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ぷろろ~ぐ
誰が呼んだかわからないその世界の名は、
『ユグ・ディストネニア』
迷子を助け続けているその者の冒険者ランクは、
『ゼロ』
その者、誰の干渉も許さず、あらゆる命令を跳ね除ける。
いや、只一人その者に下すモノあり。さりとて、そのモノ人に非ず。
誰が呼んだかわからないその者は、
『犬のおまわりさん』
今の世の最強の称号である。
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「はぁ~、めんどくさい。ようやく100層、後50層...、はぁ。」
今だけは羨ましく憎たらしいと思う快晴で気持ちのいい空を、青年はとぼとぼと憂鬱そうに歩いていた。
異常であるが、咎めるものはここにいない...、ここまで深い階層に来れる者は一握りである故、目撃者はいないのである。
その空間に青年の溜息だけが木霊する。。。