a snow day
友達が漫画書くらしいんで、その原作?ひな形?として書きました。
ちょっと長めだけど是非読んでね。気持ち程度のシリアスに一口分のギャグを添えた日常ものです。
題名(仮) a snow day
―アイシクルへようこそ!―
星の温暖化は進み続け、気温は上がり、空気や水は汚染されて、人がまともに生活できる環境は非常に少なくなってしまいました。
そんな中、優秀な科学者たちが発案した「再開拓計画」により春、夏、秋、冬のそれぞれを持つ人工島が生まれました。
そうして2500年に誕生したアイシクルは「再開拓計画」において冬を司る島です。
晴れていても、曇っていても関係なく一年中雪が降っていること。そして地下に広大な町が広がっているのが大きな特徴です。特に雪は、ラストリゾートとアイシクルでしか見ることができません。
小学校と中学校は一つだけですが、高等学校はなんと3つもあります!高等学校の数は、4島の中で最多!!
一年を通していろんなイベントが盛りだくさんで、島の人はみんな仲良しです。
さぁ、あなたも雪の島で楽しい日々を送りましょう!
ガタゴトと一定のリズムを刻み、海の上を赤色の列車が走る。悠々と大きな海を横断するそれは、上から見ると一匹狼の大きな金魚のよう。そんな列車の一席。
「ずいぶん寝ぼけた誘いだな」
城ヶ根戒は、座席に差し込まれていた冊子を横に放り投げた。着ているコートの中からアームが伸びて、冊子を元の場所へ戻す。
「......面倒くせぇなぁ、色々と」
とくにやることもないので、窓一面に広がる景色を眺める。毒々しい色の海が広がり、ちらほらと海没した建物のてっぺんが顔を出していた。
大昔の海の色は深い青色だったらしいが、今は紫とも茶色とも形容できない汚い色だ。そういえばアイシクルは領域内の海の汚染除去に成功したという話を聞いたが本当なのだろうか。ニュースでもそんな話は見ていないので正直あまり本当のことのように聞こえない。あして趣味的に興味がわかない。とにかく、めんどくさい。そんな憂鬱に身をゆだねるように戒は深く座席にもたれかかった。車内はそこそこ混んでいてチラホラ吸われていない乗客もいる。その中の小さな兄妹の二人組が、彼の荷物で占有する二席を座りたそうに見ていたが、彼は何食わぬ顔で無視し続けた。
城ヶ根戒、16歳、男。口癖は面倒くさい。怖いものがないことが自慢。彼女歴は0。ついでに友達も0。親族以外親密な相手がいない彼だが、世界でトップクラスの技術者である。
ほんの少し前まで「ラストリゾート」で両親と暮らしていたが、2か月ほど前アイシクルから技術者として招きたいという申し出が来た。
戒は面倒くさい、リゾートを離れたくないという理由でこの申し出を撥ねつけようと考えた。だが、そうする前に親が勝手にその申し出を受諾してしまい、半ば追い出される形で冬の島に向かうことになってしまう。
家に自分の収入の6割を納めていた戒としては、とても納得できないので「何故」と親に問いただしたのだが、
「社会経験だ。お前には圧倒的にそれが足りない。友達や彼女を1人以上作ってから帰ってこい」
と返され、二年近く島に滞在されることを余儀なくされた。
「島の領域圏内に入りました。あと3分で到着します。電車を降りられる方はドアの手前でお待ちください」
軽快なメロディーとともにアナウンスが流れる。窓の外に広がる海を軽い気持ちで眺め、思わず息をつく。
そこには空と同じような、辺り一面の青色が広がっていた。
「へぇ……?」
降りる準備をすることも忘れ、食い入るように景色を見てしまう。話半分に聞いていた信じがたい噂が目の前に。ただただ、驚くことしかできなかった。しばらくすると、ちらちらと白い粒子が外に降り始めた。雪。
「……少し興味が沸いたけど、けどなぁ」
窓越しの景色に少しづつ町があらわれ始め、乗客が降りる準備をする気配を感じ、戒はすぐに降りるため自分の荷物をまとめだした。ちらりと通路に目をやるが、いつのまにか先程の兄弟はどこかに消えていた。
「まもなくアイシクルに到着します。まもなくアイシクルに到着します」
戒は小走りで電車のドアの前の列に並んだ。人の数はそこまで多くない。やがて電車は止まり、ドアが開いた。
冷たい空気が足元をくすぐる。できるならもう少し電車に乗っていたかったが仕方なく降りてゲートを目指す。
確かにこの島は色々と自分の好奇心を満たしてくれるものがあるのかもしれない。しれないがそれ以上の憂鬱を抱えて戒はゲートのの外に出た。
「……寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い」
あたり一面雪が積もり、白くないのは建物の壁と人、街灯くらい。これが銀世界というやつなのだろう。建物はほとんどレンガでできたもので、大昔の「ヨーロッパ」という地域のような印象を与えた。
そしてそんな銀世界の白さよりも。何よりも。
そんなことがどうでもよくなるくらいに寒かった。
厚着をしてきたはずなのだが、無駄だったかもしれない。氷と同じくらい冷たい風が肌に吹き付け、凍えた空気が体を纏う。先ほどまでの憂鬱さを照らしてくれていたほんの僅かな期待はあまりな寒さに氷漬けにされ、コナゴナに砕け散った。
帰りたい、いや帰らせてくれマジで。そう切実に戒は願った。神どころか星すらも死んだと言われる世界で、彼は一体何に願いすがったのだろうか。
まるで冷蔵庫のような空気の冷たさ以上に、この島に二年近く滞在しなければならないという現実の冷たさが彼の心を凍り付けた。
強めな風が吹き、また戒の体温がごっそり奪われる。
「もう嫌だ、帰りたいマジでマジで寒い寒い寒い」
城ヶ根戒、16歳、男。彼女歴も友達歴も0で、怖い物がなにもないのが自慢。ただし、苦手な物がないとは一言も言ってない。
彼が苦手なもの。それは、空気の温度が低い状態。つまり寒さ。放射能の影響で生まれた意味不明な生き物や、当然起こる天災、おぞましい人の起こす事件。そんなものよりも物理的な寒さが彼にとっては恐怖だった。常に最適気温の世界で生きてきたのでしょうがないと言えばしょうがないのだが、本人はそれをどこか情けなく感じていた。
ターミナルの内部に入り、荷物を預ける。こうすると新居へ荷物を送り届けてくれるらしい。
建物の中であるにもかかわらず、ひんやりと満たされた空気に急かされてるかのように、戒は空いた空いた両手をコートのポケットに突っ込み早足でターミナルを歩く。
「確かターミナル内部の時計塔の前、だっけ」
向こうからの連絡によると、案内係を付けてくれるらしい。役場まで案内した後、その人が観光に付き合ってくれるらしいが正直全然乗り気ではない。この島の技術だとかシステムは確かに興味がある。そして全然疲れてもない。だが、非常に寒い。それだけで観光なんぞせず、家に引きこもるのには十分な理由になる。
