1章-異世界の大都会-1-1~亜人達との出会い~
こんばんわ!
引き続きです!
「…………まじかよ…」
俺はずっと佇んでいた。
街には高ビルが立ち並び、歩道には人とゲームや異世界小説で亜人と呼ばれる種族が沢山いて、上を見あげれば妖精?らしき何かが飛び交っていた。
すると突然背後から…
「お、おい!?お前びっくりしたじゃないか!急に現れたりして!」
俺は声がする方を振り向いた。そこには人間みたいなだけど腕や首元には鱗?みたいなのがついている、服装は半袖の警察の服装みたいで……あれ?さっきまで街の中にあった森林はどこにいったの?
「はへ?」
変な声が出てしまった。
「にぃちゃん話聞いてる?急に転移魔法で来られちゃこっちも驚くからさ今度は気をつけてな…それよりその血だらけな姿は何なんだ」
俺ははっと正気を取り戻した。
警察官?のおじさんは俺に対してめっちゃ睨んできている…ん?服装?
俺はゆっくり目線を自分の服に向けると血だらけで色んなところが破れていた。
まじかよ…言い訳するっきゃないよな…
「こ、これはですね…その高いところから転んでしましまして…」
そう言ったとたんおじさんの顔がさらに怖くなった…例えるなら般若さんみたい…
「にぃちゃん嘘はだめだよ嘘は、そんな安っぽい嘘つくならもっとましなのにしてくれないか?詳しいことは署で聞くから」
そう言うとついてこいよっていう目線を送られ
「は…はい…分かりました…」
と俺はしぶしぶ署まで着いていくことになった
。
俺は署に向かう道中、色々聞いてみることにした。
「あ…あの…ここはどこですか…?」
「は?にぃちゃんここはセシル・ファーミヤに決まってんだろ」
「セシル・ファーミヤ?ですか…」
ファーミヤって日本にあるファ○マみたいな名前だな…間違えそうだな。
その後、俺は2つ質問した。
1つ目は『おじさんはどんな仕事をしていますか?』と聞いてみた。
「俺の仕事か?見たら分かるだろ(笑)警備士って仕事だ!街のすみからすみまで俺らが見張ってるってわけだ。それよりにぃちゃん、俺っておじさんに見えるか?…お兄さんと呼んでくれ!これでもまだ人間で言う32だからな!」
だそうだ。このおじs…じゃなくてお兄さんは警備士って言うみたいだけど警察とはまた違うみたいで怪しいやつを見つけて事情聴取をし、そこから署へ送るかどうかするみたいだ。つまり元の世界でいう警備会社の街バージョンだ。
2つ目は『国はどれくらいあるんですか?』だ。勿論笑われることを前提で言っている。
「ぶははははは!にぃちゃん何も知らなさすぎて笑えるよ!全部で7つ国がある。その一つがここバーミムル国だ。どの国よりも技術が進んでいて稼ぎも良いところだ。綺麗なねぇちゃんたちも多いしな!ぶははははは!」
とめっちゃ笑ってるお兄さんがいた。お兄さんの話だと7つの国に分けられているみたいだ。あとの6つを聞こうとしたが「にぃちゃん流石に俺もサービスばっかりじゃやってられないなぁ」と親指と人差し指で丸を作りこれこれと言わんばかりニタニタしていた。やはりこの世界も金かぁ…。流石に持ち合わせがないため「書物などで調べます」と言った。
だかしかし…俺はキョロキョロと周りを見渡しお店や建物の看板を目にすると愕然とした。だって?字が読めないんだよ?。俺は呆れた顔してると
「にぃちゃん着いたぜ。ここが取締兼牢獄のセシル署だ!通称…締牢署だ!」
俺はその締牢署の大きさに唖然とし立ち止まった
。
締牢署は10階建てで外装は厚いコンクリートのようなもので舗装されていて6階辺りから上は窓はない状態だ。建物の大きさ的には日本とは変わらないがなぜ窓がないのだろ…。その隣には約2.5mくらいの壁が見えていた。
「す…すげー…めちゃくちゃ広くてでかそうですね…」
「ぶはははははぁ!そりゃーにぃちゃんこの締牢署はどの国の締牢署よりでかいんだぜ!なんて言ったかな確か他の国にあるのが支店って言うやつでここが本社ってやつらしい…俺も詳しくは聞かされてないから分かんねーけどな!ちなみにあの壁の向こうは広い広場になっててにんげんが8万人くらい入るらいぜ。」
とお兄さんは俺にわかりやすく説明するとボソッと聞こえるか聞こえないぐらいの声で「けったいな事だよな…たかが軽い罪で…」
