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母乳プリズンブレイク

 盗賊一味のボスは狼狽しており、やれと言われて母乳を吹き出した私に対して卑下の眼差しと差別的な言葉を投げかけた。


「心を入れ替えて戻ってきたかと思えば、クソの役にも立たねぇミルタンクを連れてきやがって!!」


 その言葉にミントは少し怯えた表情をした。

 ミントを信じてホイホイついてきた私だが、そろそろ自分の身を案じた方が良さそうだ。


 と、言っても遅いだろう。既に盗賊のボスは飽き飽きとしているし、影に隠れて槍を構えた下っ端達が今か今かと槍先を光らせている。


「この汚えオッサンを牢屋にぶち込んどけ!!」


 四方から槍先が私の首下へと押し当てられ、私は素直に従うことにした。ミントはその場から動かず下を向いている。



「さあ、ミントよ……お前の答えを聞かせてくれ」


 ボスの荒く汚い鼻息が、私の耳にまで届いた―――






 ―――背中を蹴られ押し込められた牢屋は、浅い洞窟の入口に鉄格子をはめた簡素な物だった。崖か岩肌を掘って作った物だろが、中々にしっかりした造りをしている。


 下っ端達が去り際に「お前は見世物小屋行きだ!」と行っていたが、とりあえずその場で首チョンパは避けられた様だ。私がこれからどうしようか頭を悩ませていると、ぐったりと項垂れたミントが屈強な男に抱えられ、私が居る牢屋へ投げ込まれた。


「―――ミント!」

 

 私は倒れたミントを摩る。全身に酷く打たれた痕があり、何をされたのか容易に想像がついた。


「……ごめんオッサン…………」


 ミントはその朱い瞳を僅かに灯らせて、自らの痛みに耐えながら私に謝罪した。その瞬間ミントの口から滑り落ちた小さなカギを素早く拾いポケットへとしまった。そしてそれだけ発したミントは気絶した―――




 ―――夜、ミントは静かに目を覚ました。


「大丈夫か?」


 緊張して眠れずに起きていた私はミントを膝枕して様子を看ていた。


「身体中が痛い……酷く殴られた」


「そうか、ところでコレは―――」


 私は拾った小さなカギをミントに見せた。


「良かった、ちゃんと有ったか……コレは牢屋のカギさ。奴等が寝ている間に逃げよう!」


「あ、ああ……」


 詳しい経緯をその場で聞くのは止めた。先ずはここから脱出するのが先だ。私とミントは寝静まる奴等の溜まり場を静かに進み、密林の奥へと駆け抜けた!


 足を庇うミントの進みはゆっくりであったが、私は彼女を置いていく事だけはしないと決めていた。


「後少しだ」


 彼女が指差した先には僅かに松明の灯りが見え、ようやく生きた心地がしたのであった……。

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