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10/10

Chapter 10 NG集っていいよね

こうして、『湖畔のレイス・ナイト』あらため『死霊の悪役令嬢』は撮影を終えた。




撮影を終え、3ヶ月が過ぎた。


今年も魔王軍の閲兵式が開催される。

魔王のもとに、諸侯が一致団結し、人類同盟と戦っていることを世界中にアピールするための行事だ。

多種多様な種族が、ファンファーレの鳴り響くなか、魔界最大の収容者数を誇る魔王立競技場を行進していく。観客席からは、各種族から招待された観客たちが、声援を送る。

娯楽の少ない魔界にとっては、年に一度の大きな祭りだ。


閲兵式が終わると今度は、将兵への褒美、および戦争に協力している各種族の代表者への接待として、娯楽の時間が始まる。

屋台が観客席のあちらこちらに設置され、観客たちは飲み食いしながら、競技場に用意されたステージでは各軍団提供のショーを披露しはじめた。


ドラゴンたちの飛行ショー。毎年、ドラゴンたちの勇壮な隊列飛行には、拍手が鳴り止まない。

エルフたちの、弓の披露。および、弓矢を代表とするエルフの里の郷土品フェア。

サキュバスたちのセクシーなストリップショー。男たちは、歓声をあげる。


毎年、人気のあるのは、この3つの出し物、そして、トリを飾るピエロ軍団のサーカスショーだけだ。

ドラゴン、エルフ、サキュバスたちの発表も人気があるが、特に、エンタメ要素の特に強いサーカス・ショーが、圧倒的な人気を誇る。

最初に人気の出し物が出た後は、当番にあたった軍団による、ありきたりな面白くない素人芸が続く。

観客が帰らないのは、最後のサーカス・ショーを楽しみにしているためだ。


『マーメイドさんの輪っかくぐりでした〜。みなさま、盛大な御拍手を』


アナウンスの声が虚しく会場に響く。観客たちは、格安で提供される食事と会話に夢中で、まったく出し物を観る気は無い。

パチパチと申し訳程度の拍手が聞こえ、やる気のないマーメイドは仕事がやっと終わったとばかりに、プールからダルそうに出ると、楽屋へ帰っていった。


『最後から2番目となります、次の出し物は、第4軍団キース様、提供。<死霊の悪役令嬢>です。

最終演目のサーカスショーは、席取りの混乱が予想されるため、早めの着席をお願いいたします』


アナウンスに観客たちは、食事をそこそこに自分の席へ戻り始める。


「今年のサーカスショーは、去年とは趣向が違うって話だぜ」観客のエルフが言う。

「次はアンデット軍団?どうせガイコツのバラバラショーとかでしょ。さっさと次のサーカスを見たいわ」サキュバスが答えた。


他の観客たちも同じだ。

皆、最後のサーカスショーについての話ばかりで、競技場に運び込まれる巨大スクリーンには見向きもしない。


「我らの映画は全く相手にされておらんな」


スクリーンを設営するアンデットたちを見ながらキースは言った。


「どんな傑作だって、最初は誰にも相手にされないものよ。映画を観たことない連中ですもの、なおさらですわ」


スピカはフィルムの<死霊の悪役令嬢>と書かれたラベルを撫でながら言った。


「最優秀の出し物には、一億ゴルドの賞金が出る。だが、もし最優秀賞を取れなければ……借金は……」キースは言った。


スピカは思わず笑った。


「こっちが真剣に悩んでいるのに何がおかしいんだ、スピカ嬢!」


キースはスピカを睨む。


「肝っ玉の小さいアンデット・キングね。

あなたには、いずれエンタメ界の女帝となる、このスピカ・パトリシアがついているのよ。

さあ、お客さんをまたせちゃいけないわ」


スピカは映写機に、フィルムをセットした。


「その言葉、信じるからな!」


キースは超上級魔法を発動して暗雲を呼び、昼間の天候を真夜中に変える。

パタパタとフィルムが回り始め、スクリーンには、湖畔の別荘が映し出され、<死霊の悪役令嬢>というタイトルが浮かび上がった。





後に、世界を恐怖と笑いの渦に叩き込む、伝説の始まりである。


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