俺がお兄さんの方を見ると少し悲しそうな表情をしていた。
「あ…あの…」
つい声をかけてしまった。
「あ?あぁすまない…ちょっとな…それよりにぃちゃん俺は受付までだからあとは受付のねぇちゃんにたむからな!んじゃ行くぞ!」
俺はお兄さんのかなしげな背中に無言で着いていった。
正面扉を開け中に入るとそこは、ホテルのような作りになっていてロビーが広がっていた。広さは少し高めのビジネスホテル並みで天井は結構高かった。約3.5mの天井にはシャンデリアが吊るされていた。明るさは蝋燭の火で明るくなっているが蝋燭の火の明かりにしては明るかった。何か工夫でもあるだろうかもしや魔法を使っているのな?床に目が行くと大理石みたいなので作られていて、少し光が反射しているきれいな床だ。右奥にはフロント、左奥は上に上がれる階段があり、フロントの向かい側には木の椅子と机が置かれていた。
「ここで待っていてくれ。」
お兄さんがさっきまでとは違い落ち着いた声で言ってきた。それに俺はゆっくり頷いただけた。お兄さんはフロントへ行き受付のお姉さんに声をかけ書類らしき紙に書いているみたいだ。俺はロビーの向かい側にあった椅子に腰を掛け待っていることにした。ここだけレトロかよ尻痛いじゃん…。
しばらくするとお兄さんが紙を片手に戻ってきて、机を間に向かえの椅子に座った。
「いやー待たせてすまないよ。なんか以前と手順が変わったみたいでな…なんせ10年も取締とかしてないからさ。それよりここににぃちゃんの名前と年齢を書いてくれないか?」
俺は書面に目を向けた。もちろん全く字が読めないのである。俺はものすごく真っ青になりお兄さんに目を向け正直に言った。
「あ…あのすみません…俺、字が読めなくて書けないです…」
「はぁぁぁぁ!?字が読めなくて書けないだと!?ぶはははは!にぃちゃんそれを早く言ってくれよ!全然気にはしないけど流石に不意打ちすぎて笑いが止まらなくなるじゃねーか!」
お兄さんはロビー中に響くくらいの大声で笑っていた。寧ろ笑うなんてひどくないですか!?しばらくお兄さんが笑っているとフロントのお姉さんの目が怖くなっていった。それに気づいたのかお兄さんはお姉さんに向かってすまんすまんと謝っていた。
「ごっほんっ!じゃぁにぃちゃん俺が読んで書くって事でいいな?んで名前は?」
「は、はい…お手数かけます…名前は三上湧太って言います。あっ!湧太が名前です。」
「ユウタ?珍しい名前だな!どこの出身だ?」
げっ!?やはり聞かれるのか…。しょうがない正直に話そう…。
「あ、あの俺日本ってとこから来ました。日本ってのはその…この世界とは違ってまして…」
「ニホン…どこかで聞いたことあったような…うーん」
お兄さんはあのかの有名なロダンの考える人みたいな格好で唸りながら考え込んでいた。まさか本当にこんな格好してる人を見るのは初めてかもしれない。
お兄さんは2分位考え込んでいた。それでも出てこなかったため声をかけてみた。
「あ、あの…」
お兄さんは、はっと我にかえり慌てた様子で話しを続けた。
「あーすまんすまん、つい考え込むと周りが見えなくなってしまってな。よく上の人にも怒られてしまうんだわ。んでそのニホンってとこなんだな?嘘偽りなく書かなきゃだからさ!」
「はい…」
「にぃちゃんしけた顔してんなー、でもなんでおまえさんはフローリア語を話してんだ?そのニホンってとこもフローリア語なのか?」
お兄さんはどこで覚えたのかわからないペン回しをしながら言ってきた。確かに異世界であれば文字だけではなく言葉も分からないはず…同じ言語?あるいはアリスがなにかしたのか?謎は深く濃ゆい物だと隠した。
「もしかしたら同じ言語かもしれません。他の国は言語違ったりするんですか?」
「他の国?あーあと3つ言語あるな。確かイムプルス語、ルペイ語、アルヴァン語だったな。それぞれ字も言葉も全く違うんだわ。」
なるほど、元の世界と同じで国ごとに違うところもあるのか。言ってみたい気がするがまずはフローリア語を学ばなくては話は進まないな。
「あーーーーーーーー思い出したぞ!」
お兄さんは急に立ち上がり大声で叫んでいた。思い出したってことは日本についてなのか?
