母乳トラップ
腰まで掛かった長く美しい金髪と短いスカートを靡かせ、塔の中へと入ろうする彼女に、私は思わず「待ってくれ」と声を掛けた。
「―――塔のお宝は早い者勝ち。貴方も母乳一族の端くれなら、それ位は弁えときなさい」
彼女は振り向きもせずにそう答えた。私は居ても立っていられずに彼女の後を追う事にした。何が何だか解らない以上、彼女から少しでも情報を得なくては……。そう思い、彼女が降りていった階段を慎重に降りていった。
彼女は階段を降りた先で立ち止まっていた。
「待ってくれ! 宝なんか要らないから、とりあえず話を―――」
しかし、まだ言いかけている私の口を彼女は指で塞いだ。
「しっ……母乳トラップがしこたま張られているわ。これは当たりね!」
そう語るや否や、彼女は自分の服の胸部に着いたジッパーを素早く下ろし、自分の乳を露出させた!!
「なっ!! 女性がこんな所で乳を開けさせるんじゃない!」
私の言葉に……彼女は静かに振り返った。
「貴方……母乳一族のくせに本当に何も知らないみたいね。いいわ、一から教えてあげる」
彼女はその豊満な胸を揉みし抱き、乳から母乳を霧状に噴射させ、地下の壁や地面を母乳で湿らせた。すると、湿った壁や地面の一部が黄色や赤に変色し始めたではないか!
私は驚き彼女の顔と地面を交互に見た。
「まず、母乳一族の中でも母乳神を纏えるのは『男だけ』……つまり、俺も男よ♪」
彼女はスカートをめくり、可愛らしいウサギの柄のパンツを下ろした。
驚いたことに、確かに天狗の鼻のような雄々しい棍棒が、そこには聳えていたのだ……。思わず私は目を白黒させ、上と下とを交互に見つめた。
「あまり見ないでよ。イイ男に見られると興奮するわ♡」
一瞬理解が追い付かない程遠くへ意識が飛びそうになったが、髭面の私が母乳を出す位だ。より女性的な見た目の彼女が母乳を出す方が精神衛生的にも良いだろう。そう思い納得する事にした。
「俺の名はアマンダ。こう見えて35歳の独身。宜しくネ♪」
彼女?が手を伸ばしてきた。私は、何も考えずその手を握る。因みにまだ彼女?は色々と出しっ放しだ。
「私はダンカン。どう見ても髭面のオッサンだ。ところで、さっき噴射した母乳は一体何の為に……?」
アマンダは下をしまい、上は出したままで腕を組み、変色した地面や壁を眺めながら語り始めた。
「今のは母乳アナライズだ……」
「……?」
私は最早困った顔をするしか無かった―――