そういえばこの建物の温度はいくつなのだろうと、腕時計の温度表記を確認してみると、摂氏3度。ここの建物は風穴でも空いているのだろうかと疑いたくなり戒はため息をついた。
そんなこんなで時計塔にたどり着き、辺りを見回したがいかにも役人、といった感じの人は見当たらなかった。待ち合わせに指定された時間にはまだ余裕があるが、あまり動くのも億劫なのでそのまま待つことにした。
「あー寒い寒い寒い寒い」
手をさすりながらコートの中に腕を引っ込めるも、内蔵しているアームが微妙に邪魔くさいので、しょうがなくポケットに手を突っ込んだ。
「この建物どっかに風穴が空いてるんじゃねぇの」
暇、そして寒い。特にやることもないので独り言のように悪態をつく。
「穴なんてさすがに空いてないですよ、空いてたら大問題です」
独り言に返事を返されて驚き、戒は声の方を振り向く。
そこには白いコートに身を包んだ少女がいた。肩甲骨あたりまで伸びた銀色の髪、肌も白く、頭にはもこもこした白い帽子を被っていて「冬」を体現したかのようにシルエット全体が真っ白だった。
かなりかわいい顔をしているが全く見覚えがないので、戒は「誰だお前」と言いそうになったが、脳内で話しかけてきた少女の正体と目的が何かという答えに行きつきその言葉を飲み込んだ。
「間に合ってる、俺無神論者なんで」
「え、あの、何の話ですか?」
「え?怪しい宗教勧誘だろ、騙されねぇよ俺は」
「いや違うんですけど……」
少し困惑気味な顔でこっちを見てくる少女。読みが外れたか、と戒は舌打ちする。
「じゃあ壺?買わん、自分で作る」
「あの、私を何だと思ってるんですか」
「美人局?」
「……」
微妙な顔をして少女は黙り込んだ。
「で、美人局じゃないなら何の用なんだ。お前」
「人生の案内人、とか?」
「ほら怪しい」
「全然怪しくないですよぉー」
意味が分からなさと急に話しかけられた困惑。否定するのも面倒なので戒はうなずくことにした。
「私、人が前に進めるようになるのが好きなんです。困っていることはないですか?」
「寒さ」
「あぁ、そういう。多分『外』の防寒具をつけてらっしゃるんですよね。それならこの島の中にある店で服とかそろえるといいですよ」
先ほどまで動揺していたのがウソのように、すらすらと少女は答える。微妙なことを言って会話を終わらせようとしてた戒としては、逆に微妙な気分になってしまう。
「そうですね、防寒具を買うなら『マンモス』っていうお店がオススメです。手ごろな値段で質のいいものが多いんですよー」
「へぇ、覚えとく」
「適当な返しですね、悲しくなっちゃいます……」
軽く目の下に手を当て泣くような動作を見せる少女。そうは言ってるくせに全く悲しそうには見えなかった。
「他に何か困ってることはないですか?」
「暇で困ってる。頼みもしてない迎えがこないんだ。とりあえず呼んでくれないか」
「無茶ぶりがキツイですってば。ところで、あなた。城ヶ根戒さんで合ってますか?」
一度も自分の名前を言ってないはずなのに、どうして戒の名前を今口にしたのか。戒はそれを特に疑問に思うことなく納得した。
「……そういうこと。お前が、例の」
「良かった、無茶ぶりに答えられそうです」
ふふ、と笑う少女と戒は真正面に向かい合う。
「アイシクルにようこそ!城ヶ根戒さん。私は七原符雪、案内役です。よろしくお願いします」
「……」
符雪はくるっと180度ターンしたあと、こっちこっちと手招きする。
「とりあえず手続き終わらせに行きましょうか」
「あぁぁぁぁ、だっっっっっっっっる」
ぐぐ、と手続きを終わらせた戒は伸びをしながら役場を出てきた。外は相変わらず雪が降り続き、寒い。
この雪は自然に降ってるものではなく、人工的に降らせてるものらしいが一週間の内、6日間はずっと降らせているらしい。なぜそんなに降らせるのか。降らせて得があるわけでもない、なのにそうする理由が戒にはよく分からなかった。
「お疲れ様でしたー。これ、どうぞ」
「まだいたのかよ」
「案内が私のお勤めですから」
外で待っていたのだろう符雪が缶を片手に持って、戒の方に近付いてきた。
「何だこりゃ」
「この島の名物、ジンジャースノーです。温まりますよ~」
差し出された缶をしばらく眺めて、戒はコートからアームを伸ばして受け取った。
「……誰も買ってくれなんて言ってないんだがな。幾らした?」
別のアームでポケットから財布を取り出すも、符雪は首を振り指でバツを作る。
「おごりです、受け取ってください」
「あ?奢り?何で。お前、俺にこれ奢る理由ないだろ」
「理由?」
符雪は少し首をかしげ、何かを考えるように視線を上に漂わす。そして、何か思いついたのか顔がパッと明るくなった。
「あ、入居祝いなんてどうです」
「後付けだろそれ」
「はい。でも理由になってますよね」
「…ま、ありがたく飲ませてもらうわ」
両手をポケットに突っ込んだまま、アームで缶を煽る。ほどよく温かい甘みが口に広がる。牛乳とショウガを合わせたような味だがとてもマイルドで飲みやすい。そんな風に戒はのどを鳴らしながら、冷静にスノージンジャーに対する評価を下していた。
「美味いな」
「名物ですからね」
ふふん、と得意げな顔をする符雪。
「で、幾らした?これ」
「だからおごりですってば」
「毒とか入ってないよな?」
「飲んだ後に確認するんですかそれ」
缶をもう一煽りし、中身を飲み干した戒は辺りを見回してゴミ箱を見つける。
「あ、捨ててきますよ?」
「必要ない」
次の瞬間、アームが枝のようにしなり空き缶を上空に投擲した。白い空へと放り投げられた空き缶は,放物線を描き、吸い込まれるようにゴミ箱の中に落ちていった。
「おー、お見事」
「余裕だ。アーム二本でお手玉5個くらいなら回せるからな」
「二本で5個なら、一本で2.5個ですか?」
「さぁ?知らん。今の二本で5個も適当に言っただけだし」
「じゃあ試してみましょうよー雪玉で、ってあ!どこ行くんですか!」
タブレット端末を操作しながら、ふらりとどこかへ行こうとする戒を符雪は呼び止めるが、気にせず戒はふらふらと歩き続けた。
雪は依然降り続け、人々は特にそれを気にする様子もなく歩いていく。それに倣うかのように城ヶ根戒も何も気にせず歩こうとしたのだが、「自称」戒の観光ガイド兼案内役の、七原符雪にコートのアーム全部掴まれ動けなくなってしまったので仕方なくその歩みを止めた。
「どこ行くんです???」
「家に帰る。そして寝る。なんで邪魔しないでくれ。つうかアーム放せ」
「この後、観光の予定ですよね?私そのガイドとして来たんですけど」
アームからパッと手を放しながら符雪は言う。
「あ?そんな事頼んだ覚えが」
「お父さんからのお願いらしいですよ?市長からそう聞きましたけど」
「嘘こくな。ちょっと待て」
戒は手にしていた端末を操作して、父親へ電話をかけようとするが、ちょうどそこに父親からメッセージが届く。
「あ?『どうせだからそのまま観光しろ』だ?…はっ」
