01 最強公爵令嬢ですわッ
たくさんの好評価、応援コメントありがとう御座います!(素振り)
初作品が鳴かず飛ばずだったので流行りにのっかった(?)二作目になります。拙いところが多々あると思いますがよろしくお付き合い下さい。
ズゴゴガガッァアアン!!!
帝都の外れ、低所得層が多く暮らす町の一角で凄まじい衝突音が響き渡った。そこには崩壊した貧相な小屋の上に巨大な馬ともサイにも似た巨獣パラケラテリウムが倒れている。その巨体はすさまじく体高五メートル、全長十メートルに達していた。だが、仮にも帝都でこのような巨獣など飼われていない。そこは手頃な近くの魔領から誘因される様にのこのこと人里まで出てきたのであろう。だが帝都には魔獣を専門的に討伐している冒険者集団がいた。
「オーーーッホッホッホッ!この私が来ましたからにはもう大丈夫で御座いますわッ!!」
パラケラテリウムの奥には公爵令嬢然とした少女が高笑いをキメている。彼女はこの帝都で最も勢いのある魔獣討伐専門の冒険者パーティ『デルフィニウムの花』のリーダーであるマリーだ。その美しい容貌とは裏腹に狂気の実力を秘めた正真正銘の公爵令嬢である。
「流石で御座いますっ!マリーお嬢様!」
「へっ相変わらずマリーは凄まじいの一言につきるぜ!」
「はぁはぁ、まってよぉー!……うわあマリーちゃんもう倒しちゃったの!?」
その後ろからはパーティメンバーであると思しき男達が三名駆け寄ってくる。三名共に整った造形美を誇っており種族や男としてのタイプは異なるものの、だがマリーを称えるその表情は同じであった。
ガ ガ オ ォ ォ ォ ン !!
だが俄かに弛緩を見せ始めていた空気がパラケラテリウムの咆哮によって霧散した。
「なっ!?」
「チッ!巨大なだけあってしぶてぇなこの野郎ッ!」
「うわあああ!ま、待ってね、い今魔法を……」
マリーは男達へ振り向き右腕を頭上へ掲げて見せる。
「静かになさいですわッ!私がこの程度に苦戦するとお思いかしら!?」
掲げた右手は乙女の細腕を思わせる綺麗なフォルムをしている。だが、極限まで身体強化を高めた拳を握りしめると傍目にもヤバそうな程に血管が浮き上がらせ見事なマスクメロンが如きバスキュラリティが形成されていく。
「成敗ッッ!!!」
そういうとマリーは大きく飛び上がると巨大なパラケラテリウムの遥か頭上までその身は達していた。マリーの眼下には大きな口を広げている巨獣が視界を埋めている。だが……マリーはそれを見下ろし不敵に嗤った。
「覇ッッ!!」
ズ ゴ ゴ ォ ォ ン !!
掛け声一閃に振り下ろした拳は音速を超え衝撃波を生み出した。それは倒壊した建築物から舞い散るチリや埃を吹き飛ばす事で可視化されていき、マリーを中心に球形の波が幾重にも連なっていくように見えた。
その衝撃は凄まじくパラケラテリウムの頭部は一瞬で血飛沫をまき散らしながら吹き飛んでおり、今度こそ本当に倒れた。
「これにて一件落着ですわッ!!」
そんなパラケラテリウムの傍らに着地したマリーは高らかに宣言して周囲を睥睨する。そこにはパーティメンバーである三人は勿論であるが遠巻きにも人だかりが出来ていた。
「やはりマリーお嬢様には適いませんね」
「ふんっ、俺は暴れられなくて消化不良だぜ!」
「や、やったよー!また僕たちは帝都を守ったんだ!」
三者三様に喜びを表すが、だが周囲の人だかりは遠目からそれらの光景を苦々しく眺めるだけであった。