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Remained GaMe -replay-  作者: ぼんばん
6章 Can’t you handle the truth?
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最後の調査

「さて、調査を始めますよ。」

「といっても何から調べればいいか……。」


 楓の言う通り、4人はうーんと腕を組んで悩む。

 今まで必死で目の前の事件に必死で疑問をあまり抱いていなかったのだ。


「そういえばですけど、久我さんの端末から拾った千葉さんのメモ、私読み切りました! 内容なんですけど、発表してもいいですか?」

「もちろんすよ! 読むの早くて凄いっすね。」


 梶谷が手放しで褒めると莉音はへらりと笑う。


「最初の方は、私たちの知っての通り、前回の世界のことが書いてありました。でも途中からは酒門さんも書いたような感じがするんです。」

「酒門さんが?」

「うん。まず、1つ目は【加藤さんの事件のこと】。」



 確か彼女が起こした事件は以下の通りだ。

 3つ目の菜摘の世界で、彼女は停電を引き起こし、香坂を気絶させた華と香坂を【強制退場】させたのだ。

 彼女は美波に問い詰められた時に、支離滅裂な言葉をこぼして戸惑っていた。



「……あれって妙だったよね。麻結ちゃん、変な人ではあったけど【箱庭ゲーム】に対して、美波ちゃん達に対しては凄く真摯に応じてたから。正直、彼女の意識でやったのかって言われると。」

「それに前回の【箱庭ゲーム】との共通点もあります。それは、【強制退場者が2人】ということです。」


 莉音がもじもじとしながらもはっきりと事実を述べる。


「……今は討論の時間でないので言及避けますが、他にも何か共通点があるかもしれませんね。」

「……。」


 石田が何かを考え込む。



「それで2つ目は?」

「2つ目はですね、その、久我さんと寿さんのことについてなんですが、皆さん内容は覚えていますか?」


「……酒門さんの世界で、酒門さんが犠牲にならないよう寿さんが本山さんを【強制退場】させようとした。それを久我さんが食い止めようとして、結果として階段から転落、久我さんが寿さんを【強制退場】させた、こんな感じっすよね?」


 この事件に関して、最も深く傷ついていた彼が語る。莉音はこの言葉に返すのは、どうも足踏みしてしまったが意を決して口にした。


「……【久我さんと寿さんが階段から転落したのは2人に原因があるんじゃなくて、誰かに突き落とされた】、そう書いてあるんだよ。」

「は?! どういうことっすか?!」


 莉音から千葉のメモを取り上げて読み込む。

 徐々に梶谷の表情は険しくなっていく。


「じゃあ、もしかしたら、2人は完全に何もしてないのに消されたってことっすか。……これに酒門さんは気付いて、」


 許せない。

 自然と梶谷の心の内に出てきた言葉だった。

 無意識のうちに下唇を強く噛んでおり、気づけば口の中に血の味が広がっていた。



「あとさ、私もその事件について気になってたんだけど、寿さんの端末って壊れてたじゃない? 莉音ちゃんのメモを見る限りだと、【端末って熱に弱いだけなんでしょ? ……転落の衝撃で壊れるのかな?】」

