湧き上がってきた。
しかし、そんな気持ちが湧き上がってきたのもつかの間、違う気持ちが僕の中に湧き上がってきたのだ。
『いや、ここでゲームをやめてしまったら今度いつできるかわからないぞ。それにやっと魔法や戦い方の使い方もわかってきたし、これからが面白いところなのに・・・』
どうしよう。。
僕は揺れた。
そんな僕が揺れていると、2つの気持ちが段々と人格化していった。
『明日は大学の入学式なんだから早く寝て、明日に備えないと!』と僕。
しかしすかさずもう一人の僕が
『金さんが明日からまたテレビを占領するぞー。そうしたらもう当分はゲームができないぞ。それでいいのか??』と語りかける。
『でも、大切な入学式だよ。』
『もうゲームできないぞう』
『白と行くんだから早く寝なくちゃ』
『そんなの白に起こしてもらえばいいじゃないか』
『せっかくの大学デビューの第一歩なんだぞ』・・・・・・・・・・これはちょっと違う気がする。
僕は、揺れた。
揺れた。
揺れている。
揺れはどんどん大きくなっていった。
そしてかなり大きく揺れた。
そう、入学式とゲームというふたつの分銅をはかる天秤のごとく。
「うっ、、、、、、どうしよう」
僕は悩んでしまった。
そんなときだった。
ガチャ。
談話室のドアが開いた。
「ただいま~」
「えっっ!!金さんっ??」
僕は思わず言葉でてしまった。
そう寮にいないはずの金さんが、そこに立っていたからである。