第十二話 二人対二人
前回、アンジュ登場
「「「「あ、これまずいな」」」」
桃花でその光景を見ていた職員一同+焔の言葉が重なった。
アラディアは紙面を見返す。だがそこに突然現れた女性に関する情報はない。
高天原が情報を渡し損ねたとは思えない。つまり彼女――ローランがアンジュと呼んだ存在は、高天原でも確認していないということ。
状況は蛍と美羽の二人VSアンジュとローランの二人の咎人。そう受けとって構わないだろう。
これはまずい。ただでさえローラン一人に苦戦しているこの状況に、もう一人加わるとは・・・・・・・
「アラディアさん」
ゲートの近くで待機していた否笠が、テレビ画面をじっと睨むアラディアに声をかける。
「どうします?今回は諦めましょうか?
なんだか、別のターゲットでもいい気がしてきました。
彼は、いいえ、あの二人は。美羽さんと蛍君では荷が重いと思いますが」
「・・・・・つっても、他の智天使の粛清依頼もないんですよねー。
適当に他の奴に喧嘩吹っ掛けるのもそれはそれでリスクがありますし・・・・・」
ファルファレナの粛清決行は明日。それまでになんとしてでも二人には熾天使に上がってもらわなければ困る。
確かにこれまでのローランの実力は圧巻だった。アラディアも、美羽と蛍が限界を300%は超えてなおかつ死力を尽くし、身も心もボロボロになり魂を一片まで使い果たしてようやく勝てる相手だと推測していた。
だがここに至って新手が出てくるとは、確かに否笠が言うように諦めた方がいいのかもしれない。
(だけどな~、今更な~、ああもうどうしようかな~、あいつら奇跡とか起こさねぇかな~)
だんだん投げやりになってきたアラディアは、彼らしくなく他者に助言を頼った。
「霞ー、どーすればいいと思うー?」
「え、私に聞く~?
ん~、二人の安全が第一ならここで止めさせて、明日のファルファレナのこと考えるならこのまま続行じゃない~?
私としては前者の方がいいと思うけど、二人がそれで納得できるとは思えないな。
焔君はどう思う~?」
「儂か?そうじゃな。
単に人数が必要なだけなら、儂が一声かけて高天原から熾天使クラスの粛清者を数人持ってこれる。
じゃが、そもそもファルファレナと対峙したいと願ったのが美羽と蛍なのじゃろう?
それを二人の安全を理由に無為にするのもどうかと思うがな」
断言は避けたが、二人の意見はどちらかと言えば戦闘続行の色が強い。
「店長はどちらで――いえ、聞くまでもありませんでしたね。
もともと危険を承知で二人を突っ込んだんですから、今更反対する気などないですよね」
「おや、それはどうでしょう?
時には状況に合わせて自分の意見や信念を変えることも重要ですよ。
ずっと同じ意見なんてつまらないでしょう。口から出てくる言葉はいつも同じなんて。
固定されていてそれ以上の変化もない。石像と同じです。もしくは死体ですね。
壊れたラジオの方がまだ語彙力があります」
貫くことも大事だが、時には折れ、曲がることの重要性を説く否笠。
だが今論じるのはその話ではない。
最終的にどうするか決定するのは自分だと空気で悟ったアラディアは、髪を掻いて溜息と共に言葉を吐き出した。
「戦闘は続行させる。ま、あいつらの魂に賭けましょう」
なあ、美羽、蛍。お前らもここで終われないだろう?
■ ■ ■
アラディアたちの予想通り、美羽と蛍は苦戦していた。
数の優位は崩れ、二対二のイーブンに。
ローランだけでなく、彼がアンジュと呼んだ少女も戦闘に加わる。
今まで多数相手の戦闘は経験したことがある。
だが、それはいずれも二人より格下の者だ。同格を複数相手取るなど自殺行為も甚だしい。否笠が二人にそれを意図して避けさせていたのだから。
だから複数の顕現者の相手は、二人にとって初めての経験と言ってもいい。
「また、空からっ!」
二人は縄張り中を駆け巡り、空から降り注ぐ超高温の光を避け続ける。
それはまるで地球を回る衛星から、ピンポイントで地表に照射される光と呼べばいいか。
着弾地点が丸く切り取られる。石の床を融解し岩盤すら貫いて、貫通痕は奈落にまで通じている。
空という絶対の高所から、アンジュは光を二人に照射し続ける。
なら、ローランはどうするか。
(次は、僕かっ!)
