母乳ゴッドファーザー
テコ入れ
目が覚めると、私は母乳塗れになって地面に突っ伏していた。自分が落ちてきた高さを考えると普通ならまず助からない筈……。
(何が起きたんだ……?)
私は自分に何か変わった事が起きていないか探ったが、いつも通り母乳が出るだけだった。
塔の上を見上げると悪魔が顔を出しており、笑顔で手招きをしていた。私を塔から落としておいて更に何をするつもりだろうか。とにかく私は逃げようと決意した。
「またれよ……」
振り向くとそこには片乳を丸出しにした老人が居た。老人はサングラスを掛けており見た目からして既に怪しい。
「お主……母乳一族の末裔じゃな?」
良く分からないが、とりあえず無言で頷く。
「その力では母乳の塔に挑むのは、ちと辛かろう」
……とりあえず無言で頷いた。そろそろ話についていけないぞ?
「吾輩も残り短い。お主に母乳神の加護を授けてしんぜよう……」
そう言うと、老人は曝け出した片乳に力を込め、血管が浮き出て血走るかの様な気合いで母乳一滴を指に絞り出した!
その神々しい一滴は、見るのも恐れ多い位に美しく、私は思わず目を覆ってしまった。
―――ズボッ
老人の指が私の口へと入れられた。そして感じる優しい甘さと何かが舞い降りる様な清々しさに私は感服した。まるで聖母に包まれる様な抱擁感と満ち足りた充実感! 私の今まで出してきた母乳が泥水かと思われる位に違いを感じ、私は感動でいつの間にか涙を流していた。
「神はそなたに舞い降りた。これで吾輩はただのジジイに戻れるわい。若人よ、そなたは七色の母乳を扱う神となった。精々頑張るがよいぞ……」
そう言い残し老人は何処か遠くへ去ってしまった……。
私は今までに無い力が漲るのを感じていた!
今の私なら何でも出来そうな気がした。そう、塔の上で微笑む悪魔を浄化する事さえ……。
「清めたまえ!!」
私の乳から勢い良く噴射された母乳が塔の上の悪魔に降り注ぐ! そして塔の上から「ぎえええ!!」と叫び声が聞こえたかと思うと、悪魔の姿は見えなくなってしまった。
その時、目の前の塔から盛大な地響きが鳴り響いた!!
思わず身を屈める私。なんと、塔の正面内部に地下へと続く階段が現れたではないか!!
「母乳の塔の隠しダンジョンが解放されましたわ!!」
いつの間にか私の後ろに居た金髪の女性が、その豊満な胸の前で腕を組みながら立っていた……。