41)ローズvs.従兄弟達とレオン
エドガーとエリックに続いてレオンが廊下を歩いていると、近習につれられたローズと出くわした。
「あら、揃って、お部屋の外でご用事かしら」
さすがに決闘とは言えないらしく、二人の近習は答えなかった。
「決闘です、決闘、そんなこと、止めないと」
マーティンが後ろから飛び出してきて、慌てふためいてローズに訴えた。
「まぁ、けっとう。けっとうって、えっと何するの」
ローズが首を傾げた。目を瞬き、決闘が何かと考える様子に、緊張感が削がれた。
「けっとう、え、決闘って、決闘。だめじゃない、危ないわ、そんな怖いこと」
ようやく決闘が何かわかったらしい、ローズが叫んだ。
「まぁまぁローズ、落ち着け。男同士の勝負だ。気にするな」
「小さなローズ、あなたが気にすることではありませんよ」
相変わらずエドガーと、エリックは息がぴったりだった。
「駄目よ、駄目駄目。危ないもの。怖いわ。いけないわ」
小さな拳を握りしめ、ローズは二人に向かって主張した。
「まぁまぁ、ちょっとくらいいいじゃないか。ちょっとした果し合いだよ。果し合い」
エドガーがしゃがんで、ローズを説得し始めた。
「はたしあい?はたしあいって、何のこと」
今度は、果し合いがわからないローズの様子に、誰かが噴き出した。
「あぁ、そうそう。果し合いだから、気にしなくていいぞ」
「果し合いですから、ローズ、怖くないですよ」
エドガーとエリックはそう言うと、先に立って歩きだした。その二人にレオンが続こうとした時だった。
「そう。わかったわ。いいわ。ロバートに言いつけるから」
ローズの静かな声に、エドガーとエリックが足を止めた。
「ちょっとまて、ローズ」
「ローズ、今何といいましたか」
二人の言葉にローズは、腕組みをした。精一杯ふんぞり返ろうとしているのだろうが、単にそっくり返っているだけにしか見えない。
「やっぱり。悪いことね。手紙に書いて、ロバートに言いつけるわ。エドガーが、はたしあいっていうのをしようとしてました。何か教えてくれませんでしたと書いておくわ」
「ちょっとまて、ローズ」
「エリックも一緒でしたと書くわ」
「お待ちなさい、ローズ、それは困ります」
「困りません。二人とも、イサカでロバートに、沢山、いっぱい怒られたらいいのよ」
その言葉に、全員がローズを見た。