唾を吐き捨てそうな勢いで、戒は端末を放り投げる。雪のつもった地面に落ちていく端末をコートから伸びたアームがキャッチし、ポケットにしまう。
「しましょうよ、観光。すっごく楽しいですから」
「今日やる必要ないだろ。いくら楽しかろうと」
「あるんですなぁ、これが」
チッチッチとしたり顔で指を振る符雪。そんな彼女に若干いらつく戒。
「そんな怖い顔しないでくださいよう、説明しますから」
「さっさと説明してくれ3文字以上5文字以内で」
「い・や・で・す。はい4文字♪」
「……」
「……うふふー?」
「で、今日だと何がどうなるんだ」
「今日はこの町全体ででお祭りがあるんですよ」
「興味ねぇ」
「美味しい物いっぱいあるんですよ?めちゃでかワッフルとか氷ステーキとか食べる雪だるまとか興味ありません?」
「……ねぇな」
正直かなり興味が沸いたが、ここで乗ると負けた気がするので戒は否定を貫く。そんな心の葛藤を見切ったのか目を光らせ、符雪は畳み掛けようとする。
「フィナーレには中心部で花火が打ち上げられたり、スノーパレードがあったりするんです。とにかく楽しいので見るしかないですよ!」
「雪国のくせに花火か。氷でも打ち上げればいいだろ」
「怪我人でますねそれ」
「知らんがな」
「まぁまぁ、パレードは学者さんの立場としては見ておいた方がいいと思いますよ?ってあ!スマホで検索するのは無し!!」
端末で検索しようとしているところを押さえられ、しぶしぶポケットに端末をしまう。
「花火もパレードも始まるのがけっこー遅い時間で。それまでこの町の主な場所を観光めぐりすればいい感じに時間が使えると思いません?」
「……………………ちっ」
「決まりっ!!さ、行きましょ!!」
「決まってねぇ、おい、こら何でわざわざアーム引っ張るんだてめ」
「はいはいレッツゴーれっつごー♪」
無邪気にコートから伸びるアームを引っ張る符雪。
そんな彼女を見て戒は苦い顔をしながら、いやいや歩く。歩くというよりもはや引き摺られるような形だ。
相変わらず雪が同じ速さ、同じ量が降る寒空の下。二人は気温の低さも、頬をなでる冷たい風も忘れにぎやかに歩きはじめた。
***
「何だありゃ」
「あ、あれですか」
戒の指刺した先にいた動物らしきもの。先が分かれた2本のツノ。4本の脚。丸いしっぽ。シカとそっくりな外見だが、姿全てが真っ白で、そして目がどこにも見当たらなかった。
「あれは雪シカですね。スノーアニマルの一種です」
「奇妙なシカだな」
戒は雪シカに駆け寄り近くでまじまじと見つめる。やはりどこにも目がなかった。触ってみると、ひんやり冷たく、まるで雪。
「雪でできてるんですよ、そのシカ」
「じゃあなんで動いて。あぁ、ナノマシンか」
「分かりますかー、さすがですね」
地面に頭を下げたり、ぶるぶると震えたりする白いシカもどきの様子は本当にシカのようだった。符雪も近寄って雪シカをなでになでるのだが当のシカはまるで気にしてないようだった。
「ナノマシンってことは…オラァ!」
「あぁー!?雪シカちゃんになんてことを!?」
チョップでシカの首を思いっきり叩くと、簡単にシカの首が落ちた。しかし落ちた首はすぐに胴体の方に引き寄せられ吸収。そして数秒のうちにまた首が生えてきた。
「きもいなコレ」
「な!?可愛いじゃないですか」
「つうか作った意味が分からん。もったいないだろ、ナノマシンが」
「もったいなくないです。こういうカワイイことにも使っていいと思うんですよ」
「あぁ?」
「あー?」
***
「城ヶ根さん、見てくださいコレ」
符雪はどこからか持ってきた銃の形状をした機械を戒に見せる。
「……速度計測器か?」
「ハズレです、よく見ててくださいね」
符雪が銃っぽいものの銃口を雪に埋める。数秒後、雪から引き抜いて引き金を引くと勢いよく雪の玉が発射された。
「雪合戦用のアイテムなんです!すごいでしょー」
「まぁまぁだな」
「ほー、言いますね。なら今から勝負しますか?」
自身あり気に銃を構える符雪。対して戒は内蔵されているアームを全て展開する。
「雪玉のスピードより俺のアームの方が早い。全部叩き落してやる」
「6本はズルいですよね、まぁいいですけど……!」
連続で符雪は引き金を引き、5発雪玉が発射される。戒のアームは俊敏に動き玉を打ち落とすべくムチのようにしなる。
そして6本すべて空振りし見事全段顔面に命中した。
「……」
「……っぷ」
「…………」
「…………ええっと」
***
「機嫌なおしてくださいよ、城ヶ根さんー」
「ほっとけ」
「そう言わないでー。あ、ワッフルとか好きですか?」
「ワッフル?」
戒は急にワッフルという単語が出てきて少し眉をひそめる。そしてタイミングをはかったようにどこからか甘い匂いが漂ってきた。符雪が指さす方向を見ると串に刺された巨大なワッフルが目立つ露店。
「あのサイズ?フライパンの二倍はあるぞ」
「あのサイズですよ。フライパンの1.5倍らしいです」
「はーん。興味ないな」
「そう言わずに一回食べましょうよ」
「だれがあんな甘い物。ところであのシカも雪人形か?」
「あれは、ってどこにもシカちゃんいないですよ」
戒の指した方向を向くがそこにはシカはいなかった。ということを伝えようと戒の方を向きなおしたが、そこに戒はいなかった。
「あれ?城ヶ根さん?」
「すみませんビックワッフル2個、あとスノージンジャー」
符雪が目を離した隙に、戒は1露店に何食わぬ顔で並んでいた。
「……もー、素直に買いに行くって言えばいいのに」
***
「あの右を走ってるソリは何だ?かなり大きいが」
「バスみたいなものですねー。一駅10円と驚きの安さなんですよ」
「へぇ、それじゃあそこら辺にちょくちょく突っ立てるエレベーターは?」
「あれは地下街行きのエレベーターですねー。この町の地下街ってとっっても広いんですよ。だから複数のエレベーターがぽつぽつと置かれてるんです~」
「人工島に地下街ねぇ」
町を走る大型のソリ。あちこちに点在するエレベーター。前に住んでいた場所では全く見なかった光景が珍しく、戒は符雪に質問を重ねる。
「なんというか、本当に何も知らないんですね?意外です」
「当然。来たくなさすぎて、何の下調べもしてこなかったからな」
「面白い人ですよね、城ヶ根さんって」
「あ゛???」
「あー?」
「……あ゛ぁ、本当にお前はやりづらい」
「そうですかぁー」
ちょっと残念そうな顔をする符雪。その表情は、本心から来るものかどうか、それが少し戒は気になったがあえて聞かなかった。
「ねぇ、少し聞いてもいいですか?」
「何を?」
「ラストリゾートについてです、引っ越してきたんですよね」
「嫌々な」
不満を示すためか、戒は道に積もった雪を蹴り上げる。
「で、どんなとこなんですか?」
「とても住みやすい、飯がうまい、モノがいい。それだけだな」
「それだけ?」
「あとはクソ」
「ボロカスに言いますね」
