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Remained GaMe -replay-  作者: ぼんばん
4章 計画にない目標へ
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解決編④ -前編-

 いつものログインルームも、現在は7人しかおらず閑散としている。しかしここはさらに広くなる。

 これから新たに1人、いなくなるのであるから。




「じゃあ、話し合い、始めましょうか。」

「あの!」



 梶谷が切り出すと、勢いよく莉音が挙手をした。他のメンバーは少しばかり驚いた様子だが、彼女は真っ青になりつつも、あの事実を告げようと口を開く。




「……疑われるのを、承知で言わせてください。

 私、須賀さんがあの時間に倉庫に来るっていうの、知ってたんです。」


「はい?」



 険しい顔をしてみせたのは菜摘だ。しかし、莉音は慌てつつも順を追って丁寧に説明を始める。



「私、酒門さんと一緒に、一昨日須賀さんからリビングルームにくるように呼び出されたんです。」

「……それって今関係あることなの?」



 楓からのごもっともな質問だった。しかし、莉音は臆せず首を縦に振る。



「だって、その時に彼は私に須賀さんを【強制退場】させるよう、酒門さんにはそのサポートをするように言ったんです。

 しかも今回現場となった倉庫で待つと言って。」




 場が静まり返る。

 そんなの当たり前だ、自身が疑わしくなるのを承知の上で恐ろしい事実を告げてきたのだから。

 その空気を読んでか、石田がとりあえず、といった様子で口を開く。




「ちなみにだけど、オレらが今朝武島と一緒にいたのは須賀を説得するため。……だからといって武島が白くなるわけではないけど。」



 微妙な空気が続く中、千葉が明朗な口調で申し訳なさそうに竦んでいる莉音に声をかける。



「でも、ちゃんと伝えてくれてありがとな。潔癖になるわけじゃねーけど大事な情報だろ。」

「……でも何でまたその2人にお願いしたの?」



 千葉の声かけで莉音は少し力が抜けたのか、楓の質問にもしっかりと答える。



「切っ掛けは、昨晩です。

 私、須賀さんの提案の前から、矢代さんのことが耐えきれなくて、自殺をしようとしてたんです。」


「「自殺?!」」



 その事実を知らなかった楓と菜摘が驚いた声を上げた。美波も僅かに表情を歪めた。



「……アイテム使用歴を見ていただければ分かると思いますが、1回目は酒門さんに薬を没収されて失敗して、2回目は梶谷くんと石田さんに首吊りを助けてもらいました。

 結局怖くて死にきれなかったんです。」



 彼女は俯きかけていたが、でも、と何かを決意したような表情をしていた。



「それから、2人の話を聞いて、安易に死のうとしていたのが間違いだって気づきました。だから、ちゃんとゲームと向き合おうって思ったんです。

 次に進むために、私も、ちゃんと証言も、推理も頑張ります。」



 場は静まるが、ふぅ、とため息をついたのは美波だった。



「黙ってても仕方ない。さっさと議論を進めよう。ある意味でアドバンテージがあるのは、武島と私。

 ただ、お互いに情報があるってことはこうやって公になるのだからむしろディスアドバンテージだよ。」


「ちなみに貴女は……疑いたくはないのですがアリバイはあるのですか?」


「アリバイはむしろがっちりありますよ。」



 梶谷は端末を取り出して指を差す。



「【酒門さんの端末の更新履歴】を確認したっす。オレたちのは定期更新がありますけど彼女のは昨晩の21時から更新されておらず、退場情報も10時37分に受信。

 つまりその時間まで端末の使えない隠し部屋にいたっていう証拠っすよ。」


「なら、酒門もシロってことだな。」

「そっす。話を聞きに行った時、気づいたことあります?」



 梶谷が尋ねると、美波は少し悩むような様子を見せる。



「1番奥のソファに須賀が寄りかかってて、武島は扉に近い方の椅子に座ってた。私は最後に部屋に入ったね。

 ……正直武島は話聞いてるのか不安な感じだったけど。ただ須賀はもう消えることを覚悟しているような、そんな感じだった。」



 美波の言葉を聞いた千葉はあれ? と首を傾げる。



「でもよ、【退場情報】によると目立った外傷は無かったんだよな? なら余程不意を突かれたか、須賀が消えることを受け入れたってことだろ? 言っちゃアレだがやっぱり武島が怪しいのは間違い無いよな。」


「体格的にも、パワー的にもこのメンバーの中で1番強いもんね。」



 楓の言う通り、当てはまるのは石田であるが彼は候補から外されている。強いて言えば千葉だが、果たして無傷で行うことは可能なのか。それこそ彼が言う通り余程不意を突くより、他ないだろう。




「なら、武島、千葉、木下、本山のアリバイをどうにか証明するか崩すかしないとね。」


「そう仰るなら1番アリバイ証明できる時間がありそうなのは本山さんですわ。彼女は【AIの方々とお話しされていたのですから】。」



 それは梶谷と莉音も確かに確認した内容だった。



「でもそれだけじゃ、証言のあった【8時24分から9時15分】の間の時間しか証明できないっすよ。」


「そういえばあの【スズキが送ってきた履歴】って役に立たないわけ? 木下とか。」



 美波は菜摘に向かって尋ねる。



(わたくし)は温室の壁の一部が01になっているのを9時前に見ましたわ。ちょうど本山さんと千葉さんも確認できるのではないですか?」


「この時間、オレ何も心当たりないんだけど。」

「私は01は見てないけどぱちぱちって鳴る音は聞いたよ。小さかったから聞こえなかったのかもね。」



 この時点で、梶谷は内心舌を巻いた。もしや美波はすでに犯人が分かっており、敢えてこのように誘導したのだろう、と。

 しかし、梶谷の思惑などお構いなしにその場の議論は進んでいく。




「……オレ、本山はほぼ犯人でないって決め打っていい気がするぜ。」


「オレも。」

「私もそう思う。」



 石田と美波の同意を得て、楓は安心したのか肩を撫で下ろす。


 明らかにできた、油断の空気。

 そこで目を光らせたのはもちろん梶谷と美波だ。



「……3人の中で、現場となった倉庫について何か気づいたことは?」


「正直、綺麗だと思いましたわ。」

「わ、私も整然としてるなって思いました。」


「なら荒らさずに須賀さんを消せるのは状況証拠的に武島さんで間違いないです。他にアリバイもありませんしね。」




 菜摘の言葉に驚いたような顔をしているのは千葉だった。千葉にももう犯人が分かったようで、梶谷と美波を順々に見やった。




「もういいっす。犯人はわかりました。」



 おそらく梶谷に対して驚きと憎しみを込めた視線を送ってくる人物に間違いない。

 そして梶谷は犯人に告げた。




「木下さん、アンタは焦りすぎっすよ。」




 彼女は表情を変えず、梶谷をジロリと睨みつけた。

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