光の中を逃げ惑う蛍に向かって、彼はその剣を振り下ろす。
その速度、先ほどの数倍以上。顕現を発動して本領を発揮したローラン相手には、もはや直感すら役に立たない。
あっさりと両断され、塵に帰る蛍。
それを確認して、何もないところを剣で突くローラン。
大体そこだろうという、単なる勘。
その直感は見事当たり、新たに創造された蛍が、突きの衝撃に巻き込まれ再度死亡した。
油断が消えたローランは、美羽と蛍の接近を許さない。
協力意思がその身に通用した以上、二度目の発動などさせるわけにはいかない。
それでも二人にはそれ以外の方法が残されていない。
なんとか近くに寄るため、蛍は復活位置を美羽の近くに決める。
瞬く間に五体が形成され――瞬間に降り注ぐ光の雨。
それは蛍の肉体を焼け焦げ溶かし、足元の地面ごと無に帰す。
アンジュの照射、一々的確だ。ローランと同じく、彼女も二人の合流を妨げる。
近くに再生しても無駄。ならあえて距離を離し合流を目指す。
蛍は長刀を手に持ち、牽制のためにローランに剣の衝撃を飛ばす。
それをいとも軽々と弾き、追撃を加えるために視界から消えるローラン。
その速度は、二人から見て影も残らないほど。
ゾグッ!!と、右足に突き立てられる聖剣。
足を貫通し、床に突き刺さり蛍を固定する。
「四方を囲みし四大の、神の光で輝き満ちる熾天使に願うことには、
一に諸敵封印、二に浄化消滅。されど憎むべきは人の罪なれば、聖なる威光で罪咎残さず焼き尽くしたまえ」
唱える聖唱。それは剣を通して地面に金色の線を描く。
蛍の立つ地が聖なるフィールドに昇華する。どこからか天使の讃美歌まで聞こえてくるような、そこだけ天の国に変化したような。
聖化。徐々に浄化され、神域となる。
同時に体にかかる重圧。封印だ。蛍の再生力が面倒だと感じたのだろう。
殺すことが難しいから、手っ取り早く無力化を行う。
目的を理解し、すぐさま蛍は魔術返しを実行する。
「四色の翼もつ天使、生命の樹に座す者よ。
汝らの天冠を剥奪する!!!」
唱えるのは天使無力化の魔術。
昨日僕が開発し、現状僕だけが扱える魔術。
実際に効果を及ぼすかどうかなんてわからない。ぶっつけ本番だ。
言葉に応じて、僕の意図する効果を発揮する魔術。
天使の証を没収し、大いなる生命の樹から叩き落すためだけのもの。
徐々に、聖化された土地が、荒廃した土地に戻る。
聖歌の音が歪んで、つんざく叫び声に変わっていく。
金色の線が綻び、消え去っていく。
身体にかかる重圧が軽くなり、ついに克服。
あいにく、動けなくされるのはもううんざりなんだ。
剣に貫かれた脚を無理やり引きはがしたところで、神速で駆け寄ってきた美羽と合流する。
その手を握る。再び協力意思が発動し、二人分の想いを拳に握りしめた美羽が、ローランに向けて剛腕を放つ。
その威力。間違いなく智天使でも葬りさる一撃。
空間が壊れて生じる黒い闇の、その漆黒すら打ち破り、亀裂はどこまでも広がっていく。
限界を超えて発動する協力意思が、これまでで最大の破壊を騎士にもたらす。
だがローランを砕くには、それでもまだ足りなかった。
蛍のように剣で拳を受け止めたローラン。
その鏡のような刀身には罅一つ入りはしない。
「無駄だ、この剣は決して壊れない。
まして、今の僕にはアンジュの加護がある。
万が一もありえはしない」
告げるローランは、まるでオーロラに包まれているように、天から降る光を纏う。
それはアンジュの光。顕現。あれがローランを守っている。
物理的な防御だけではない。彼に対する干渉、ルールの強制、不都合な現実や運命。その全てに対する絶対的な加護を彼に与えている。