苦笑して符雪は、えいと戒の真似をして雪を蹴り上げる。
「特に人とかな。まぁ関わりとか持ってなかったから、どうでもいいんだが」
「不満なんですね」
戒の目としっかり視線を合わせて符雪は言った。
「何でそう思う」
「急に口数が増えましたし、なんとなく生き生きとしてました」
「…どうだかな」
町を練り歩きながら、ぽつぽつと二人は話す。戒の両手には巨大なワッフル、ついでにアームにはスノージンジャーがにぎられている。符雪の方は紙袋に入ったこじんまりとしたフレンチトーストを両手で持ち、たまにぱくつく。
「マジでもうちょいマシな案内人いねぇの?チェンジで」
「ひっど、私じゃ不服ですか?」
「うっざ」
「そんなこと言わないでくださいよぉー、おいしいワッフルのお店教えたじゃないですか」
「もう用済みだ」
「悪の科学者か何かですか」
ふふ、と楽しそうに笑う符雪を見て戒はずっと頭にあった疑問をぶつけることにした。
「もう一つ気になることがあるんだが」
何ですか?とフレンチトーストを一口かじって符雪は戒の方を見る。
「お前、楽しいのか?」
「えっと…?」
聞かれたことの意味が分からなさそうに首をかしげる符雪。
「聞き方が悪かった。態度悪いやつと二人で歩き回って楽しいか?ってこと」
「……」
少しの沈黙の後、符雪は戒から視線を外して町の方を見ながら話し始めた。相変わらず雪が降り続き、どことなく静かな印象を受ける。
「んとですね、どんな人にも必ず事情があると思うんです。顔をしかめてる人、ニコニコ笑ってる人、表情なく町を歩いてる人。それぞれの人が、そんな顔をしてる理由があります。それは表情だけじゃなくって、喋り方だとか人と接する態度だとかにも言えることで。だから城ヶ根さんが、私にそういう態度で接するのにも何か理由があるんですよね」
「何の話をしようとしてるんだ」
「いいから最後まで聞いてくださいな」
話の腰を折る戒を制して、符雪は続ける。
「例えばですけど、暗い顔して歩いてた人がいたとします。その人のブルーな表情のワケは何でしょう?財布を落とした、服が破けた、上司に怒られた、家族が事故にあった…どんな理由があるか本人に聞かない限りわからないです」
「別にお前に冷たくしてるのに理由とかないけど」
「ほんとひどいですねぇー、城ヶ根さん」
符雪は雪で覆われた町並みに向けていた視線を戒の方に戻して言葉を続ける。
「なんで、どうしてって本人に理由を聞くわけにもいかないですけど、その人が元気になれるように私は振舞いたいです。元気になれれば二人で元気に遊びたいです。そういう風に人がプラスの方へ進めるように、私は人と接したいなって思ってるので、城ヶ根さんが少しでもプラスの方を向けるのなら私は、甘んじて暴言でも理不尽でも受け続けますよ」
そう言いながらにこりと微笑む符雪。そんな彼女をなぜか直視することができなくて、戒は明後日の方を向いた。
「…まぁ今日限りの付き合いなんだがな」
「何言ってるんですか?城ヶ根さん私と同じ学校に編入されるんでしょ?あ、多分私と同じクラスですよ」
「マジ?編入?」
「マジです。っていうか知らなかったんですか???」
「……………………」
「えぇー…。ま、まぁ?そういうこともあります、よね?」
「知らん」
「私が案内人に抜擢されたのもそういう理由です。私、生徒会で初期を務めてるんですよ~」
「微妙なポジションのやつ寄こしたな。会長とチェンジで」
「残念、会長ついでに副会長は今別件で忙しいです~」
「ち」
「何で舌打ちするんですか、もう」
上を向き戒は、はーと思い切りいきを吐く。息は白く色づいて、すぐに消えた。
「意外と人間できてんな、お前」
「えへへ、そうでもないですよ」
「褒めてねぇよ。俺の周りの奴もそれくらいできてりゃな」
「ほめてるじゃないですか。ねぇ城ヶ根さん、さっきから私に質問ばかりですよね」
「お前がガイドだからな」
「私も一つ質問していいですか?」
「さっき一つしただろうが」
「誤差ですよ誤差」
符雪が軽くステップを踏むと、地面に敷かれてる白い雪がキシ、キシと音を大きく立てる。
「私のガイド、楽しいですか?」
「…さあな」
「えー答えてくださいよー」
「お前に答えないことで俺は前に進めるんだ」
「私はその答えを聞かないと前に進めませんー」
「俺も大概だがお前も大概ダルい性格してんな、さっきの感心かえせ」
「あ、少し感心してくれたんですか、うれしいな」
符雪は軽く駆けだし、キュイと雪の音を鳴らして、くるりとターンする。
「この町って住んでる人の性格とか、物とか、多分ラストリゾートとはかなり違うと思うんです。だから色々違うものがこの町で見れると思いますよ」
「違うものね」
「きっといい物ばかりです」
「は。根拠は」
「ないです♪」
「お前、結構無責任だよな」
「いえいえ、私けっこー責任はとる方ですよ?」
そうこう会話している途中で符雪のコートから電子音のポップなメロディが響く。
「あー……」
気まずそうに出ていいですか?と目で聞いてくる符雪を無視しワッフルの残りをほおばる。
「もしもし七藤です、はい…はい…わかりましたって、え!?…そうですか、わかりました」
微妙な顔をして符雪は電話を切った。
「何だ、クビか?」
「みたいです」
「……冗談だよな?」
「クビというか選手交代ね」
突然背後から声をかけられ、二人は振り返る。そこには符雪より少し背の低い、ウェーブのかかった茶髪の少女が立っていた。
「岬ちゃん、ちょーっとお願いがあるんですけど」
「聞くだけ聞くわ、符雪センパイ」
符雪は手をそーっと合わせて、少し上目遣いで自分よりも背の低い少女にお願いする。
「……私の代わりに行ってくれない?」
「可愛いけど駄目よ。私よりセンパイの方が絶対いい」
「でも!」
「気持ちはわかるけど、私じゃどうにも」
「で、どういうことだ?」
戒が久々に発言したことで、二人は完全に彼の事を忘れていたことに気づく。
「さっき会長とチェンジしてくれ、それは無理って話しましたよね?」
「それが?」
「実は会長とかその他の生徒会のメンバーはお祭りの手伝いに駆り出されてるんですよ。それで」
「大体分かった。人手が足らなくて、なおかつ、そこにいる女その他もろもろ有象無象じゃできなさそうな役割があるんだろ」
ピキッ、と少女の額に怒りの記号が浮かんだ気がしたが戒はそれを無視する。
「で、そこの女はお前と交代で俺の案内役につくと」
「そういうことです…ごめんなさい」
「何で謝るんだよ」
「私、城ヶ根さんを最後まで案内したかったんですよ」
「気にすんな、ほらさっさと行け」
「で、でも」
「はやく行かないと副会長がやばいわ、センパイ」
どうしよう、と少しまごついた後、符雪は頭を軽く下げて走り去っていった。
「あいつも焦ることあるんだな」
「センパイは基本あんな感じよ」
「へぇ」
「…」
残された二人を包む微妙な空気。
