死神の心
ボクは魂を迎えにいくモノだ
それは仕事であり
生まれた時から決まっている事だからだ
色んなモノの魂を迎えにいく
また、沢山の死を見てきた
惜しまれて逝くモノ
妬まれ、忌み嫌われる逝くモノ
寂しく逝くモノ
そんなモノ達を見てきた
けれど、ボクは何も思わなかった
心などありはしなかった
ーーー
ある日1人の不治の病にかかった少女と出会った
死が近いモノはボクのようなモノ達が見える
その少女もまたボクが見えた
魔が差したんだと思う
ボクは少女の話を聞いた
少女は語った
自分は普通の人がみえないモノが見えてしまう
それで両親からも兄弟からも嫌われ
街の人たちにさえ嫌われていた
自分に優しくしてくれる者もいたが
自分と居たため死んでしまった
こんな自分は死ぬべきなんだ
〈死神〉
と、
そしてボクに向かって
「私の話を聞いてくれて有難う」
と微笑んだ
ボクは答えなかった
この日を境に
ボクは少女の所に通うようになっていた
唯、少女の話を聞くだけだったが
少女は喜んでいた
ふと少女が聞いてきた
「死神さんに名前はないの?」
ボクは「ないよ…」と答えた
「そうなんだ……じゃあ私が名前を付けてあげるね!」
少女は少し嬉しそうに声を上げた
「えーとね…貴方の綺麗な瞳にちなんで『ハーヴ』ってのはどうかしら?」
「ハーヴ…うん、いい名前だ」
「気に入ってもらえて良かったわ」
「うん…」
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遂に来てしまった
明日、少女の魂を迎えに行かなければならない
ボクは迷った
少女の魂を迎えに行きたくないのだ
こんな思いを持ったのは初めてだった
ボクは寝ている少女に近寄った
大鎌を振り下ろそうとした時声がかかった
「ハーヴ…如何してないているの?」
「解らない……こんな気持ちは初めてなんだ…」
「そっか……ねぇ、ハーヴ…私は大丈夫だよ…泣かないでほら、お仕事しなくっちゃ!」
君はボクにそうやっていつものように微笑む
そんな君がボクの凍てつく心を
溶かして
温めてしまった
君の手が震えている…
ドサリ、と鈍い音を立て
魂と身体が切り離される
ボクは小さな魂を小瓶に詰める
「如何して…?」
「ボクは…仕事をしただけだよ……」
「…!」
「ありがとう……」
ボクは振り返らずに歩いた
「ハーヴ…ありがとう……」
前の投稿と日が空いてしまいすみませんでした!
数日間体調を崩してしまい投稿出来ませんでした。
本当にすみませんm(。>__<。)m
さて、今回の話なのですが、死神『ハーヴ』がココロを知るという王道物語です。
『ハーヴ』は、スウェーデン語で海という意味なんです。
この話の死神は全身骨ではなく、限りなく人間に近い死神をイメージしました。
このことを踏まえ話を読み返すとより物語を楽しんで頂けると思います。
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
これからもより沢山の話を書けるように精進して行きます!




