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母乳ゴッド

「古よりこの地にこっそりと伝わる母乳一族。その身に神を宿し大地に恵みを与える存在じゃ……」


(…………何を言ってるんだ、このじーさんは?)


「……まさか、お主知らなかったのか!?」


「俺は幼くして両親が死んでいる」


「では、母乳の塔へ登るが良い」


(おいおい、今度は何だよ……。)


「ここより遥か北にある母乳神が祀られている塔じゃ。そこへ行けばお主は完全体となるだろう!」


「行かないとダメか?」


 出来れば面倒事は避けたい私だが、じーさんは若者に旅の支度をさせ、一式の道具や食料、僅かなお金の入ったリュックを目の前に置いた。


「世界の為じゃ。頑張るが良い……」


 じーさんはスッと奥へ引っ込んでしまい、私は仕方なく家を後にした。当然リュックは貰ったがな……。行くか行かないかは後で決めよう。


 村の武器屋でシンプルなサーベルを一つ買い、私は村を後にした。


「北はあちらですぞ!」


 村の入口に居た見張りが北を指差し向かうように声を大にした。これでは北へ行くしか無いだろう……。全く変な事になってしまったな。





 北へ向かうこと約半日、ようやくそれらしい塔が見えてきた。もしかして騙されたのでは無いかと少し心配になっていた頃だ。


 塔の正面は扉も無く、誰でも入れる造りになっていた。造りは頑丈で、所々大きなヒビが入っているが私が歩く分には何も問題は無いだろう。奥には螺旋階段があり、塔の内壁をグルグルと回りながら天辺まで続いていた。


「上なのか……?」


 人二人がすれ違える程度の幅の螺旋階段を、ゆっくりと登り始めた。ココまで来る道程に比べれば大したことない階段だ。私は塔の最上階、広大な景色を一望出来る場所へと頭を出した。



「母乳一族が来るのは……何百年ぶりだぁ?」



 私の頭の後ろから恐ろしく低い声が聞こえた。咄嗟に振り向いてしまったことに後悔している暇は無い。その地獄の釜を混ぜるかの様な槍を従えし悪魔は、私の首根っこを素早く掴むとズンズンと歩き出し腕を塔の外へ突き出し私を塔の下へ落とそうとした!


「―――うぐ……」


 恐ろしい力で捕まれて息も出来ない!

 私は足をジタバタさせ、悪魔の顔をしっかりと見つめた!


「血は薄れ母乳神を宿すには力が足りないと来たものだ……つくづく半端な奴が来たな!」


 悪魔は手を離し、私はそのまま真っ逆さまに塔の下へと落下した!!

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