「で、誰だっけお前」
「符雪センパイの代役の名護岬です、以後よろしく。有象無象ですみませんね」
ヤケクソな感じで自己紹介を済ませた岬。そんな様子を全く戒は気にしない。
「気にすんな、有象無象も悪い事じゃないぞ」
ピキピキっと今度は確実に岬の額に青筋が入る。だが今回も戒はそれを無視。
「さ、とりあえず次のとこに案内してくれ」
「……希望は?」
「祭りってのはいつから始まる?」
「今からゆっくり歩いていけば、ちょうど始まる時間につきますけど。けど開始直後は人が」
「それでいい案内頼む」
「…開始直後は人が多いけど、それでも?」
「いいって言ってるだろ、二回も言わすな」
「チッ」
「あ゛?」
「何?さ、行きましょ」
ぷい、とそっぽを向いて歩き始める岬。それに合わせて戒も歩き始める。
「お前、分かりやすいな。いい案内役になれると思うぜ」
「全然嬉しくないわ、チンケな学者に言われても」
「…もう少しまともな代役はいねぇの?」
「軒並み優秀な人は手伝いに行ってて、あなたみたいな人に付けれる人はいないわ」
互いに無言でにらみ合う。そのまま同じタイミングで二人は歩き始めた。
「……ワカメ」
「…………メール」
「ルナティックインパクト」
「トイプードル」
***
「はぁ、はぁ、私の『る責め』にここまで耐えたのはあなたが初めてよ…アクリロニトリル」
「ハァ…ハァ…、ルクセンブルク大公国」
「何それ、聞いたことないけど。でたらめ言ってない?」
「古代の西の方にあった国だ。端末で検索してみろ」
「……ふーん、本当にあるのね。さ、会場着いたわ。始まったばかりなのに人の多いこと」
車道の上を伸びる電線に飾られた明かりが辺り一面を照らす。まだ始まって間もない時間なのにすでに多くの人が祭りの場に来ていた。
「待て逃げんなコラ。勝負はついてないぞ」
「飽きたの」
「は、まだ二時間はやれるぜ」
「ん?3倍ワッフル売ってるじゃない、買ってきていい?」
「無視すんな、俺も買う」
甘いワッフルのにおいが流れてくる店の列に二人は並んだ。
「500円か、まぁそんくらいだろ」
「そんなものよ。あなたワッフル好き?」
「普通」
「そ」
列は速いスピードで進みあっという間に二人が最前へ。そのまま500円ずつだして通常の3倍以上あるワッフルを手にした。
「そういえば、どうしてあなたってそんな険悪な態度でに接してるの?」
「人が嫌いだから。お前も十分険悪な態度だろ」
「…最初の方に私に言った言葉覚えてて言ってるの、それ」
「さぁ、覚えてねぇな」
「だから人に嫌われるし、人を嫌うことになるのよ。はむ」
「知るか。あむ」
大きなワッフルをほおばりながら出店の並ぶ道を歩く。焼きそば、やきとり、とうもろこし。様々な出店が電灯で輝いて日の落ちた夕闇を彩っていた。
「人が嫌いだから研究者になったわけ?」
「…それもあるかもな」
「ふーん、はむ」
「お前言いたいこと言うだけ言ってくれるな。マジに、あむ」
「はむんむ…そりゃあなた相手だからよ」
「そりゃありがたいな」
「ええ、もっと感謝してほしいとこよ」
なるほどねぇ、と早々にワッフルを食べ終わった岬はひとり呟く。くしゃっ、とワッフルを包んでた紙を丸めると近くのごみ箱へと、紙を放り投げた。
「何がなるほどだ」
続いて食べ終わった戒も、アームに紙を紙飛行機に加工させてゴミ箱へとそのまま投げさせる。
「センパイが、あなたをやけに気にかけてた理由がなんとなく分かったからよ」
「センパイ…?あの女か」
あの女という呼び方に反応したのか岬は少しムッとした顔になるが、軽くため息をつき苦い顔をする。
「ほんとセンパイは…」
「なんだ理由って。あいつ、そんなに俺の事気にかけてなかったろ」
「あの人普通は赤の他人には結構ドライに接するんだけど、そんなことなかったでしょ」
「…どうだかな」
あの女、七藤符雪。彼女の行動を振り返ってみるとどれも自分を気にかけたり、友好的なものだったのではないかと戒は思う。
飲み物をタダで渡したり、戒の減らず口に軽口で返してきたり、無理矢理彼女が楽しいと思う場所へ連れて行ったり。確かにただのガイド役の領分を超えた行動である。
「ただのお人よしの馬鹿とかじゃないのか、あいつは」
「元々、人間不信だったし。あの人。実はかなり計算高いし、あれこれ考えてたりするの」
「嘘言え、完全にあれはお人よしか頭お花畑のそれだった。身に覚えがある」
「身内とか気に入った相手にはすごく優しいのよ。あと子供とか動物にも優しいわね」
戒は、全く岬の言うことが信じられず困惑する。しかしそれでも、それを態度に出すのははばかられて、そのままの調子で会話を続ける。
「お前の言うことが本当だとして、あいつは俺の何が気に入ったんだよ」
「ふーん、気になる?」
ちょっと楽しそうに笑う岬。戒が人の事を気にしてるのが意外でおもしろいのだろう。
「二週間くらい前の話なんだけどね、センパイがあなたのインタビュー動画見てたのよ。その時にはセンパイがあなたの案内役を務めることになってたから、あらかじめ案内する人のことを知ろうとしてるのかと思って『勉強熱心ね、センパイ』って声をかけたの。でも反応も薄くてやけに熱心に動画も見てたし、何かおかしいなと思って、少し時間をおいて『なんでそんな熱心なわけ?』って聞いたの。それになんて答えたと思う?」
「知るわけあるかそんなの」
でしょうね、とクスクス笑う岬。でも私も聞いたときは意味が分からなかったわ、と前置きして続ける。
「『この人、私とそっくりだと思う』って」
「意味わからん」
「でしょうね、私も同じことを彼女に言ったわ。けど目が似てるって、ずっと言ってて。今日あなたと接してやっと意味がわかったわ」
目が似てる、というのが全く理解できず戒は黙り込む。
「正確に言うと、昔のセンパイの目が今のあなたの目にそっくり。何にも期待してない、擦り切れた目。私とセンパイがあったころあの人は、そんな目をしてた」
「何も期待してない、ね」
「そうでしょ?あなた、ここに何か期待してきた?」
「ナノマシン技術、一年中雪を降らせる技術」
「言い方が悪かったわ。この町の人に何か期待してる?」
戒は何も言い返せない。本当に技術だとかには期待していても、全く人そのものに期待はしていない。岬の言う通りだった。
「…センパイ、アホみたいに振舞ってたでしょ今日。普段はそんなんじゃなくて、関わりのない人には冷たくて。もっと前、センパイがこの町に来た頃は、もっとひどかったわ。そもそも嫌いなモノは自分と人間とか言ってたし。けど私とか他にも色んな人と接していくうちにちょっとずつ変わっていって、今では少しクールだけど優しい人になったわ」
「…クール?」
「多分馬鹿演じてたんでしょ、あなたが接しやすいように」
「…………」
「あの人なりの気遣いだったと思うわ、方向性おかしいけど。けど『どうにか人に何か期待できるようになってほしい。この町を好きになってほしい』って言ってたし、昔の自分に重ねてるにしても、本気であなたのこと気にかけてたと思うわ」