「ここに来る前に10年ぶりって言ったの覚えてるか?その10年前に俺はにぃちゃんと同じように連れてきたやつだ!そいつは魔族たちの住むデスフロー国から来たみたいなんだ詳細はわからんけどな。デスフロー国はルペイ語を話す奴らが基本だがそいつもフローリア語を話していたんだ。」
お兄さんは真面目な顔、真面目なトーンで語っていた。
その後もその話はしばらく続いていた。そのデスフロー国から来た人は当時俺より若かく服は奴隷服つまり奴隷になり何らかの事情でファーミヤに転移したらしい。転移先にたまたまいたお兄さんが声をかけ今の俺の状態と同じだったそうだ。
少し違うところは俺が元世界からの転移者であるということ、その人はデスフロー国つまり魔族である可能性もあるということか…。
「でそいつの引き取り人が来たのはいいけどよ。まさか…」
「サマナさんそこまでにしてはいかがですかな?流石に個人情報ですので他人には他言無用とお伝えしたはずです。」
!?
い…いつの間に!?
お兄さんが引き取り人の名前を出そうとした瞬間突然俺の背後から頭は良いけど考え方は硬そうで元世界のおばさま方がよってたかってサインをもらいたがるような見た目に…って何だよその良くも悪くもないイケメンって!?○ンさまじゃねーんだし!
まぁ片方に眼鏡をつけていてフレームは銀色でなんて書いてあるかわからない模様がついているよく外国の古い映画で見るようなタイプだ。始めて見た…。髪型はなんていえばいいのかなソフトモヒカンみたいで前髪は俺から見て左に少しながしてる感じだ。色は少し藍色ぽい色だな異世界なのか違和感がないな。身長は約185cm…俺より高いってどうよ…。
「げっ!?ハルさん…いつからそこに…」
「げっとはなんですかげっとは、全くあなたと言う人は…。私はあなたが大声で叫んだ頃に転移陣を使って飛んできたのですよ。あなたが若かりし頃を熱く語ってらっしゃったのも聞いていましたよ。」
お兄さんはサマナさん、この人はハルさんと言うのか…。
俺はお二人の会話を流すように聞いていた。いや、名前しか聞き取れなかった。なぜならそのデスフロー国の人が気になってたからだ…。女の子だったらいいなぁなんて思ってませんから!
…………。
すみません7割思ってました…。
「ところでサマナさん。この方はいったいどちら様ですか?あなたにこのような知り合いがいたとは気づきませんでした。」
「あ?あぁそれをこれから言おうとしてたんだ。このにいちゃんは転移魔法で俺の前に現れたんだよ。目の前に現れるのはいいんだけどよ、なんせこの格好だぜ?一様連れてきたのさ。あんたに会引取ってもらうためにな。」
「さようですか…。すみませんちょっとご拝見いたします。」
とハルさんが先ほどサマナさんが書いてくれてた紙を手に取り目を通していた。もちろん名前と国名しか書いていないため情報は少ない。それを見て何を判断するんだろ?
「ふむ、ありがとうございました。ではサマナさんここからは私が引き継ぎますので常務に戻ってください。」
「わかった。すまないなにいちゃん、ここでお別れみたいだわ。んじゃまたどこかでな!その時はちゃんとしたふくそうでいろよ。」
サマナさんは立ち上がり出口へと歩いていった。本当に世話好きな人なんだな。いろいろと教えてもらったから全身善意を込めてーーーーーさん、はいっ!