幕のように薄く、されど堅牢な城塞を凌ぐ光の守護盾。
アンジュをどうにかしないかぎり、ローランに傷を与えられない。
瞬時に決めた美羽は、彼女独自の魔術を発動する。
「開け不浄門!夕闇を超え、深淵に座す御魂に願い奉る!!」
来い、黒狐。あなたの力を再び私に。
大禍時の彼方に繋がり、美羽の声に応えた大狐が、彼女に自らの権能を譲る。
そして得られる運命回避の加護。
一足で天に座すアンジュの元まで飛翔する。
襲いかかる直射光は、正面から照射されているにもかかわらず、なぜか美羽に当たらない。
当たるという運命を回避しているのだ。
そして、目と鼻の先にアンジュの姿がある。
急激に強まる星光。全身を焦がし尽くし髪の毛一本残しはしないと、輝きはミクロの領域まで蒸発させる。
だが耐えられないわけではない。
光には莫大な量の放射線が含まれているが、戦闘時の美羽は黒き神そのもの。被曝するどころか吸収し自らの強化に充てることすら可能。
光を切り裂き走る黒脚。理を砕くその顕現は、単純な強度で上回らなければ防御不可能。
あわや必殺、そう思われたその時、
「触れさせはしない」
間近から聞こえる冷たい声。
美羽とアンジュの間に、突如として割り込む黒い影。
空間を超越したローランが美羽の黒脚を防いだ。
「いつ、の間にっ?」
驚愕の声は届かず、肩口から一刀両断にされ、地に叩き落される美羽。
地上から見上げるその目は、突然現れたローランに向けられる。
そんなローランとアンジュを囲むように、幾千億の武器が虚空より現れる。
蛍の想造。膨大な数の暴力が、騎士と姫に集中砲火を浴びせる。
それら全てが蛇のように動き回り、敵をどこまでも追尾し、壊されバラバラになろうと動き続ける。
異なる次元から、時空の果てから、速度も大きさもバラバラに襲い掛かる。
殺到するそれを、たった一人が対処するのは不可能。
「させないと言っただろう」
だがローランが動く。これまでの速度が蟻か蛞蝓に見える程の速さで。
たった一振りで万を薙ぎ払い、拳の一突きで億を消し去る。
まるで結界のように、アンジュの一定距離内に武器が立ち寄ることができない。
掠り傷の一つもつけることは許さないとばかりに、守護のための攻撃は苛烈さを増す。
既に創られた武器も、これから創られる武器も。
ローランは全て叩き伏せ、騎士の名のもとに姫を守る。
これがローランの顕現。
親愛の姫、アンジュに対する絶対防御。
アンジュに対する攻撃、および彼女に被害が及ぶ全ての事象に対し、自らを盾とすることでその効果を発揮させる騎士の想念。
それが掠り傷程度のものであろうが、ローランの実力を遥か凌駕する一撃であろうが関係ない。あらゆる因果、限界と制限を超えてアンジュを守る。
それはローランの意思に関係なく、自動的に執行される顕現。
驚くべきはアンジュを守るその一瞬に、彼の霊格は平時の数千万にも倍増すること。
それはもはや智天使を超え熾天使にも匹敵していて、
つまり美羽と蛍では、何をどうしても打倒不可能であることを意味する。
相思相愛の顕現。自分は相手のためにあり、相手は自分のためにある。
二人の間で、完璧な円環が形成されている。
互いが互いを想う。そうであるかぎり、騎士と星姫は無敵だ。
完全にはローランの顕現の全貌が分からずとも、二人はそれに近い解答に至っていた。
あの二人が同じ場にいる限り、どう足掻いても勝つことができない。
ローランに攻撃しようにも、アンジュの顕現が彼を守る。
アンジュに攻撃しようにも、ローランの顕現が彼女を守る。
だから何らかの方法で二人を引きはがす必要がある。
だけどどうやって?