「その、言葉が嘘ってことは」
「ありえないわね」
戒は符雪と会話したときの様子を思い返して見るが、正直よくわからなかった。
「ま、なんにしても。あなたもこの町に期待していいと思うわよ」
「それ、あの女も言ってたな。根拠は」
「いらないわ。すぐにわかるもの」
「お前、この町は好きか?」
「もちろん大好きよ」
ふふっと軽やかに岬は笑う。その笑顔は符雪が浮かべてたものと同じように、戒の心になにか温かいものを感じさせた。
「さ、それじゃお祭り回りましょ。少し話して分かったけど、あなた性格は悪いけど性根が腐ってるわけじゃないし、センパイの手伝いをするのもやぶさかじゃないわ」
「性格悪いってお前には言われたくねぇ」
「合わせて悪くしてるんだからむしろ性格いいでしょ、私」
「謎理論やめろ」
さ、まずはどこ行こうかしら、と気合を入れながら岬は歩き、それを見ながらふと疑問に思ったことを、戒は彼女に尋ねた。
「お前とあの女、お前のが年下なんだよな」
「センパイセンパイ言ってるじゃない。わかるでしょ」
「じゃあなんでお前敬語じゃないんだ?」
あー、と岬は納得した様子で手を打つ。
「仲が悪かったころの名残ね。最初の方私とセンパイはめちゃくちゃ仲悪くて。仲良くなった後、先輩だし敬語に切り替えようとしたんだけど、『私ほら、常に敬語だから岬ちゃんに敬語使われると距離があいた感じしない?』って言われて。だからそのままタメでこうなったの」
「何であいつは年下にも敬語なんだ?」
「人と一定の距離を開けときたいかららしいわ。私とか仲いい人は別って言ってるけど、どうなのかしらほんとに」
「ところで、俺あいつと同い年っぽいんだが、俺に敬語使わないか?」
「へぇ、そうなの。まぁ、そのうち機会があったらね」
「ちっ」
先ほどよりも人が増えて、喧噪や熱がいかにも『祭り』の雰囲気が流れはじめる。冷たい町の熱気で覆われた道を二人は、並んで歩く。日は既に沈み、黒く染まった空の下、電灯の光と雪の反射が、より辺り一帯を煌めかせ、輝かせた。
「そのアームで射的ってズルくない?」
「ストップかからなかったから、ズルじゃないだろ」
「いやーびっくりしてストップかけれなかっただけでしょ」
「うるせぇな、景品お前にもやったんだからいいだろ」
戒と岬、二人は射的の景品で得たチョコバナナを食べながら出店を巡っていた。アームによる精密射撃の結果、合計三本のチョコバナナを獲得できたため、戒は一本を岬に渡し、一本をアームで持ち、最後の一本を自分で持って食べた。
「しかし雪玉が出てくる銃なんて、不思議なもん作ったな」
「あなたのアームの方が不思議よ。何でそんなの作ったの?」
「便利だからに決まってるだろ」
戒はチョコバナナ一本を食べ終わり、アームに串を持たせもう一本を食べ始める。
「確かに便利そうね、いくら?」
「あ?売ってねぇよ、個人用だ」
「ふーん、結構売れそうなのに」
「金はいらんし手続きだとかがめんどい。俺の発明は俺のためだけにあればいい」
戒がそんなことを言うのを聞きながら、岬はため息をつく。
「なんだよ」
「あなたの作ったものを必要と思う人もいるんじゃない?」
「いねぇな、いるわけない」
「言い切るわね、根拠がおありで?」
「昔、そう言われたからな。友達とかに」
「あら、友達いたのね。意外」
「大昔はな」
最後の一本も食べ終え、戒は串を空中に放り投げる。すぐにアームが反応して串を掴むと、近くのゴミ箱に投げ入れた。
「ほんと便利ね」
岬は串を投げることなく、きちんとゴミ箱まで近づき、捨ててから戻ってきた。
「結構いたんだがな」
「友達?」
軽くうなずいて戒は空を仰ぐ。
「そこそこ慕われてたと思う。色々機械作ってくれって言われて、作ったりもしてた」
「へぇ、意外に優しかったんだ」
「だけど急に『こんなガラクタいらない』とか『使えない』だの言い始めて。無茶苦茶だよな、けどあそこに住んでるやつって、大概そうなんだよ」
あそこ、というのはラストリゾートのことだろう。何がいけなかったんだろうな、と空を見上げたままぼやく戒に、岬は声をかけることなく静かに耳を傾けていた。
「それ以降は友達も作らなくなったし、自分のためにしか発明しなくなった。結局信じられるのは、俺が作った機械だけなんだよ、俺にとっては」
「信じられるのは、自分じゃなくて自分の作った機械?」
「俺も人だしミスをする。だけど機械はミスしない。最悪俺は必要ない」
「……あのさ」
岬が何か言おうとしたちょうどその時、彼女のケータイから着信音が鳴る。
「…出なくていいのか?」
「すぐ戻るわ」
素早くポケットからスマホを取り出し、その場を離れて電話に出る。
「はいもしもし、え!?人手足りたんじゃないんですか!?…ですけど、しかし」
「俺のことはいいから行ってきたらいい」
いつの間にか近づいてきて話を聞いていた戒がそう言った。
「すみません、少し失礼します……そういうわけにもいかないわよ、あなたの立場上」
「それなら、どうするつもりなんだ。運営の仕事に俺も付き合うのか?ごめんだね」
「……」
「十分。十分案内してもらった。結構楽しかったぜ」
岬はその場を動くそぶりを見せなかったが、しばらく大きくため息をついた。
「ごめんなさい、最後まで案内できないで」
「七藤符雪みたいなこと言うな、お前」
「これでも責任感じてるのよ」
走る気満々なのか、岬はその場で屈伸、ストレッチをし始める。
「ねぇ、多分ここにはいると思うわ。あなたの作った機械も、あなた自身も必要とする人」
「…あ?」
「自覚ないかもしれないけど、あなたとっても面白い人だもん。友達になりたがる人も間違いなくいるわ」
「どこにいるんだよ、そんなもの好き」
「符雪センパイ。きっと他にもいるわ。あと、一応だけど、私もね。話してみてそう思った」
ほんのちょっぴり照れ臭そうに岬は笑った。
「さ、さーて急がないと。それじゃお祭り楽しんでね」
「なぁ」
駆け足で呼び出し先に向かおうとする岬に戒は声をかける。
「ありがとよ、名護。七藤符雪によろしく」
名前を呼ばれ少し岬は驚いた顔をしたが、すぐに元通りに戻り、戒に手を振って走り去っていった。
「さてと」
一人になり何をしたものかと戒は途方に暮れるが、ここにいてもしょうがないかと思い立ち、岬が走っていった方向とは逆の方向に歩き始めた。
「あぁ、さっむ」
輝く街灯、にぎやかな喧噪、ソースや菓子の甘い匂い、地面に積もる雪と真逆の色の夜空。雪の日の祭り。
それらに一切興味を示すことなく戒は淡々と街道を歩く。人の声や食べ物を焼く音、そんな音ではなく、ただ自分が地面を踏みしめるたびになる雪の音以外、彼の耳には入らなかった。
先ほどした岬との会話で自分の言ったこと、考えたことがぐるぐると彼の頭の中を回る。
自分は必要とされてきたことがなかった。されていた時もあったがすぐにそうではなくなった。
