母乳クールダウン
――ッ!
混濁した意識が手を引かれ無理矢理戻される様な激しい転換を迎え、私が目を開けた先にはナツメが居た。
「あ、ダンカンが起きたぞい」
岩肌をくり貫いた洞窟の中、私は簡素な寝具の上に横たわっていた。
「……あの後何が起きたんだい? 全く記憶がないんだ」
「…………」
私が腰を上げゆっくりと座ると、ナツメは私の隣に座りその後を語ってくれた。
「隠しても直ぐにバレるだろうから、最初からありのまま真実を話すぞい?」
「……お、おう」
「ダンカンは『ヒドイヨナキデチチヲセガムアカサン』になった後コヌビを滅してしまったのじゃ……そして力を使い果たし二日間程寝ていたのじゃ……」
「……はぁ!?」
これまた訳の分からぬキーワードが出て来やがりましたけれども、その前に……。
「あの時居た幼女はどうなったんだい!?」
「大丈夫じゃ。木に引っ掛かって助かったぞい」
「そうか。良かった……」
一先ず安心だ。これで助かってなかったら悔いても悔やみきれないからな。
「コヌビを滅した事は他の乳英雄にはもうバレておるだろう。これからは身を隠しながら移動するのじゃ!」
「…………ああ」
これ以上訳の分からぬ変人共に会わない様にコソコソと生活する羽目になろうとは……。私は酷く落胆した後、これからのことに頭を悩ませた。
「ダンカンよ。『母乳都市 チャンホンポー』へ行くぞい。木を隠すなら森の中。人を隠すなら人の中じゃ! あそこは大都市じゃから多少のことでは見付からんぞい?」
「その『チャンホンポー』とやらは何処に?」
「この山を超えて暫く歩いた先じゃ」
私は元々当ての無い放浪をしているので、母乳都市とやらに行くのに何の抵抗も無かった。それに、ちょっとだけ母乳都市とやらに興味があったので私は迷うこと無く向かうことにした…………。




