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短編とかその他

死後の世界の案内人

作者: 仲仁へび
掲載日:2021/12/06



 今日、死んだ人間が一人いるらしい。


 私は案内人だから迎えにいかなければならない。


 でも、憂鬱だ。


 相手はみな、さっきまで生きていた人間なのだから。


 日常的に、きつい事を言われたりする。


 死にたかった人なんてほとんどいないから、仕方がない事なのだろうけれど。


 きっと、こんな仕事やりたがる人なんていないだろうな。





「貴方は死にました」


 俺の前に案内人がやってきて、そう言った


 嘘……だろ。


 俺は愕然とした。


 覚えている記憶の中で俺は、事故で重い怪我を負っていたけど、まさか死んじまうなんてな。


「だからあなたを、死後の世界へ案内します。ついてきてくださいね」

「おれ、もう少し生きたいんですけど」

「死体に戻っても、誰も喜びませんよ」


 えっ、そういう感じになるの?

 魂だけ朽ちた肉体に留まって、ゾンビみたいな感じになっちゃうのかな。


 でも、あきらめられない。


 いきなり死んだとか、言われたってな。


「拒否権はありません。ついてきてください」


 案内人らしきそいつは鎖をどこからかとりだして、俺をぐるぐる巻きにした。


 そして、引きずられる。


 これじゃあ、ついていくんじゃなくて連行されてる絵じゃないか。


「いや、離してくれ! 俺はまだ死にたくないんだ!」

「話してくれ? では、詳しい説明をいたしましょう」


 漢字が違う!

 それは誤訳だ!


「ここから死後の世界に行くまでには、様々なエリアがあります。分かりやすく説明すると、炎が噴き出ているところや、どこまでも深い水が満ちたところ、毒が満ちた所などなど」


 抵抗に忙しい俺は反応しない。

 すると案内人は勝手に話を進めていく。


「ですから、案内人の言う通りについてこないと。焼けたり、おぼれたりしますよ」


 えっ、こわっ。

 俺は大人しくならざるをえなかった。


「ひょっとしてここ地獄?」

「ええ、案内人がいない人は、地獄でさまよって罪を祓うのです。でもあなたは普通の人だったので、案内がついて安全なルートを通る事ができます」


 罪のない善人とかの場合はどうなるんだ?


「あなたがたは人間ですよ? 罪の一つや二つ必ず犯すでしょう?」


 言われてみれば。


 どんなにいい奴でも、完璧な人間はいないしな。


「って事は天国はないのか」

「ええ」


 そうか。ちょっと残念だ。


 実際にあるなら。どんなところか見てみたかったのに。


 まあ、普通の俺じゃ、いけないだろうけど。


 地獄をさまよう羽目にならなかった事は喜ぼう。


 しかし、俺、本当に死んじゃったのか。


 ショックだな。


 りなちゃんとか、みえちゃんとか、もあちゃんとか。

 もよぎちゃんとか。あんこちゃんとか。しゅなちゃんとか。

 あとりんちゃんとか……。


 もっとかわいい女の子たちを愛でたかった。


「あらあら、泣いてるんですか」


 泣きもしますよ。

 もっと生きたかったんだ。


「よしよし、そんなに泣かないでください」


 案内人に頭をなでられた。

 包容力あるぅ!

 俺の案内人ポイントが1上がった。


「きっと次の人生は良い事ありますよ」

「転生とかするんですね。あっ、案内人とかにはなれないんですか?」

「死んだ人の対応は大変ですよ。なかなか死んだ事を認めない人もいますから」


 あー、それはいるだろうな。

 俺も認めたくなかったし。

 今も結構認めたくない。


 でも、「案内人になる方法があったら、ぜひ教えてください」すぐ生まれ変わるってのもなー。


 それに、ちらっ。


 この人、なんか気になっちゃうし。


「まったく、こりませんね。二股して彼女さん達の喧嘩にまきこまれて死んだんでしょう?」


 俺は愛に生きる男なので。


「先輩、よろしくお願いします」

「まあ、あなたほど前向きな方が向いてるかもしれませんね」


 おっ、少し嬉しそうじゃね?

 ひょっとして脈あ「違います」。


 あっ、そうですか。



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