「ありがとうございました!!!!!。」
サマナさんは振り返ることなく右手を上げ外へと出ていった。
「ゴホンッ、さてえーユウタさんでよろしかったですね。」
俺はハルさんの咳払いでハルさんが座っているのに気づき慌てて座った。
「は、はい…」
「まぁそんなに固くならないでください。私まで固くなってしまいます。まぁ久々に日本人の男性を見たから私も緊張はしています。」
えっ…!?
今、普通に日本人って…え!?どういうこと!?!?!
俺は声が出ないほどびっくりしていた。
「あっすみません。いきなりだと驚きますよね。ちなみですが私も元日本人なんですよ。もうかれこれ20数年はたっていますけどね。それに今見てるこの体は幻影魔法で偽った姿です。ここでは話せないこともあるので移動しましょう。」
「は、はい…。」
ハルさんが立ち上がるとスタスタと歩いていった。俺も慌てて立ち上がりハルさんの後ろについていった。
本当にこのヨ○さまみたいな人が日本人だったなんて…偽ってる言ってたような…。
カウンターの後ろの方へ歩きすすめると裏の方に扉があった。開けると小さな個室になり物置部屋に使われそうな部屋だ。しかし部屋には何もなく床に魔法陣が書いてあるだけだった。
俺は魔法陣に見惚れていた。こんなにも綺麗な魔法陣が存在する世界だと今になって実感したのだ。
「こちらへどうぞ。」
ハルさんは少し笑みを浮かべながらそう言った。
俺はゆっくりと魔法陣の中央へ歩き、ハルさんの後ろへとまわった。
するとハルさんは目を閉じ、魔法名を唱えた。
「『テレポート』」
よくゲームや漫画などで聞く名前だった。もう少し難しいかと思っていた。
ハルさんが唱えると魔法陣が白に近い緑色に光り始めた。それは暖かく眩しかった。
…………てか眩しすぎ!?ちょっとまてまてまてまて!?バ○スもこれくらい眩しかったりするのか!?すみません大佐!!もう崩壊の呪文唱えたりしませんからぁぁ。
と思っているとすでに光は消えていた。でもまだ目にダメージが少しあるため閉じておこう。
「あのーユウタさん?大丈夫ですか?」
ここで聞き覚えのない声がした。おちついた同い年くらいの可愛い声で名前を呼ばれた。
咄嗟に目を見開き声のする方へ向いた。
「ど、どちら様でしょう…か………。」
俺は目を疑ってしまった。目の前に身長160㎝くらいの美人の女の人が立っていたから。もしかしてハルさんの本当の姿ってのは…。
というのは後回しにしてさーみなさんご一緒に?せーのっ
「美人きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
「えっえっ!?!?ユウタさん!?ど、どうされたんですか!?それとお静かにお願いします!!!!」
「あっす、すみませんつい心の声が漏れてしまいました。ハ、ハルさんでいいんですよね?」
俺は目の前の美人に鼻の下を伸ばしながら伺った。
ハルさんはジト目でこちらを見ていた。
我々の業界ではご褒美です!ありがとうございます!!!!!!
「ユウタさん変態ですね…。ゴホンッそうです!私がハルです!」
ジト目のハルさんがすこぶる可愛い笑顔で言ってきた可愛い!!!
俺とハルさんは転移部屋?から出ると気が遠くなりそうな長い廊下が見えていた。先が見えない…。ハルさんはスタスタと先へ歩いていった。それをまた俺はついて歩いていく。
ん?そういやハルさんをよく見ると猫耳みたいな髪型してたことに気づく。それに耳はエルフみたいに長耳だ。何だろハルさんはエルフなのかな?
「あのーハルさん質問いいですか?」
「はい、どうされました?」
「ハルさんはエルフなんですか?」
本当は失礼だと思う隠してまでここにいるってことは本当に事情があるのだろう…けど気になるのが俺だし!