「確かにオレも屋上の梯子を降りてる時に落としたけど全然無事だったよ。」


 石田が差し出した彼の端末は確かに傷だらけであったが、先ほども接続できた通り、端末は正常に動いていた。


「何か、この2つの事件には何かありそうっすね。」

「……そうだね、じゃあオレからも1つ疑問を。あのAIについてなんだけど。」

「AIっすか?」


 石田は頷いた。


「……どうして【久我のが無かった】んだろう、って。もしかしたら他にもない人がいるのかもしれないから調べてみない?」

「そっすね。じゃあ、AIのフォルダも解析しましょう。」

「……それと、風磨の世界で確認したいことがあって。」

「1番疑問がなかったと言えば無かったけど。」


 楓はそのように言うが石田はどうも引っかかっているらしい。

 今回はそんな小さな疑問も調べなければどうにもならないだろう。


「じゃあ順番に回ってみましょうか。」







 梶谷の提案に則り、まずは久我と綾音の事件が発生した場所に向かった。

 まさにその現場がここには切り取られているようで、綾音のものと思わしき血液痕が残っており、石田以外は全員顔を顰めた。

 やはりあの時同様に消火栓は凹んでおり、勢いよく転がったことが見て伺えた。


「自然に落ちてここまで勢いつくもんすかね。」

「警察の人に聞けば?」


 石田の言うことはごもっともだ。

 千藤に繋ぎ、現場を確認してもらうと、彼は端正な顔を歪めてその場を解析する。


『恐らく【不意な転落の可能性が高い】。自ら転落した場合は受け身を取るはずだしね。それに、端末のことだけど【転落ごときじゃ壊れないはずだ】。』

『前のゲームで春翔が証明したもんね。』

『うるさいな。』


 このやりとりから察するに、彼らは間違いなく端末を壊しているらしい。





 そして、次に向かったのは2つ目の世界のPC室と高濱の自室だった。


「石田くんは何が引っかかってるの?」

「いや、風磨の世界かもしれないんけど……、実はオレの世界だったんじゃないかなって思っただけ。」

「え、今更ですか?」


 莉音のごもっともな意見に珍しく居心地悪そうに口籠る。彼は迷わずに隠し棚にしまってある高濱のノートに手をかけた。


「……高濱さんのノートっすか?」

「うん。あの時の推理で、風磨のノートには間違いなく内容が記載されていた。でも、酒門が言った『日記の内容を知らない』ってことも正解だったんだよ。」

「どういうことですか? その酒門さんの推理から正解に辿り着いたんですよね?」

「オレもあの時は頭真っ白だったからあまり気にして無かったけど。ほら、この最新の日記。大体1週間に1回、大会の時なんかはほぼ毎日書いてあるけど、最後の日付は4月末になってるでしょ。」

