かくれんぼ
心の奥から聞こえる
楽しげな「もういいよ」
僕は震える声で
「まだだよ」と叫んだ
カウントは10までだろう
まだ焦る場面じゃないよ
どこまで数えたか忘れたから
始めからやり直しだ
腕で目を隠して
真っ暗な世界で
0と1の間で聞こえた
楽しげな「もういいよ」
何度も繰り返しては
それを遮る声が同じだけ
仕方がないと言い聞かせ
隠した世界に目を向けるよ
とりあえず歩いてみるけど
足跡が残る ただそれだけ
どうせ見つからないから
探すフリで十分だ
心の奥から聞こえる
問いかけのその言葉に
僕は溜め息を吐くように
「まだだよ」と答えた
見つけたらいけない
言い訳を考えている
そうすればするほどに
君の存在が強くなっていく
頭の中で10を越えた時
気づいたんだ
隠していたのは
僕の方だった
心の奥から聞こえる
その言葉よりも先に
僕の役目なんだ
「もういいかい」と叫ぶのは
帰ってくる
その明るい言葉を合図に
僕は君を探し続けるよ
読んで頂き、ありがとうございました。