救助
「うぅ~、ここどこ?あの金ぴかの龍は何?この小部屋から安全に出られる気がしないんですけど...。」
少女は困惑していた。
気づけばここである。途方に暮れる以外にするべきことはない。
最初に目覚めてから、3日程経過していた。
詳しい時間はわからないが、携帯の充電が切れても、幸いに時計を持っていたので経過した時間だけはわかるのだ。
その日もやることがなく、項垂れながら唯一の出入り口の向こう、金色の龍の脇を更に越えた先を見続けていた。
お腹が減らない、トイレが来ない。
眠気もなければ、出来ることもない。
一日目は、出来ることを探した。
他の出口はないか、色んな場所を叩いたり、動かそうとしたり模索した結果、何もない床と壁と天井であった。
そーっと出入り口から出ようと試みたが、龍が唸る...24時間。
絶望して、二日目は気を紛らわす為に携帯で音楽を流した。
ゲームは電池の消費が激しいので止めた。
音楽に合わせて龍の尻尾が動くのが、可愛く見えて楽しかった。
これならと出ようしたら、龍が唸ったので、その日は音楽を聴きながら龍の尻尾を可愛く堪能するに留まった。
そして今日、最低でも12時間は見ていただろう。今日は乗り越えられるかもしてない。
でも、明日は?明後日は?と続き、自分の精神が何処まで持つのか、恐怖しかなかった。
いっその事、壊れてくれれば辛くないのにと、考えなくもなかった。
最悪、強行して終わるならよし、抜けられるなら...絶望しかない気がするが、現状が変わるならとも考えた。
しかし、それには及ばなかった。
出入り口の先、龍の脇のその先にある扉がいつもとは違い開き、人影が見えるのだった。
少女には何を言ったのか聞こえはしなかったが、何かを言ったことだけは見えた。その後、剣と銃が一体となった二対の武器を構えると青年は龍へと走り出す。
ブレスによる攻撃を回避しつつ接近戦へと持ち込む。龍の巨体を素早い回避で翻弄しつつ、鎧の様な皮膚の隙間を縫うように確実にダメージを与えていく。
暫くすると金色の龍は腕を動かすことも、立ち上がることも出来ないようになっていた。
「す、すごい。何あれ、人の動きじゃないんですけど...。」
少女が茫然と見続けていると、青年は止めを刺さずに龍の横を素通りし、奥の部屋...こちらの部屋へと踏み入って来た。
「え..と、生きてるね。迷子の保護に来ました。カルア・クルールです、よろしく。」
「え!?」
少女は混乱する魔法を唱えられたかのように、錯乱した。