「今は7月っすもんね。」


 梶谷の言葉に頷く。


「オレが最後に見た日記は4月末、要するに日記に基づけば、【ここはオレの世界だったんじゃないか】って思えない?」

「……その事実が示すことは?」


 莉音が尋ねると、石田はうまく思考が纏まっていないのか、ううんと唸るだけであった。


「でも、【2つ目の世界は最も【スズキ】の妨害が少なかった】。それがヒントになるかもしれませんね。」

「……手間取らせたね。AIの部屋行こうか。」





 石田は名残を惜しむことなく、そのノートを棚に戻した。

 4人はPC室に入る。梶谷はすぐにAIが入っているPCを見つけると起動させて内容を確認し始めた。


「……妙っすね。」

「どうしたの。」


 後方から石田が画面を覗き込んだ。梶谷の言いたいことはすぐ分かった。


「これって事件順に並んでるんでしょ? 【久我だけじゃなくて、木下と酒門もない】。」

「こっちの凍結されたファイルには、2つありますね。」

「解凍してみれば?」


 梶谷は慣れた手つきでファイルを展開してデータを解凍した。

 しかし、そこで現れたファイルは予想をしていなかった名前になっていた。もう1人の該当者はみるみる顔を青くした。


「なんで【私と梶谷くん、本山さんのAIがすでに存在してる】の……?!」

「……試しにオレのを起動してみてもいいっすか。」


 誰かが了承する間も無く、梶谷は自身のファイルをダブルクリックした。しかし、エラーの文字が出た。莉音のファイルも同様だった。


「でもおかしいよね。石田くんのAIは無いんだよ。」

「何か意図をもって【スズキ】が準備してたってことっすよね。酒門さん、久我さん、木下さん、石田さん。何か共通点があればいいっすけど……。」


 現状で、梶谷には浮かんでこなかった。

 莉音は何やら云々悩んでいたが、すぐには浮かばずにため息をついた。








 それから梶谷たちは図書館へと移動した。

 理由というのが、石田が【攻略指南書】とりたいと言ったからだ。それをすぐさま見つけると、4人は隠し部屋に再度移動する。

 そこには4人はまだ確認していない資料が置いてあるからだ。


 隠し部屋では梶谷は端末をネット回線に繋ぎ、何やら作業していたが、3人には理解できないデータの羅列であったため深く尋ねる者はいなかった。

 作業が終わった梶谷が不意に顔を上げると3人はそれぞれ無言で資料を読んでいた。

 1番近くにいた楓に向けて梶谷は声をかける。


「本山さんは何を読んでるんすか?」

「これ? ここにあった資料なんだけどね。何か睡眠について書いてあったから。【アバターも人と同様に睡眠時が最も無防備になる】って。あと……ほら、ここ見てみて?」


「【意識がないアバターは別人格を以て捜査が可能となる】、すか。」

「【スズキ】さんとかだったらこれをうまく利用できそうだよね……。」


 青い顔をして述べる楓の言う通りだった。

 梶谷はふむ、と考えていると莉音がぱたぱたと駆け寄ってきた。



「これ、【今までのアリバイ】を纏めてみました! 私、錯乱していた時の記憶が曖昧で……間違っているものがあったら直してください。」

「分かったっす。」


 梶谷と楓は頷くと莉音が几帳面に記載した【アリバイ】に目を通す。

 楓と意見を交えながら修正を加えていく。


「でも今更ですけど、加藤さんの気が触れた時は不思議でした……。どのタイミングで【スズキ】さんに介入されたんでしょうか。それに久我さんと寿さんの件も……。」

「それはこれが関わってくるかも。」


 石田が持ってきたのはあるページを開いた【攻略指南書】であった。

 そこには驚くべき記述がしてあったのだ。



「【チート機能】……? なにそれ。」

「言葉のまま。【【スズキ】と直結するアバターはワープ機能を使える】。でもワープ先にいたアバターには不具合が生じるみたいだね。」

「不具合……すか、」


 梶谷ははっとした顔をする。

 それをすぐに気づいたらしい石田がふと口元を緩めた。


「ロジックは整った?」

「……ええ、じゃあ早速モニタールームに行きましょうか。」


 楓と莉音も頷いた。

 

 やっと、この戦いに終止符を打つときがきた。

 この部屋にきた時から薄々感じてはいたが、調査の末に100%に近い答えを見つけることができたと思っている。

 そして端末に入れた最終兵器、恐らくここにいる面子にはこっぴどく怒られるであろうが、命には変えられない。



「酒門さん、千葉さん……。オレ、必ずーーーーー。」



 祈るように端末を握りしめると、部屋から足を踏み出した。


①加藤の異変

彼女は停電を引き起こし、華と香坂を【強制退場】させた上で端末を捨てた。

事実の確認をしている時に『この世界で自滅したら、世界がぶっ壊れて、あたしらも無事じゃ』と支離滅裂な言葉を残していた。

前回の世界の3つ目の事件と同様、2人の強制退場者が出た。



②久我と寿が階段から転落した理由

久我は誰かに突き落とされたと証言している。

急な目眩がして、妙な感覚に襲われたと自覚した時にはすでに転落していたそうだ。

現場の様子からも自然落下でなく、不意な転落の可能性が高い。



③階段から落ちた後に故障した端末

端末は滅多な衝撃で壊れることはなく、熱に弱い。

しかし、階段転落後の寿の端末は故障していた。



④ 2つ目の世界の主

高濱のものと思われていたが恐らくは石田のものらしい。



⑤ 【スズキ】について

2つ目の世界では妨害がなかったが、3つ目の世界以降は【スズキ】のものと思わしき妨害があった。



⑥存在しないAI

久我、木下、酒門を除いた犠牲者のAIが立ち上がっている。一方で、凍結されたフォルダには梶谷と武島、本山のAIファイルが存在していた。



⑦眠りについて

アバターも人同様、眠っている時が最も無防備であり、データをダウンロードすれば別人格を使用することも可能である。



⑧アリバイについて

石田を除く3人で全事件のアリバイを挙げる。

羅列した事実に矛盾はないが……?



⑨チート機能

【スズキ】と直結するアバターはワープ機能があったようだ。しかし、ワープ先にいたアバターには不具合が生じやすいらしい。



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