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4)少女と王太子2

王太子は少女の話を聞く気になる

 王太子は、側に控えていた乳兄弟のロバートに視線を送った。


「嘘をついてはいないようです。突拍子もない話ですが」

ロバートの言葉に、少女は特に反応しなかった。突拍子もない話をしている自覚くらいはあるのだろう。この話を父である国王に知らせるか、王太子は迷っていた。


 ロバートは少女のカップにお代わりの紅茶を注いだ。礼を言う少女に微笑み、卓上の菓子の載った盆をとり、少女に差し出した。

「おひとつどうぞ」


また礼を言って、一つとった少女は、おそるおそる口に運んでいた。とっても美味しいとはしゃぐ様は可愛らしい。先ほどまでの、目の吊り上がった形相とは別人のようだ。隣の王太子妃も、微笑んでいた。


「もう一ついかがですか」

ロバートが卓上の盆を少女に見せてやる。少女は、王太子を見た

「いいのですか?」

「かまわん」

「うわぁ。素敵。孤児院に持って帰りたいな。みんなこんなの食べたことない。喜ぶだろうな」


二つ目も美味しそうに食べた。欲張って三つ目をとることもなく、王太子に目を戻した。


「ありがとうございました。初めてで、とても美味しかったです」

孤児だが、孤児院である程度の躾はされているのだろう。言葉遣いは無礼だが、礼を言えるということは大切だ。


「あなたは、良い子のようですね」

ロバートが、微笑んだ。

「どうしてですか?」

少女がロバートを見上げていた。貴族男性の平均身長を上回る王太子よりも、さらに背が高いロバートを、少女が見上げると、首が完全に反ってしまう。王太子妃が口元を扇で隠した。確かに面白い光景だった。


「よかろう。まぁ、おいおい、ゆっくり聞けばよいことだ。馬車を用意させろ。ロバート、その娘の話はまた明日聞く」

「かしこまりました」

「でも、時間はないんです!」

「今日はここまでだ」


王太子の意を汲んだロバートは、扉の外に控えていたエドガーに馬車の手配を命じ、少女に部屋に残るように告げた。

「時間がないのに」

小さな声で少女がつぶやき、うつむいたのが見えた。



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