親にも恐らく必要とされたことはない。今回自分がこの町にほっぽり出されたことがその証明だろう。
よく考えれば当然だと思う。愛想は悪い、性格悪い、余計なことばかり言う、ちょっといい機械を作ることしかできない。そんなやつが必要とされることはないだろう。
自分の技術は必要とされるかもしれないが、それは自分の技術力であって、自分が必要とされてるわけではない。
今まではそう思っていた。
しかし名護岬は、そんな自分と友達になりたいというニュアンスのことを言った。七藤符雪もそうらしい。
よく分からない。少しあって短い時間軽口をたたきあっていただけなのに。どうしてそう思うのか。分からない。
「あいてっ」
ぼーっとしながら歩いていたせいで人にぶつかり、戒は我に返る。
ぼんやりしていてぶつかった自分が悪い。悪いのに謝らないのはさすがによろしくない、そう思い謝ろうとしたが、ぶつかった相手はそもそも戒と衝突したことに気づいてなかったらしい。
どういうことかと周りを見てみると、何かを中心に人だかりができている。
「何だ?」
少しだけだが気になったので、戒はアームを地面に伸ばして自分を持ち上げ、人だかりの真ん中を覗きこんだ。
「はぁ、なるほど」
人だかりの中央にあったのは巨大な氷のかたまり。恐らく何かのオブジェが崩れたのだろう。
その氷塊に叫びながら近づこうとして止められている子供が一人。
「……運が悪かったな」
恐らく何かの拍子で崩れたオブジェが、あの子供の親もしく兄弟姉妹の上に落ちたのだろう。間違いなく即死だろう。
アームを縮めて戒は地面に降りる。自分にできることはない。そのまま人だかりを無視して別の場所に行こうとしたときに男の子が誰かの名前を叫ぶ声が聞こえてきた。
「みさーーー!!!!みさーーー!!!!」
氷の下敷きになったのは妹なのだろう。戒は子供に同情した。あんなにも弟に必要とされてるのに、もう会うことはできないだろう。
もし自分が氷の下敷きになったら、誰がああして泣いてくれるだろうか。そんなことを考える。
きっと誰も、泣きもしない。気にすらかけないだろう。名護や七藤がその場にいれば、少しは悲しんでくれるのかもしれない。
ふと、七藤の言っていたことを思い出す。「人がプラスに進めるように自分は行動したい」ということ。
今泣いている子供は果たしてプラスに進めるようになるのだろうか。まず間違いなくこの祭りや巨大な氷像はトラウマになる。親がそれを気遣ってこの町を離れるかもしれない。そうしたらこの町も嫌いになるだろう。
今日会った二人はこの町が好きだと言っていた。戒にも好きになってほしいと言っていた。
今の事故のせいで祭りが開かれなくなったら、あの二人はどう思うだろうか。
きっとこの場にいなかったことを悔やみ責任を感じ続けるだろう。
「ッッッ」
戒は走り出す。理由だとか論理だとかそんなものはよくわからないが、あの子供と氷塊をどうにかしなければ、そう強く思った。
人だかりに突っ込み、アームをフルに駆使して肉の壁をどかしていく。
あっという間人だかりを抜け、氷の塊の前につく。直径5メートルほどの岩のような氷が堂々と鎮座していた。よく見てみると全体的に大きな穴があけられている。運よくこの穴の中に子供が入っていたのなら、助かってるかもしれない。
「いやありえんな」
神にすがるような思いを振り払う。自分のやれることをやるだけだと言い聞かせて、戒はアームを二本勢いよく射出し、氷に突き刺す。もう二本も同じように突き刺し、残り二本を位置固定のため地面へ突き刺した。
「あぁ、間違いなくオジャンになるな」
軽く持ち上げてみようとするが当然持ち上がらない。戒がコートのボタンを左に回すと、氷の中でメキメキッと何かにヒビが入る音が聞こえてきた。
同じように全てのボタン式ダイヤルを左にひねり、アームを上方向に駆動させるとほんの数センチ、氷塊が持ち上がる。それと同時に戒の体に巨大な重圧がのしかかってきた。
「うっ……く、やっぱ、無理か。なら!!」
戒はコートのボタンの一つをむしり取ってなげ捨てる。すると一本のアームから甲高い削れるような音が鳴り始める。ボタンを二個だけ残し取り去ると、十センチほど氷塊が持ち上がった。しかしアーム四本からは異常な音と熱があふれ出て、戒の耳と肌を直撃。さらに先ほどより重い重圧が戒を襲う。
「も、う少し……もう少し、上がり……さえ、すればァ!!!!」
残り二つも無理矢理取り外すが、二十センチまで持ち上げたところでアームが動きを止める。
戒はアームを可能な領域まで突き刺し、氷に近づいて自分の両腕も使って持ち上げようとしたがびくともしなかった。
「オラァァァアアアアア!!!!」
叫んで体に力を入れてもまったく動かない。アームの軋む音がじょじょに付け根から聞こえ始めてきた。
不可能。そんな三文字が戒の頭をよぎる。
アームを出力限界まで起動させても持ち上がらないのだから、どうやったって無理だろう。クレーンか何かが来るのを待つしかない。
しかし、戒はここで諦めたくなかった。ここで引くのことだけは彼自身のプライドが許さなかった。
「動、け…!!動けよ、クソ氷……!!!!」
どうしようもなく悪態をついた、その瞬間。戒にかかっていた重圧がほんの少し軽くなる。
どういうことだと横を見ると、見知らぬ男が氷を持ち踏ん張っていた。
「俺も手を貸すぜ、ニイちゃん……!!この氷をどかしちまおうや!!」
「……な」
言葉が出てこず、戒は絶句する。まさかここで助けが入るとは。そんなことを全く予想していなかった。
唖然としていると次々と野次馬から、人が駆け寄ってくる。
「俺も手伝うぜ!」
「こっちこっちオアアアーーーッッ!!」
「やらなきゃ意味ないよ……!!」
「うおおおおおお!!!!」
「うるせぇ!!持ち上げよう!!」
「氷のブランドは落ちません!!」
「新人ンンンンーーー!!氷は好きかァーーー!?!?」
人が増えるたび、戒にかかる負担が軽くなっていく。
「な、何なんだよ一体」
「城ヶ根さん!!!!」
「城ヶ根センパイ!!」
聞き覚えのある声。横を向くと、そこには符雪と岬が立っていた。
「お、お前らぁ…」
「もうちょっと!頑張って!!というか私も手伝う!!」
「息をあわせてください!!せーの!!」
全員一体となり氷を徐々に持ち上げていく、五十センチほど持ち上がると符雪は氷の下に潜り込んでいった。
「な!?センパイ!?」
「馬鹿か七藤!!」
数秒もしないうちに符雪が小さな女の子を抱えて出てきた。奇跡的にケガはなさそうだ。
「救出しましたーーーー!!!!」
「降ろすぞォォォーーーー!!!!せぇぇーーーーのぉぉぉーーーー!?!?!?」
全員が手を放し、氷はドン!!と音を立てて地面に落ちる。大きな亀裂がはいったが割れることはなかった。
「みさーーー!!!!」
「おにいちゃーーん」
駆け寄ってきた弟に気づき、符雪の腕を抜けて少女は走っていく。
