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みてい  作者: あおとき
2/3

出会い2

「なんで、こんな時間まで学校にいないといけないの。」

ハア。ため息を大きく、大きく吐いて廊下の窓からもう日も暮れて真っ暗になった外を見る。

それでまた、大きく息を吐き出した。


元はといえば、あいつが悪い。確かに忘れてて提出できなかった私が悪いとはいえ、こんな時間まで待たせるなんて。あの先公め。ていうか、あいつの名前、結局なんていったけな?


職員室で探すとき、愕然としたね。あいつ、なんだっけ?って。

何しにきたんだ。て感じだった。もう帰ろうかと。教科担任の名前なんて覚えてねぇもん。丁度クラス担任がいたから聞き出して、所在を尋ねたのに行方不明だし。散々探したつーの。

わざわざ担任に「今日の業後に持ってきなさい」メモまで渡してるくせに。自分の行動に責任持てや。


いつもならもうとっくに家に帰って犬の散歩なり何なりしてるのに・・・。


「ジュンは帰ったし、外は暗いし。ハア。」

我が家の夕飯の時間にまで差し掛かってる。落ち着こうと声に出してどうでもいいことをつぶやいてみるけど何にもならない。


イラっとするわ~。



♪~  ♪~  ♪~


ん?

ピアノかね?うちにはピアノを弾くような部活は存在しなかったはずだけど。

いくら私にとっては機嫌が悪くなるこの時間帯でも部活や学校で勉強をやってる上級生にしたら普通だ。まったく人がいないわけじゃない。

「誰か弾いてんのかね。」



ふと思い出した。

一昨日、あの夕暮れの公園でリアルイケメンと交わした約束を。


一刻も早く帰りたかったけど、本気で期待していたイケメンを裏切ることはできなくて、今度またいつ会えるかもわからない男の子をおもいだしながら音のほうに向かった。


ピアノがあるとこっていったらやっぱ音楽室かな。



私達は3年から選択で、まだ音楽の授業がない。そのために、うろ覚えだったけどなんとか音の発生源までたどりついた。この学校、特別教室は別館にあり、音楽室も防音ドアはあるものの教室の中の様子は角部屋じゃないかぎり透明ガラスだから廊下側の窓から中の様子が丸見えになる。


だから、どんなやつなのか見てみようと半ば好奇心が刺激されて見に来てみた。あわよくば、リアルイケメンの仲間にしたげる。



赤髪ピアスだった。


この学校ちゃんとした不良っぽいやついたんだなー。


見るからに男っだってわかるけど周りに先生らしき人もいないし。

「つーかいいんだ。勝手にピアノ弾いても」


それにしても、この赤髪ピアス、すっげぇ楽しそうに弾くなぁ。

もう椅子なんか座ってられるかーって腰浮いてるし。赤い髪バッサバッサしてんじゃん。すげーな。指速すぎて別の生き物みたいじゃん。


じゃまするのもな~。このまま窓から見てたら気づかれそうだし。


そのまま窓に背を預けて、ストンと座り込んで足を伸ばした。帰りたいと思ってたけど、たぶん今帰っても夕飯一人で冷たいの食べるの決定だし、なんとなくもうちょっと聞いていたくなった。


「悪くないな~」

そういえば、この曲、題名忘れたけどあの曲だよなー。

jpopがロック。むしろ、ヘビーメタルか。というくらいアレンジされすぎててサビでしかわからないけど。


「ん~。自由だ~」


私は夜の帳に浮かぶ月を眺めながら、そう囁くほどには機嫌がよかった。


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