友達の作り方
二人「はいどーも」
ボケ「突然だけど俺、新学期って苦手なんだよね。特に4月」
ツッコミ「何で? ワクワクするじゃん新生活」
ボケ「友達作るの、ちょっと怖くてさ」
ツッコミ「あー、それはわかるかも」
ボケ「だからさ、友達作りの練習付き合ってよ」
ツッコミ「いいよ。じゃあガンガン話しかけてきて!」
ボケ「……あ、あの」
ツッコミ「はい?」
ボケ「誰に許可取ってそこ座ってんだああん?」
ツッコミ「うん一旦止めようか」
ボケ「どひゃー」
ツッコミ「何で急に喧嘩腰なのびっくりしたわ」
ボケ「緊張しちゃって」
ツッコミ「初対面だからね、その辺気ィ遣ってもっかいやってみよう」
ボケ「うん。……てめぇ誰だコラ」
ツッコミ「敬意! もっと敬意!」
ボケ「てめぇ誰ですかコラ」
ツッコミ「おしい! うーん、そのまま続けてみようか。俺は佐々木です」
ボケ「あ、僕は佐藤です」
ツッコミ「よろしく。あのさ、佐藤君って趣味とかある?」
ボケ「部屋の天井から落ちてくる埃を観察するのが好きかな」
ツッコミ「うん一旦止めようか」
ボケ「どひゃー」
ツッコミ「高度過ぎるよ趣味が。流石に会話弾まないわそれだと」
ボケ「やっぱりナイトプールで踊り狂ってパーリ―ピーポーとかにするべきだったかなあ」
ツッコミ「何で陽と陰で両極端なの? 普通に音楽鑑賞とか読書とかでいいんだよ」
ボケ「なるほど」
ツッコミ「じゃあ続きからね。趣味ってある?」
ボケ「ありきたりだけど読書かな」
ツッコミ「へー。何読むの?」
ボケ「無難なところだとターヘルアナトミアとかドグラマグラとか」
ツッコミ「うん一旦止めようか」
ボケ「どひゃー」
ツッコミ「本のセンス」
ボケ「駄目かな」
ツッコミ「流石に愛読書は解体新書って言われる覚悟できてないから。駄目というか怖いわなんか」
ボケ「怖いって。玄白くん達に謝ってよ」
ツッコミ「偉人に馴れ馴れしいなァ。わかったわかった、趣味はやめよう。今度は世間話してみよう」
ボケ「うん、よろしく」
ツッコミ「やっぱ新学期って緊張するよな」
ボケ「ね。ドキドキが活火山って感じだよね」
ツッコミ「独特の感性」
ボケ「どう? ドキドキ、噴火してる?」
ツッコミ「何その宣伝文句みたいな質問。まあ、活火山ではあるよね」
ボケ「ちなみにさ、浅間山と富士山と阿蘇山だったらどれが好き?」
ツッコミ「うん一旦止めようか」
ボケ「どひゃー」
ツッコミ「なに、火山好きなの?」
ボケ「そんな好きじゃない」
ツッコミ「何かこう、もっとあるよね話題。別に火山じゃなくてもいいよね」
ボケ「駄目かあ」
ツッコミ「でも話題を広げようとしたのは成長だよ。もう一回世間話してみよう。俺も出来る限りノるから頑張って」
ボケ「難しいなあ。……最近手の甲にホクロが出来て」
ツッコミ「大丈夫? それ盛り上がる?」
ボケ「ここにあと一つ出来たらオリオン座なのになって」
ツッコミ「そうだね、確かに」
ボケ「うん一旦止めようか」
ツッコミ「自己完結」
ボケ「あー、友達作りなんて無理だあ」
ツッコミ「諦めんなよ」
ボケ「だって無理だもん。どうしてホクロで星座生み出さないといけないの」
ツッコミ「お前が言ったんだろそれは」
ボケ「元カノに殺されかけた話にすれば良かった」
ツッコミ「ちょっと気になること言うのやめろ。無事で良かったよ」
ボケ「世間話も無理となると、いよいよ友達の作り方がわからない」
ツッコミ「ここまでやっといてアレだけどさ、友達ってなろうと思ってなるもんじゃないんじゃないかな」
ボケ「え?」
ツッコミ「確かに最初はそういう気持ちもあるかもしれないけど。話してるうちに相手のことが好きになって仲良くなって、知らないうちになってるもんだと思うよ、友達って」
ボケ「お前……」
ツッコミ「だからさ、そんな気にしなくて大丈夫だって」
ボケ「そういうことじゃないんだよ」
ツッコミ「えっ」
ボケ「友達作りってそんな綺麗な世界じゃないから。知らないうちにとか言ってるとあっという間に取り残されるんだよ。弱肉強食の世界なんだよぉ!」
ツッコミ「憎しみが凄い」
ボケ「そんな甘い気持ちで友達作るから体育で二人組になれって言われた時余るんだよ!」
ツッコミ「えっなんかごめん」
ボケ「いいよ。友達なんかいらないし。一人で高みへ行ける。どこまでも」
ツッコミ「一人で行くなって。寂しいこと言うなよ」
ボケ「それは……俺と一緒にいろ、と?」
ツッコミ「何でちょっとときめいてるんだよ」
ボケ「そこまで言うなら一人じゃなくてもいいかな。二人……だもんね」
ツッコミ「やめろやめろ。少女漫画モードに入るな」
ボケ「でもそうだよな。俺とお前、友達だもんな」
ツッコミ「うん」
ボケ「体育の時も組んでくれるよな」
ツッコミ「勿論」
ボケ「一緒に埃、眺めてくれるよな」
ツッコミ「う、うん」
ボケ「元カノに殺されそうになったら代わりになってくれるよな」
ツッコミ「今すぐ辞書で友達の意味調べろ!」
ツッコミ「もういいよ」
二人「ありがとうございました」