「私はエルフなんですけど、猫獣人の母エルフの父をもつハーフエルフです。エルフでも獣人の血が入ってるので珍しいかと思います。ほらこの通り尻尾ありますよ?ちなみですがこの耳みたいなのは産まれ付きの癖っけですよ。それに先ほど幻影魔法で別人を作らないといけないのは亜人とエルフはものすごく中が悪いんです。父と母は冒険仲間でして。よく二人でダンジョンや街を渡り歩いたそうです。二人の距離は縮まり母に私を身籠ったのを知ったエルフの長老…私の祖父がそれを怒り獣人族へ喧嘩を売ったのです…一人でですけど。それからは色んなところで祖父が獣人族の陰口を履きまくり。嘘が広がりお互いに会ったとしても無視したり、八つ当たりがあったと聞いています。私が5歳の頃にはその騒動も落ち着きました。そして私は固有能力もち、転生者だと思い出しました。それからはまぁ普通の暮らしを始め現在の会社を立ち上げました。ちなみですが私は前世ではピチピチJKだったんですよ?」
Zzzz…Zzzz…
ドグフッ
「な!?なんだ!?敵襲か!?!?」
「ユーウタさーん?(ニコッ)」
「ひっひぃ?ご、ごめんなさい!!!!!」
俺は咄嗟に渾身の土下座をその場で行った。本当に許してくださぁぁぁい
ハルさんは般若みたいな顔つきで俺を睨んでいた。
「いつの間に床に座って寝てるんですか!?まぁいいですけどどこまで聞いてました?」
「えっと全くです!(ニコッ)」
「もう一発殴りますよ?少々話が長かったですね。私の私室に着きました。」
え?いつの間に?俺は彼女の後ろに扉ができていた事に気づいた。ここまで来ると驚くっていうかなんというかだよね。なれって怖っ!?
「私室なので魔法で隠してますよ。それとここの廊下すべて社員たちの部屋になってるんですよ。」
「え…ここが全部部屋なのか…やばいな」
俺は言葉が出なかった。あまりにもこの世界が凄すぎて…
「あの…ユウタさん?大丈夫ですか?」
ハルさんが俺があまりにリアクション薄いためか心配をしてくれた。と思う。
「は、はい!大丈夫です!あまりに凄すぎて言葉が出なかったので!」
「なら、よかったです!では私の部屋へどうぞ」
ハルさんはそう言うと壁に手をかざした。また呪文でも唱えるのかな?
「開け!ゴマ!」
「え?…ハルさん?それって…」
俺はあまりにショックすぎて次の言葉が出てこなかった。
すると、CGでも使ったかのように目の前に茶色のホテルとかにありそうな扉が現れた。しっかりドアノブもついてるのかスゲーなって言ってる場合じゃねー!なんだよあの呪文みたいなやつふざけてる(笑)
「今のは、呪文じゃなくただの演出です!☆」
「演出かよっ!」
俺は久々のツッコミをしてしまった。高校二年生ぶりだな~懐かしい。
「ささっどうぞ入ってください何もないですけど。」
ハルさんは何もなかったかのようにドアノブに手をかけ、開けた。少し眩しかったがすぐに目がなれ、部屋全体が見えた。
「おぉ!…おぉ…」
俺の目に映った光景は本当に何もない部屋だった。9畳くらいの部屋でドアの反対側の壁は窓になっていて右に本棚と観葉植物、左にはベットとクローゼットがあり、入ってすぐ右にシャワー室とトイレがあり、部屋の中央には机と椅子が置いてあった。
「言った通り何もないでしょ?」
俺は度肝を抜かれ何も言えなかった。
「とりあえず座って話しませんか?立って話すのもなんですし」
「はい」
俺は目の前の椅子に座った。それに合わせてハルさんも俺の向かい側に座った。こうしてみるとやっぱ可愛いよなぁ。
「ユウタさん、二人っきりで話したかった事なんですが…」
そうだった。ここまで結構驚かせられてたから忘れてたけど話ってなんなんだろ…
「私と…私のギルドに入ってください!」
「え?…えぇ!?ちょっと待ってギ、ギルド!?お、俺って戦闘技術も魔法も右も左もわっかんないんですよ!?」
俺の反応が分かってたかのようにハルさんはニコッと笑った。ちょっとキュンときちゃったじゃないかぁ。
「そう言われるとわかってました。ユウタさん気づかないんですか?」
気づかない?なにかちょっとした変化があったっていうのか…。
「気づかない…それはどういった…」
「私は転生者、ユウタさんは転移者です。漫画とかアニメにはそこまで詳しくはないですが異世界に来た人たちが必ず持たされるものといえば?」
「転生者…転移者…持つもの…まっまさか!?」
そう俺はすっかり忘れてた。漫画とかアニメとかめっちゃ主人公強いやん。強いものが持っているものそれは…
「ユニークスキル。またはずば抜けたステータス…ですよね」
「はい!そうです!私も実はスニークスキルを持っているんです。それはユウタさんもご覧になられてますよ!」
え?俺が見た?目の前で…まさかあの変身能力なのか!?