兄妹が抱きしめあったのを確認し、あたり一面歓声につつまれた。
「うおおおおおおお!!!!」
「勝った!!第三部完ッ!!」
「今夜はクソ赤飯だァー!!」
「やったぜ!!!!」
様々な歓喜の声が上がる中、戒は静かに突っ立っていた。
「…やっぱオジャンだよなぁ」
アームを持ち上げようとするが、一本も動かなかった。それ以前に地面に固定していた二本はひしゃげ、残り四本はねじれまがっている。よく自分は無事だったなと、戒は変なところに感心した。
「なんであんな無茶したのよ!?」
コートを脱いでいると、岬がすごい勢いで駆け寄ってきた。
「よう、さっきぶりだな名護」
「オブジェが倒壊して人が下敷きになったて聞いてかけつけたら、城ヶ根センパイたちがもう持ち上げようとしてたし!!びっくりよ!!」
「まぁいいじゃねぇか、俺のコート以外無事なんだから。ってさっむ」
「城ヶ根さん」
子供を運営職員に引き渡して戻ってきた符雪が声をかけてきた。
「……よう」
「何であんな無茶したんですか?」
岬相手と同じように冗談めかして返事しようとしたが、符雪の目はまっすぐ戒の瞳を射抜いてそれをさせなかった。
「お前、言ったろ。人がプラスに進めるようにしたいって。あのガキがもし妹を失ったら、プラスに進めなくなっちまう。それにきっとお前らも責任を感じるだろ」
「私たちのため……ですか?」
「実のところ俺もよくわかってない」
頭をかき、妙な気恥しさから視線を逸らす。
「ただ、そうしなくちゃいけないって思った」
「よう!!ニイちゃん!!!!」
急に後ろから大声を浴びせられ戒は驚く。振り向くと最初に加勢しに来た男が立っていた。
「あんたが踏ん張らなきゃ俺たちは何もできなかった!!!!ありがとうよ!!!!」
「な、えっと」
助けを求めるべく符雪の方を見るが、ニコニコと非常に嬉しそうな様子でこちらを見つめていた。岬の方を見ると、ニヤニヤして同じく助けてくれなさそうな様子だった。
「……俺は、ただ動くべきだと思ったから動いただけだ」
「もっと誇れ!ほらシャキッとしなァ!!」
戒は肩を掴まれ背筋を伸ばされる。
「これを受け取りな!俺からの礼だ!!」
男から白いパックに包まれた温かい何かを手渡される。すぐにソースのにおいがただよってきた。
「……焼きそば?」
「おうよ!!普段から店も出してるから後ろの彼女と一緒に食べに来てくれよ!!サービスするぜ」
「センパイ、彼女らしいですよ」
「え!?!?わわ、私!?!?」
男はにっかり笑いながら手を振って去っていった。そのタイミングをはかっていたのか次々に人が戒に話しかけてくる。
「すげぇな!!あのアーム!!どこで売ってるんだ!?」
「やるじゃねぇかボーズ!!」
「Vやねん!!」
「新人ンンンーーー!!!!コーラは好きかァーーー!?!?」
「いや、あの、ちょい1人ずつ…」
大勢の人に囲まれあたふたする戒を遠目に女子二人は嬉しそうに笑いあっていた。
「あぁーーーーーつかれた」
「お疲れ様です、城ヶ根さん」
はい、といつの間にか買ってきたスノージンジャーを符雪は差し出してくる。
「いくらした」
「お代は結構、オブジェクトの除去費用です。ま、それにしては安すぎですけど」
戒は一気に缶を煽り、中身を飲み干す。
「捨ててきましょうか?」
「いいよ、自分で捨てる……ちょっと前に似たような会話したな」
「ずいぶん前に感じますねー」
同じ日にしたやり取りなのにとても前のことのように思え、戒は妙な感慨を覚える。
「そのアーム、大丈夫…じゃないですよね」
「どっからどう見てもそうだろ。作り直しだ」
「ちなみに、いくらしたんですか。それ作るの」
無言で戒は三本指を立てる。
「ひゃ、百円?」
「かもな」
少し楽し気に笑う彼を見て、符雪はちょっと頬を緩ませた。
「ま、そもそもの話。機械って人の役に立つためにあるんだから、今回壊れたのもある意味、正しい使い方なのかもな」
「どう?少しはこの町の人に期待してもいいっておもったんじゃない??」
いつの間に会話に混じってきた岬がちょっと得意げに胸を張る。
「かもな」
「……短時間でずいぶん丸くなったわね」
「確かに、ほんの少し丸くなりましたね」
「あ゛?」
そんな風に三人で和気あいあいとしゃべっていると、急に大きな音と光が頭上から響いてきた。
「花火か…」
「もう祭りもおしまいですねぇー」
「あぁ~疲れた、次はもっとスマートにやりたいわね……」
「なぁ、名護岬」
「なんでフルネームで呼ぶのよ」
「この町の人って、みんなあんななのか」
あんな、と言われて首をかしげる岬だったが、先ほどの氷を持ち上げた時に手伝いに来た人たちのことを指しているのだと気づいた。
「だいたいあんな感じよ、みんな情に厚いわ」
「……いい町だな、ここは」
次々と空に打ち上げられる花火。赤や緑、黄色などの豊かな色が夜の黒を彩っていく。
「さ、疲れたし帰る」
「え!?最後まで見ていかないの?」
「コート着れないから寒いんだよ」
「あ、じゃあ私の着ます?」
「それだとお前が凍死するだろ」
「しませんよ…」
「二人羽織すればいいじゃない」
「ねぇな」「えぇ!!??」
顔を赤くし若干動揺する符雪を放置し、戒はアームの垂れ下がったコートを方に羽織る。
「それじゃ、”またな”」
「ん、それじゃまた」
ゆっくりと戒は帰りの方向へ向かい始めるが、途中で止まって少し振り向く。
「なぁ、七藤」
「…何ですか?」
「俺は少しプラスに進めたよ、ありがとう。それとお前の案内、実は結構楽しかった」
戒は、ほんの少しだけ笑うと前を向いて、歩き始めた。
「……また、学校で!!」
戒に手を振る少女二人。彼はそれを振り向かず、手をひらひらさせて手を振り返した。
「……あぁ、さっむ」
花火も全て打ちあがり、祭りとともに雪の降る一日が終わりを迎えようとしている。
しかし、今日が終わっても、また次の日が始まる。その日も今日と変わらず雪が降り続いてるのだろう。
城ヶ根戒は寒くて寒くて仕方がない、という様子で手をこすり合わせながら、新たな自分の家へと帰っていった。
余談だが、この日以降戒のの口癖は「面倒くさい」から「寒い」に変わることになる。そんなことを彼はまだ知る由もなかった。
To be continue
今までとは全然毛色の違う作品になりました。オチも大違い。
バトルとか書いてみるのもありかなと思ったんですけど、今の自分には荷が重いかなって。
空気感?世界観?としてはARIAとか天色アイルノーツとかはつゆきさくらとかイメージしてて書いたんですけどほぼ確実に再現できてないです。
どうでもいいですけど、はつゆきさくらは名作なんで是非プレイしてね!あとナツユメナギサも。
え?ダイマにもほどがある?ええやん、二万字も書いたんやしダイレクトマーケティングしたって。誤差よ誤差。
次回書くならギャグ全振りの頭悪い作品を書きたいです。以上。




