母乳シーフ
「開いたぞ!」
アマンダの喜びと共に掲げられた小さな珠。それは透明で向こう側が見えるくらいに透き通っていた。
「……何だか分からないから帰ってから鑑定ね」
アマンダが宝箱から離れると、ナツメは私の服にしがみつき背中を登って肩車の姿勢を取った。
「あだだだ……もうちょい優しくお願い」
「うむ、行くぞい!」
ナツメが来た道をビシッと指差した。
「で? そのガキは何なの? アンタが面倒見なさいよ」
「……どうやら本当に唯の迷子みたいだ。私が送り届けるよ」
アマンダにはナツメの素性は隠し、私達は地上へと戻ることにした。
塔から出ると、3人の盗賊と思われるならず者達と出会った。無精髭に乱れた服装。手には刃物を持っている。
「へへ、オカシラどうやら当たりみたいだぜ!?」
「うひょひょ! 良い女が居るぜぇ! 乳くせえガキも居るが売れば金になるだろう!」
汚らしい薄ら笑いを浮かべ、3人の両端の男達がジリジリと躙り寄ってくる。
「今しがた母乳を飲んだからな。多少は匂うぞい?」
ナツメが私の肩の上でクンクンと匂いを嗅いでいる。
「オカシラァ!! あの女母乳が出るみてぇだぜ! 今夜はお楽しみだあ!!」
興奮仕切った盗賊達は私達を囲むように動き、一斉に飛びかかってきた!!
「ゲス共が!」
アマンダはジッパーを下げ、猛烈な勢いで母乳を盗賊二人の顔に噴射した!
「あばば!!」
前が見えなくなった盗賊達の鳩尾に蹴りを華麗に入れると、盗賊達はぐうの音も出せぬまま倒れ込んでしまう。
私はと言うと、ナツメを背負ったまま走り出し盗賊から逃げていた。
「ダンカン八つ裂きにせぬのか?」
「私は村で一二位を争う位に弱いんだ! 勝てる訳がない!」
「大丈夫じゃ、お主の母乳神を信じてとりあえず乳を出すが良い!」
その言葉に半信半疑になりつつも、私は盗賊と向き合い乳を曝け出した!
「ケケ! 気でも狂ったかオッサン!!」
盗賊の短剣が振るわれる最中、私は母乳を勢い良く噴射した!
「アバババ!」
盗賊は全身に母乳を浴びると、急に人が変わったかの様にシュンと大人しくなり、短剣を地面に落とした。
「……俺は、今まで何という悪いことをしてきたのだろう…………」
急に自分の悪事を振り返り始めた盗賊は、それまでとは違い落ち着いた表情でトボトボと帰って行った。
「え? 何が起きたんだいナツメ?」
「お主の母乳がヤツの悪意を浄化したのじゃ! まさに母性エネルギーのなせる技じゃな!」
……私の母乳にそんな力があったなんて…………。
アマンダの元へ戻り、私は残りの盗賊達にも母乳をかけた。すると先程と同じように善人へと生まれ変わり、お辞儀をして帰って行ったのだ……。




