Prologue
こんな話あったらいいなぁという作者の思いから出来たお話です。投稿頻度はそこまで多くはありませんが、良ければ読んでください!ありがとうございます。
ー随分と短い人生だった。
民衆からの視線を受け、これから処刑される彼女はかつて聖女と呼ばれそして魔女と呼ばれた。この世界には魔力がある。彼女の魔力はこの世界の誰よりも強く多かった。誰よりも多く有していた魔力は権力者から異端と言われ、一度は聖女として持ち上げた。けれど異端とされる存在は恐怖の対象となり得る。その為彼女は僅か15歳という若さでこの世を去った。
彼女は聖女として多くの人を助けていたが魔女と呼ばれた今、民衆はそんな事は全く関係ないというように冷めた目で彼女を見ていた。
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小さな女の子の誕生は大きな屋敷に多くの影響を及ぼした。母親はその赤ん坊の可愛さに涙を溢し、父親は母親とその腕の中にいる赤ん坊の絵画のような美しさに滝のような涙を流した。母親の腕の中で彼女は目を開けた。
(ん?)
彼女は単純に疑問を頭に浮かべていた。彼女は新生児だ、目など見えている訳もなく聴覚は敏感だった。会話など聞き取れる訳もなくただ奇妙な感覚と暖かな温もりに安堵した。
そんな彼女は母親の顔をじっと見つめ、手を差し出されたので反射的に握った。そして寝た。
その場にいた両親は顔が溶けんばかりの笑顔で腕の中にいる赤ん坊を見つめた。天使のような寝顔を見つめながら二人は赤ちゃんにキスをした。
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再び目を覚ました彼女は本能的に泣き出した。
(誰の泣き声だろう?)
そんなことを思いながら、部屋の外から聞こえてきているであろう雑音を拾った。
「桜希ちゃん」
彼女の聴力は未だ発達していないはずなのだがはっきりと聞き取れた。そして体が浮くような感覚を覚えた。そこでようやく泣き声を上げていたのが自分だと気付いた。そこで彼女は転生したことを理解した。(遅い)
ただ名前をもらえたことが嬉しくて、自分ではない誰かの温もりを感じ、笑顔がこぼれた。
心が温まり眠りについた。
「可愛いわね〜」
そんな愛しの我が子を抱く母親は優しく聖母のような笑みで腕の中の天使を眺めた。
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