天上から降り注ぐ剣の突きと破壊光を潜り抜けながら、二人はその方法を考える。
だがそれは不可能に近い。
アンジュに被害が及ぶ場合、例え何十万光年離れて居ようと、異なる並行世界であろうと、ローランは一切の垣根を飛び越え、時には世界そのものを改変し姫を守る。
物理的な障害など存在しない。彼はそれだけを願ったのだから、それ以外の結果になどなりはしない。
本来ならもう少し応用が効く顕現を、ゲッシュで制限しさらに効能を上昇させている。
例え、この場で美羽と蛍が熾天使に覚醒したとして、それでもローランは二人の攻撃を防ぎきることだってできる。
万事休す。美羽の頭にその言葉がよぎった時。
(ふふ、悩んでいるようですねメルキレシャ)
美羽の脳内に響く悪魔の声。
このところすっかりお世話になっているコロンゾン。暇を見つけてやって来たらしい。
だけどその声に構っている暇はない。今あの二人にどうすれば勝てるか必死に模索している最中だ。
最悪、撤退も考えないといけないんだから。
だけど声は止まらない。
(いいですね~あのラブラブカップル。
ああいうリア充は爆発させて地獄を見せたくなります。ええ、ほんとに)
(なんとかできるの?)
(ええ、自分の権能ならば可能でしょう。一対一に持っていけますが、どうします?)
笑いを抑えて、悪魔は提案する。
美羽はそれに乗るか乗るまいか思案して、結局差し出された手を握り返した。
交わされる会話。それを聞いて、確かにそれなら可能性があると、美羽は蛍の名前を呼んだ。
「蛍っ、その剣貸して!!」
「え、これをっ?」
突然のことに目を丸くする蛍だが、直後に思考の共有で美羽の思惑を察する。
二人で長刀を握り、協力意思で想いを刀身に注ぎ込む。
訝しんだのは天上にいるローランの方だった。
跳ね上がる二人の力。二人の霊格量の三倍も四倍も倍増し続ける。
だが、それが何だ?
顕現を発動したローランに同じ手が通じないことは、先ほど分かったはずだ。
その矛先をアンジュに向けようものならローランが守り切る。二人の倍増した霊格など桁違いの出力で。
確かに残された手段は他にないだろう。だが自棄になっている様子でもない。
不可解に思いながら、一応のため構えるローラン。
全神経はアンジュの守護。それだけのために向けられる。
だからこそ、それが致命的な間違いであると分かるのに時間がかかったのかもしれない。
二人で柄を握り、放たれる剣閃。
しかしそれはローランにも、ましてやアンジュにも向けられたものではない。
二人の間を通り過ぎた剣閃が、縄張りの果てにまで斬痕を残す。
当然、どちらも狙っていないのだから、ローランとアンジュの顕現は対象外ゆえ発動しない。
何をしているんだと、ローランが疑問に思った時――
「っ、何?」
違和感はすぐに訪れた。
ローランとアンジュの間で構築されている不可視の糸。
それは縁と呼ぶべきものかもしれない。
世界との繋がり。異なる他者との繋がり。
そういう非物理的な繋がりが強制的に断たれた。それが直感で分かった。
なぜなら、縁を断ち切る力こそが、コロンゾンの権能だから。
闇の奥底に揺蕩う悪魔は笑う。
(人の強さが絆だというのなら、自分はそれを打ち砕いてみせましょう。
繋がり、群れることを強さというのなら、それをこそ分解してみせましょう。
それをもって、ディスパーションの真意を知れ)
絆も、愛も、皆等しく、この悪魔の前では糸くずでしかないのだから。
今回は剣という、断ち切る触媒を持っていたことがさらにそれを容易にした。
縁が切れた、繋がりが途絶えたということは、お互いが全くの無関係・赤の他人になったということ。