「気づかれたみたいですね!そうです私のユニークスキルは【空想変化】(メタモルフォーシス)、頭の中で思い描いた人や動物、魔物になることができます。ただしこの世界にいる人にはなれません。動物や魔物にはなることはできます。そしてその変身した人物や魔物の能力の3割ほどしか発揮できません。これは数年前に亡くなった父方の祖父…元エルフの長になって実際に試した結果です。」
なるほど、人が亡くなっていたらこの世界にその人は存在しなくなり変身可能になるって感じなのか。結構有能スキルやん‼俺のはどんなユニークスキルなのだろうか…
「なので!ユウタさんのユニークスキル発掘兼小遣い稼ぎとしてギルドで一緒に戦いませんか?」
ギルドか…あるMMORPGではギルドに入って間もない頃、俺はひたすらディスられた。「ログイン少ない雑魚」、「装備もろくに揃えれない弱者が!」など…俺はギルドに入って1週間でギルドを退会した。そしてその日から俺はソロプレイヤーとして活動してたことがった。…何が言いたいかというと少し恐いのだ俺がまた役立たずにならないか…足を引っ張ってハルさんを…
…
いや考えたくない。俺はハルさんと一緒に戦いたい!
「分かりました。当分は俺、足手まといになるんですけど…それでも良ければ‼」
俺が承諾したとたんハルさんが漫勉な笑みで答えてくれた。
「はい!よろしく頼みますね!ユウタさん!」
俺はこうしてハルさんのギルドへ入ることを決意した。不安は大きい。ここは漫画やゲームじゃないって事を忘れてはいけないと肝に命じとこう。
それから2時間くらいハルさんと現代の話でもちきりだった。ハルさんは俺が亡くなる2年前に通り魔によって刺殺されたという。それで気づいたらここにいるハルさんが産まれ、今があるという。俺はハルさんが亡くなった頃からの2年間を話した。東京オリンピックが開催されることや学生の間で自殺や他殺などが多いこと、などたくさん話した。楽しいなぁ。女の子と話すのこんなにも楽しかったっけ?いいや今は今を楽しもうじゃないか!
「あっもう夜ですか…ユウタさん今夜は私の部屋で寝てください。お布団は用意しますね。」
…え?えぇぇぇハ、ハルさんと二人っきりで!?ま、まさか…こんな早くにイベントが発生するのか!?
「え!?ちょっと待ってください!ハルさん!?俺は男でハルさんは女の子ですよ!?いいんですか!?」
「え?えぇ大丈夫ですよ?…もしやユウタさんムフフな展開をお望みで?えっちぃですね(ニヤリ)。確かに同じ部屋で寝ますがユウタさんは机を挟んだ向こう側で寝てくださいね!」
まぁやっぱそうなるわな…ちょっと期待した。
「で、ですよね!あははは!」
そして俺たちは沈黙の夜を机を挟んで眠った。
俺たちは本当の恐怖に気づくことになる。それが悲しみを生むとしても…。
読んでくださりありがとうございます!
猫耳とエルフのハーフ!絶対かわいいです!!
個人的に殴られるシーンが多いのですが湧太…うらましす(ぐぬぬ
ゴホン!
もし間違い等があった場合はお申し付けくださいませ。
ぼくがよろこn…きちんと汗水流して修正いたします!
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