それすなわち、ローランとアンジュの顕現が、お互いを対象に選べなくなるということと同義。
コロンゾンが提案した、二人を引き離す方法とはこれだった。
剣閃が走った場所。土が盛り上がり巨大な壁が出来上がる。
切断した場所を蛍が再創造し生じさせたもの。
これで物理的にも、二人の間に障害が出来上がった。
「っ!!」
突如として現れた壁を見て、ローランは慌ててアンジュの元へ駆け寄ろうとする。切れた縁を取り戻そうとする。
この程度の障壁など一発で破砕可能。彼にとっては障子を破くようなものだ。
だが、振り下ろされた剣を蛍が受け止める。
金属と金属が激しくぶつかり合い、ローランの剣が止まった。
「・・・・・なるほど、僕とアンジュを分離させて、各個撃破するということか」
蛍たちの意図を推測し、ローランは苦々しく言葉を絞り出す。
確かにこれ以上ない作戦だ。
互いが互いのためにある顕現。それは裏を返せば、対象がいなければ無用の長物に他ならない。
顕現がないものになったと思えば良い。それは蛍たちにとって大きなアドバンテージだ。
だが、同時に大きな危険性も孕んでいる。
今ローランと相対している蛍はまさにそう。
さっきまで二人でようやく一太刀浴びせることができたローラン。
それなのに今の蛍は単騎で、その怪物と渡り歩かなければならないのだから。
後ろに下がって距離を取り、今までとは異なる視線を蛍に浴びせるローラン。
その目には、怒気と焦りが見てとれた。
「いいだろう。君たちの望み通り相手をしよう。
少々雑になるが、文句は言わないでくれよ」
「!!」
剣を構えなおすローラン。その所作、溢れ出る刃のような殺意。
気圧されないように歯を噛み締めて、一対一の勝負に臨む。
蛍とて策がないわけではない。最低限の打算はついている。
ローランと一人で戦い勝てるとは思っていない。
高位の存在になると、運や偶然が介入する余地がなくなっていく。
そうしたものが下位のものになって、自分はそれを俯瞰できる立場に立つ。
だからローランに対して万が一とか、もしかしたらとか、運が良ければなんて言葉は通じない。
当然の結果が、当然のように返ってくるだけ。圧倒的な実力差は、そのまま勝敗に直結する。
だから、蛍にできるのは時間稼ぎ。
それを決意したきっかけは、さきほど美羽と交わした会話。
『私がアンジュを倒す。だから、それまでローランをお願い』
ローランが推測した蛍たちの目的は半ば間違い。
はなから一人でローランを撃破できるとは思っていない。
美羽がアンジュを倒した後合流。再び二対一の状況に持っていく。
限られた手札の中で、それが二人の選んだ打開策。
美羽に頼られたら応えないわけにはいかない。
そんな心地よい意地を背に、蛍は長刀を構える。
一方、美羽は壁を背に、空に浮かぶアンジュと向かい合う。
「というわけです。ローランと合流したいのなら、私を倒してからにしてください」
「・・・・・・・・・・」
我ながら古いセリフを吐いたと思う。
対するアンジュは無表情のまま、私を睥睨する。
今更だが、人型で女性の咎人を相手するのは初めてかもしれない。
ファルファレナは女性じゃないのかって?奴とは勝負にもならなかったらノーカン。
だけど、女だから殺さないとか、そういうルールは粛清機関にはない。
対等に、それぞれ違う思いを持つ者として、その顕現をぶつけあう。
それに性別など関係ない。
一刻も早く蛍と合流する。
そのために必ずあの星を堕とすと、美羽は総身に力を漲らせ決意する。
次回、ローランの目的